谷 好通コラム

2004年08月24日(火曜日)

1002.ドキドキなのだ

ワクワクではなく、ドキドキなのです。

 

 

今、一人でマニラ行きの飛行機に乗っている。
マニラって、フィリピンのマニラ。
今日から5日間の出張は、一人で飛行機に乗ることから始まった。

 

マニラには、上海でのショーで知り合った“リムさん”がいる。
私たちは今、一生懸命中国をやっているので、
フィリピンに行くのは
フィリピンを開拓するぞ、という意味ではなく、
リムさんが「アクアキーパー」をすごく気に入って、
どうしても、マニラで開かれるショーに出したいと、
熱心に電話をしてきたり、メールを送ってくるので
その熱意に負けて、マニラに行くことになったのだ。

 

英語のリムさんが電話やメールを送ってくる相手は、もちろん私ではない、
元SONAXの吉村さん。
吉村さんはドイツ語をもっとも得意としているが、
英語もビジネスに通用するレベルで話し、書くことができる。
吉村さんには、
たまたま上海のショーを手伝っていただいたので、
英語を喋るリムさんは、もっぱら吉村さん宛てにビジネスの話をしてきたのだ。
だから今回も、吉村さんにマニラまで付き合ってもらうことにした。
リムさんもそれを望んでいるに違いない。

 

吉村さんは、東京に住んでいるので、成田空港からのマニラ便に乗ってもらう。
私は、名古屋空港からマニラに向かって飛ぶ。
ノースウェスト航空の0071便、名古屋⇒マニラ行き、
マニラのアキノ空港で、吉村さんと落ち合う。

 

だから、今、私は一人なのだ。
黙って、一人で席に座って、この話をパソコンで打っている。

 

一人といっても
ただ単に飛行機に一人で乗っているだけであって、
すぐに頼りになる吉村さんと一緒になるのだが、
いずれにしても一人というのは、本当に不安なものであり寂しいものだ。

 

今、機内では食事を配っているが、
私が下を向いてパソコンを打っているので、通り過ぎてしまった。
私は、晩飯を食えるのであろうか・・・・。
(ドキドキしちゃう)
じきにUターンして機内食を持ってきてくれた。ホッとする。

 

 

私の今の格好は、
作業着のような綿パンと半袖のポロシャツみたいな、いわゆる完璧な普段着。
どっかのオッサンがパチンコ屋に行くような格好だ。

 

マニラのリムさんが
吉村さんに電話で言ったそうだ。
「マニラでは最近、日本人が射殺される事件が増えている。
ネクタイを締めているのは日本人だけ、
ノーネクタイで、ラフな格好で来たほうが安全ですよ。」と

 

日本人が射殺される事件が増えてるって?
そんなニュース見たことなかったし、新聞でも読まなかった。
私がそういうニュースや記事に興味がないから、気がつかなかっただけなのか。
ドキドキである。

 

それにしても、射殺は困る。

 

ということで、私は思いっきり普段着で出かけることにした。
(もちろんビジネス用のワイシャツとネクタイは、バックの中に持って来ている)

 

しかし、飛行機に乗っている人たちの格好を見ると、
みんな、それなりにオシャレをしている。
そりゃそうだろう、国際線の飛行機に乗って外国に行くのだ。

 

リムさんの言う“ラフな格好”とは、
ビジネスマンのような固い格好ではなく、という意味であって
休みの日にパチンコ屋に行くようなお気楽な格好という意味では無かったようだ。
しかも、私は、24時間耐久レースのため、頭をスポーツ刈りに短くしている。
スポーツ刈りとは、本人はそのつもりだが、
昔のやくざ映画に出てきたような角刈りと言った方が合っているようで、
その格好と相まって、どっかの貧乏やくざのオッサンような雰囲気である。

 

これなら射殺はされないだろうが、
空港まで迎えに来てくれると言っていたリムさんが、
私の格好を見て、なんと思うだろうか。そっちのほうがドキドキしてしまう。

 

 

この会社に入る以前、航空会社に務めていたことがある“荻野”が、
アメリカの航空会社「ノースウェスト航空」のことを、ポロくそに言っていた。

 

「ノースウェストが飛び上がった後には、必ず、何か部品が滑走路に落ちています。
ボルトとか、ナットとか・・・・
(荻野はそれ以上、部品の名前を知らない)
ノースウェストの整備は半端ないい加減さじゃーないんです。
これは、みんな知っていることなのです。本当ですよっ」
そして、
「ノースウェストの飛行機は、
自殺してもいいぐらいの気持ちがないと乗れません。」
とまで言っていた。

 

私は今、
そのノースウエスト機に乗っている。
そして、この飛行機を手配したのは、その“荻野”である。
ドキドキだ。

 

荻野は、6月から海外事業部を専任で担当しているが、
快洗隊本部の酒部と並んで、
ばかっ話を作ったり、
話を三倍ぐらいに膨らまして
面白い話にするのが上手なので、気をつけなければならない。
うっかり彼らの話を本気にして、他の人に自慢げに話すと恥をかくことがある。
これは本当の話である。!(^^)!
その荻野とは、明日香港で待ち合わせをしている。(マニラは一泊一日)

 

それにしてもこの飛行機、やけに揺れてきた。
どっかの部品が落ちたか?
いえいえ、
そう言えば天気予報が、沖縄の方に台風15号?が来ていると、言っていた。
今はちょうどその真上を飛んでいるぐらいだ。
とすると、この揺れは台風15号の影響か?

 

この台風は、このまま行くと香港に影響を与える方向に向かっているらしい。
私は、明日、マニラからその香港に飛ぶことになっている
ちょうど今、真下にいるはずの台風と、
香港で明日再開か?
ドキドキである。

 

台風15号は私を香港で迎えてくれそうだが、
台風として小型で、大したことはなさそうだ。
しかし、その後ろから来ている台風16号は、中心付近の気圧915hPaと言っていた。
超大型の台風である。

 

私がフラフラと、フィリピンから中国各地に向けて仕事をしている間に、
名古屋を直撃でもしたら・・・
家族達のことが真剣に心配である。
これはドキドキどころでは済まないのだ。

 

出張すると、
いつも家族たちの心配だけが、悩みの種である

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    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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