2004年09月19日(日曜日)
1023.5年持つ訳ない?
前話で、私たちとはコンペティッターの立場にある会社の競合商品が、
裁判で負けたことを書いた。
商売上の競合品を、公の場で批判することは正しくない。
そう考えている。
だからこのサイトでも、
そのような競合品をけなすような文章は書いてこなかったつもりである。
逆のことはあってもだ。
しかし、今回の場合は、
商品そのものの性能のことではなく、
実は、その商品の売り方に問題があって、
つまり、「5年間輝き保証」という“誇大広告”に対して、
有罪とされた事件だ。
私は、この事件で槍玉となったコーティングについて、
よく知っているわけではない。
一通りの調査とテストはしたが、
すべてを分かったわけではない。
少なくとも、そのコーティングそのものがインチキ商品であるとは思っていない。
考え方の違いはあるが、
一つのコーティング剤として、こういう商品の在り方もあると認識している。
問題は、第一に、
販売者がありもしない「5年間の艶の効果」が“ある”と宣伝し続けてしまったこと。
しかし、
・誰が、こんなことを言い始めて、
・誰が、こんなことを信用して、ユーザーに宣伝し始めて、
・その間に、そのことを見破る誰かがいなかったものだろうか。
・なぜ、その嘘に気づいたはずの現場で、「これは間違っている」と言い出さなかったのか。
・ユーザーから数多く届いたはずのクレームに対して、なぜ、誰も問題意識を持てなかったのか。
言いだしっぺだけが悪いのではなく、
みんなが気がついていたはずなのに
誰も“否”と言い出さなかったところに、一番の問題があるように思える。
そして、第二に、
ノーワッスを謳いながら、
結果として、ユーザーにワックス掛けをさせていたこと。
宣伝に「ノーワックス」とあれば、「手間要らず」を誰もがイメージする。
だからユーザーは数万円もの出費をするのだろう。
しかし結果として、
メンテナンスと称す実質的なワックス掛けを、
お金を払った本人にさせるというのは、
いかにも切ない。
ユーザーを小ばかにしたトリックのような仕掛けだ。
こんな販売手法は、許される訳がない。
コーティングの評価の基準は難しい。
普通、「艶と撥水がどれぐらい長持ちするか」が基準とされるが、
私はそれに疑問を持っている。
コーティングの役割は何かを考えた時、
そういう基準だけで良いのだろうか、と思うのだ。
世の中のコーティングは、「何年持つ」という競争を繰り広げているような気がする。
その挙句の「5年の輝き保証」なのではないか。
KeePreコーティングは、
「3カ月以上の塗装保護の効果と、艶の維持の効果があります。
しかし、理想的なきれいさを維持するために6週間毎の施工をお勧めします。
KeePreコーティングの塗装面改善の効果によって、
素晴らしい結果を生みます。」
としている。
こう書くと、KeePreは3カ月しか持たないコーティング。
あるいはとり方によっては、たった6週間しか持たないコーティング。
となってしまう。
これは、美しさに対する主観の問題である。
どれぐらいの期間、どの程度まで美しさが維持できれば、効果があるといえるのか。
先の事件の対象となったコーティングについては、
「7ヶ月で艶が50%になった。ゆえに5年間艶が維持されるとは認められない。」
としている。
たぶん裁判所は“光沢計”とか、“輝度計”などを使ってテストをしたのだと想像する。
美しさとは人間が目で見て、気持ちで感じるものであり、
これらの計測計によるテストには、私は疑問を持っているが、
客観性を持たせる目に便宜的にこれらを使用したのであろう。
しかし、それにしても
光沢計などで計って、50%にまで下がった輝きとは
もはや輝きがどうのこうのというレベルではなく、かなりボケた状態だ。
ちょっとこれでは問題外だが、
感性の問題として、きれい!と感じるレベルを、たとえば100とした時、
私の感覚であるが、
70~80ぐらいまでが、まだ“きれい”と感じるのではないだろうか。
KeePreコーティングを
その程度を確実に維持できると思うから「3カ月待ちます。」と言い、
90以上のきれいレベルで乗っていていただくためには、
「6週間毎の施工を繰りかえしていただくと」、
何回かの施工後には、もっと高いレベル、95ぐらいのレベルにまで上がります。
「素晴らしいですよ。」と言う。
ユーザーは、車をきれいに乗っていたいわけで、
たとえば、
「50のきれいレベルにまで下がるのに、6ヶ月もかかります。
つまり6ヶ月持つコーティングです。」
と言われても、
そのユーザーが求めているきれいさが80のレベルならば、
6ヶ月の内の79~50の期間は我慢しなければならない期間であり、
コーティングが効いている期間とは思えない。
たとえば、事件のコーティングよりうんと素晴らしい耐久性を持ち、
2年かかって50のレベルにまでコーティングがあったとする。
それを丸一日の施工時間で、何万円ものお金を払って、やってもらっても
その人のきれいさに対する感性によっては、
2年のうちの大部分を我慢しなければならないのかもしれない。
この人はこれで幸せであるのであろうか。
私たちは違う考え方をする。
KeePreは基本的に、コーティングの神器「ポリッシャー&バフ」を使わない。
手とスポンジと水を使う。
施工時間はわずか30分。(水垢取りなどが入るともう10分程かかる)
30分とは、お客様が“待てる”時間と考えている。
特別に訓練された技術で、わずか30分で、
かなりのレベルにまできれいさを上げる。
元々の車の状態にもよるが、
ポリッシャーを使って磨き上げたきれいさを100とするならば、
90ぐらいのレベルにまで上げる。
ほとんどの人は、「わぁー、きれいになった!」と、びっくりしてくれる。
普通のワックス掛けなどに比べると、かなりきれいになる。
そして、きれいなまま乗っていただくために、6週間での施工をお勧めする。
その後、車を何日か、何週間か使って汚れて、洗った時も、
そのきれいさが違うはずだ。
6週間過ぎて、まだ十分にきれいである。
少なくともそう見える。
しかし、汚れは目に見えない程度に着いてきており、
ここでまたKeePreをやれば、きれいなままで有り続けることになり、
まだ良いと思えば、2ヵ月、3カ月と少しずつ汚れるが、そのまま乗り続けることも出来る。
その上でKeePreを施工しても、また元通りのきれいさがよみがえり、
何度か繰り返すごとに、最初よりもむしろ、きれいさが増してくる。
この概念は、言葉で表現することは難しいが、
ユーザーは、自分の車のきれいさを見て、やりたくなって時にKeePreをやれば、
元のきれいさに戻り、
何度か繰り返しているうちに、
最初より段々きれいになるという仕組みだ。
KeePreは30分。
いつも、待つことが出来る時間で、
5,000円程度の料金で施工することになる。
KeePreは、一度施工したらその被膜をどれだけ長く持たせるか、
という考え方ではなく、
継続的なきれいさを実現するために、
日ごろのお手入れとして続けられるコーティングなのである。
その方が、車のためになるし、ユーザーの幸せにもつながると思っている。
(先程、中国に帰る研修生を送るために少し酒を飲んでしまった。)
話が長くなってきた。
そろそろまぶたが重くなってきたので、ここら辺でとりあえずやめる。
何か、一番肝心な部分を書き残したような気もするが、
もう限界である。
とりあえずお休みなさい。
今日の昼。
札幌からの飛行機から見えた“富士山!”
富士山を見た日は、幸運が待っているという私のジンクスがある。
やっぱりその通りであった。
今日の夜あったことは、今は事情があって書けないが、
胸に沁みるいい事があった。
多分、あと3週間後には書ける様になると思う。
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2004年09月19日(日曜日)
1022.5年持つ訳ない?
このサイトの「快洗隊日記」の?10186に、
「やっぱり持たなかった。」と題して、
刈谷店のマネージャーがYahoo!のニュースで見つけた記事を掲載していた。
その記事は9月15日の読売新聞に載った記事で、
以下のとおり
――――――――――――――――――――――――――――――――――
「5年間ノーワックス」は虚偽、広告禁止と賠償命令
自動車用コーティング剤の「5年間完全ノーワックス」などの広告は虚偽で、不正競争防止法違反にあたるとして、ワックス製造販売会社「ウイルソン」(東京都中野区)が、自動車用品販売会社「T社」(大阪市北区)に、広告の掲載禁止と売り上げの減少分など1億1000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が15日、東京地裁であった。
飯村敏明裁判長は「被告の商品には、塗装の光沢を5年間維持する効果はない」と述べ、1000万円の賠償と、消費者が誤認する広告の掲載禁止を命じた。
判決によると、問題となった商品は「CPCペイントシーラント」。
被告は1988年から輸入、販売しており、カタログなどで「5年間の輝き保証」と広告していた。
T社の話「納得しがたい判決で、ユーザーが求める新商品開発が阻害されかねない」
(読売新聞) – 9月15日21時45分更新
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
実にダイレクトな記事で、
ここでも取り上げることを、どうしようかと考えあぐねたのだが、
やはり、書くことにした。
この商品については私たちとしても、消費者を欺く恐れがある大きな問題があると、
以前から強く思っていたからだ。
しかし、まさかウィルソンが、
「誇大宣伝のせいで、自社のWAXの売り上げが減った。」と、
裁判に訴えていたとは知らなかった。
やったぜウイルソン!である。
多くのカーディーラーで販売されていたこの商品、
新車の見積もりの中に、
車庫証明手数料とか、JAF入会とかと同じように「コーティング」として、
初めから入れてあり、
うっかりすると、
車を買えば、これをやるのが当たり前の付属品のような感じであった。
そのなかば強引なやり方に、
世界に誇る日本の車産業の最先端部分であり
車のことについては消費者からの絶対の信頼を持つカーディーラーがやることかと、疑問に思っていた。
ノーワックス(ノーメンテナンス?)で、
5年間も、美観の保持を実現するようなコーティング剤など、
あり得ないと断言できる。
最近の流行の、
ガラスなどの被膜を形成する無機質コーティグは、
無機質ゆえに、酸性雨とか紫外線に対して強い耐久性があり、
(アクアKeePreも含めて)、
膜そのものには、理論的に5年以上の寿命があったにしても、
実際に使用される車においては、
油分を含んだ汚れは、やはり、こびりつくし、
(ガラスに油汚れがつくように)
走行による異物の衝突、摩擦など、美観を損ねる要素は存在しており、
高品位な美観を保つためには、
半年程度でのメンテナンスが必要であると考えている。
ましてや、
アクリルとか、フッ素樹脂だとか、
いずれにしても有機物であるポリマーを使ったコーティングは、
紫外線などによる組織の劣化が必須であり、
数ヶ月の寿命はあったにしても、
年単位に及ぶ美観の効果の持続など絶対にない、と言わざるを得ない。
ちょっと視点を変えて、
たとえば、高分子重合体という意味では、“塗装”も、“ポリマー”である。
あと塗りのコーティングなどに比べれば、
分子的な結合がはるかに強く
大気中の汚染物質とか、
日光の紫外線とか、
塗装は、艶と美観を損ねる要素に対抗する性能に大変優れている。
しかし、ポリマーは有機物であり、つまり塗装も有機物であるので、
いずれは紫外線に破壊され、
あるいは大気中の汚染物質によって美観を損ねてくる。
塗装ですら美観において5年もの寿命は、
駐車環境、走行状況、などの条件が揃わないと保持できないものだ。
ましてや、
塗装との分子的結合をしていない被膜を
塗装の上に“上塗りポリマーでコーティング”し、
そのポリマーの被膜(コーティング)で、5年以上の艶と輝きを得るということは、
どう考えても無理な話なのだ。
あとから圧力で上塗りしたコーティングでは、
塗装より強い被膜を作ることなど出来ず、あるいは、作ってはならず
もし、エポキシ樹脂などで塗装より強く硬い被膜を作ったとしたら、
それは、“はがれ”を招くことは必至。
塗装の上に塗装より強い被膜を作ることは禁物なのだ。
だから、5年間の艶と輝きを保持するコーティングなどあり得ないと、言い切れる。
一言で言えば、
5年間保障の謳い文句は“嘘”である、と、考えてきた。
しかし、もっと根源的な嘘は、
たとえば、
この5年ノーワックスのコーティングを施工してもらうと、
“メンテナンス剤”を渡される。
「車が汚れたら、このメンテナンス剤を使って、自分でメンテナンスをしてください。」
という意味らしい。
そして、このメンテナンス剤とは、
私たちの見解では、ただのクリーナーワックスである。
つまり、ただ単なるコンパウンドの入ったワックスであって、
このメンテナンス剤なるものを使って、
車についた汚れを取ると、コンパウンドによって汚れも取れるが、
最初に塗ったコーティング剤も全部取れてしまう。
(これは実際にテストでメンテナンスをすると、
最初のコーティング被膜はすっかり無くなっていた。)
コーティング自体は汚れと共に無くなって、
クリーナーワックスのワックス分が塗装上に残っているだけ。
つまり、
普通にワックス掛けした後の状態になってしまっている。
すなわち、ここでいうメンテナンスとは、
ワックス掛けそのものであって
その後のメンテナンスも、ワックス掛けを繰り返すという行為に他ならない。
つまり!
何万円もかけて、5年間ノーワックス加工を施工して、
その後は、“メンテナンス”という“ワックス掛け”を自分でさせられる。
何というか、頭が良いというか、
これはある意味“罠”だ。
しかし、このようなコーティングを、
信頼するディーラーにやってもらって、その効果を信じている人に対して、
「あなたのやったコーティング、あれは実は罠なんですよ」とは、
絶対に言えない。
言われた人は、侮辱されたと思うかもしれないから。
騙された人に対して、「あなた騙されていますよ」と言っても、
まったく通用しないどころか、かえって迷惑がられるのと似ている。
今は、北海道・苫小牧のホテルの中、
もうそろそろ寝なくてはいけない。
続きはまた明日。
今日の夕方、
刈谷店に寄って来た。
そこにあった、ひたむきに車を綺麗にしようとする姿勢。
何とまともであることか。
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