2003年04月29日(火曜日)
699話 詭弁を弄する事
高校に入って
中学校にはなかった新しい教科がいくつかあった
たとえば
「理科」が
「化学・物理・生物」の3つの教科に分かれ
本格的な科学の匂いがして
ドキドキしたものだ
「社会」も
「日本史」「世界史」「倫理社会」に分かれた
特に「倫理社会」は
ソクラテスとか、カントとか、マルクスとか、哲学者の名前がいっぱい書いてあって
「あ~、自分も大人の世界に入っていくんだ
これからは、お勉強ではなくて、学問をするんだ」と
興奮したものだ
その倫理社会の教科書の初めの方に
「詭弁家、ソフィスト」という言葉が載っていた
私にとって初めて聴く言葉で
先生が「この言葉がわかる人いますか?」と質問したときに
何人かの手が挙がったのを見て
私は「へぇ~すげえ」と
びっくりした事を覚えている
さすがに昔のことなので
正しくは覚えていないが
詭弁家とは、巧みに言葉を弄して、白いものを黒いと言いくるめてしまったり
有りもしない事をあたかも有るように言ってしまうこと・・・
だったような気がする
たとえば
白い色とは
黄色い色ではなく、青い色でもない、
ましてや赤い色でもない
おまけに緑色でもなければ、ピンクでもない
灰色、オレンジ色、朱色、群青色、そのいずれでもない
だから
“白い色とは、黒い色なのだ”
その証拠に、なんと若草色でもない
白い色は、間違いなく黒なのだ
訳のわからない話であるが
これは意外とよく使われる
否定の積み重ねを通して、何かの肯定に繋げようというもの
否定は否定であるだけであって、それによって何らかの肯定に繋がる訳がないのに
一般的なことでは
自分と競合する相手の悪口を並べて
自分が正しいと思わせるような行為が当たる
いくら競合先を悪く言っても
それが悪口を言っているその人の正当性につながるわけでもないのに
悪口を信じた人は
悪口を言っているその人が正しいものと錯覚してしまう
特に酒を飲んだ席での陰口は
酒によって知性が弱っている時なので
なおさら信憑性があるように錯覚してしまう
所詮
人の悪口、陰口を好んで言う者は
それを聞いてくれているその人の悪口を
今度はまた、違う人に陰で言うに決まっている
そんな事を、何度となく経験している
人の悪口・陰口は言うまい・・・聞くまい
そして
「詭弁」
有りもしない事を、あたかも有るように言うこと
たとえば
古い中国での武器商人の話
「これは、何物をも貫いてしまう、
あるいは何物をも切り裂いてしまう“矛”(刀物=攻撃)である。
そしてこちらが
何物にも貫かれない、切り裂かれない“盾”(防御)である」
「矛盾」という言葉の元になった
有名な話だ
有りもしない事を有るように言うのは
意外と簡単なことのようだ
何者をも倒すことが出来る最強の“攻撃・A”
そんなものが有っても不思議でないように思える
そして
どんな攻撃をも跳ね返す頑強な“防御・B”
これも有りそうなものである
しかし、その最強の攻撃・Aが、頑強な防御・Bを攻撃したらどうなるだろう
誰でも気づく簡単な矛盾である
このような事を言った人に対して
その矛盾を指摘すると
たぶん
「攻撃・Aは、防御・Bにだけは歯が立たない
何ものをも貫く、と言ったが
防御・B“だけ”は、例外なのだ」
あるいは逆に
「防御・Bは、攻撃・Aに“だけ”は、打ち破られてしまう。
何ものからも防御できると、と言ったが
攻撃・Aにだけは例外だ」
こういう話は、大方の場合、両方ともウソであって
攻撃・Aは、何者をも打ち破ることは出来ないものであろうし
防御・Bも、何ものからも防御する力などない
ほとんどの場合
両方ともいい加減なものであって
大したものでもないから
有りもしないウソを並び立てているだけだ
詭弁とは
ある事実を、自分の都合の良いように歪曲したい時に
よく使われる
ひとつの事実を
表現の方法を故意にひとひねりして、事実誤認させたいとき
よく使われる
あるいは、自分のためだけの自己弁護
ある議員が「反社会的な相手とともに悪質な不正行為」をしていて
それが発覚すると
「懸命な議員活動を通して、お詫びしたい」と
神妙な顔をして居直っている
これぞまさしく、詭弁の最たるもの
こんなに判りやすい詭弁も珍しい
倫理社会の教科書に
「詭弁」の好例として、ぜひ掲載すべきであろう
※
たまたまスケジュールが空いたので
昨日の夕方、仙台に飛んだ
仙台のスタッフたちのどうしても話がしたいと思っていたから
そして、今日の朝
新幹線で東京に来て
やり残していた大切な仕事をすることが出来た
ホッとしている
しかし、疲れた
思いつきの強行軍は、ことさら疲れる
疲れたせいか、かえって今日の文章は過激になっている
今日もデジカメのSDカードがないので、1枚も写真を撮っていない
途中の電気屋さんで買えば良かったのだが
予定が詰んできて、その時間が取れなかった
だから今日も
本文とは何の関係もない写真です。
やっぱり青空!
それも、北極圏の上空12,000mからの、紺色に輝く青空
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