2006年05月12日(金曜日)
1395.美容室と洗車の縁
面白い話を聞いた。
中部圏に近いある中堅都市での話。
小さな美容室があって、
よく繁盛していた。
その美容室の横では、磨きと洗車を売り物にした小さな店があって、
その洗車屋さんは脱サラした人がやっていて、
美容室オーナーの縁類関係の人らしい。
何かのきっかけで美容室の横の土地で店を開かせてもらったのだが、
その洗車屋が出来てから、
美容室に驚くべきことが起こったのだ。
美容室に来るお得意様の来店頻度が驚くほど増えた。
つまり、お得意様の来店サイクルが短くなったということ。
お得意様の数そのものはそれほど増えたわけではないのに、
サイクルが短くなった分だけ、
来店客数は増え、当然、売り上げも上がった。
理由は単純である。
今まで美容室に来る動機は、
頭をカットしたり、セットしたりなど、いわゆる美容のためだけだった。
ところが、美容室の横に洗車屋さんが出来てから
美容室で頭をセットしている時間を使って、
横にある洗車屋さんについでに洗車も頼むようになったお得意様が、
そのうちに、今度は車が汚れたから洗車をしに洗車屋さんに来るようになって、
そのついでに美容室にも来るようになった。
今までは、いわゆる美容のために美容室に来ていたのが、
それに加えて、
洗車屋が出来てから、
洗車をしに洗車屋さんに来て、
ついでに美容もやって行く機会が増えたのだ。
だからお得意様は、
頭をセットしたり、カットしたりを目的に美容室に来る場合と、
車を洗ってもらうついでに美容室に来る場合との、
2つの動機で美容室に来るようになったのだ。
だから、美容室への来店頻度が増し、売り上げも上がったわけだ。
共存共栄で、シナジー効果が非常にうまく上がっている典型であった。
ところが、その洗車屋さんが体を壊したか何かで、
洗車屋を廃業してしまった。
そうしたら、
ものの見事にお得意様の来店頻度が元に戻ってしまい、
せっかく上がった売り上げも、元通りに下がってしまったというのだ。
又聞きなので、どこまで本当なのかは知らないが、
面白い話ではある。
似たような話が一つ。
快洗隊の刈谷店での話。
刈谷店は快洗隊の一号店で、約8年半前に出来たのだが、
それまでは普通のガソリンスタンドであった。
刈谷店最初の頃
右隣がタバコ屋、その隣が小料理屋、そのまた隣が釣具屋さん。
それが今は、
右隣のタバコ屋は変わらずだが、
しかし、その隣が「理髪店」になり、そのまた隣が「クリーニング屋」になった。
そして細い道を挟んで昔からある小さな「クリーニング取次店」
大きい道を挟んで左斜め前には「コインランドリー」が出来ている。
刈谷店のすぐ近所に、4軒の「きれいにする店」が集まった。
「理髪店」→頭をきれいにする店。
「クリーニング店とコインランドリー」→衣類をきれいにする店。
その中心に、車をきれいにする繁盛店として快洗隊・刈谷店が君臨して、
その辺り一帯が、さながら5軒の「きれいにする商店街」を形成しているのだ。
そして、いずれも繁盛している。
刈谷店がガソリンスタンドあった頃からあるのは小さなクリーニング取次店だけで、
あとは快洗隊刈谷店になってから出来た店ばかり。
これはただの偶然だけとは言えないだろう。
何かをきれいにする店は、集まると何らかの相乗効果を持つのかもしれない。
その辺を確かめたくて、
刈谷店の2軒隣の理髪店「ポパイ?」に行ってみた。
この店は理髪店組合に属していない、業界の中では新参のチェーン店で、
定休日無しで、過剰サービスを排し、
15分で1800円の調髪を売り物にしている。
初めて「ポパイ?」に入って、椅子に座り、
「短くしてください。スポーツカットでいいです。」と注文をする。
と、やおら、バリカンを持ち出して、私が唖然としている間に、あっという間に、
短くなってしまった。
お見事である。
私の頭をカットしてくれたのは、
というより、バリカンであっという間に芝生のように刈り込んでくれた人は、
その店の店長であった。
店長に聞いてみた。
「この店に来る人って、
快洗隊で車を洗ってもらう間に床屋する人多いんじゃない?」
怪訝そうな顔をする店長に、私は自分のことをちゃんと紹介して改めて聞いた。
店長いわく、
「いるとは思うんですが、ちょっとよく分からないんですよ。
この店が半年前に出来た時、
洗車屋さんの人が来て『洗車屋のパンフレットを置いてください。』と言ったんで、
『じゃあこの店のパンフレットも洗車屋さんに置いてください。』って言ったら、
『いや、それは出来ません。』って言われたんです。
だから、来てるお客さんが洗車屋さんから来るのかどうかあまり分からないんですね」
私はしばし絶句して、
「いや~、それはごめんね。・・」
そのあと話は弾んで、気心が知れ、親しくなったことは違いない。
店長が私の注文どおり芝生のように刈り込んでくれた私の頭。
この話を快洗隊の社長である畠中君にしたら、
「んっ~~~~ッ」と絶句していた。
きっと彼のことだろう。
さっそく、2軒隣の「ポパイ?」に行って、店長と話をしてくるはずだ。
その時、彼がどんな頭になって帰ってくるか、
私は楽しみでしょうがない。
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