谷 好通コラム

2006年07月26日(水曜日)

1441.自分で勝手に作る

一昨日、もてぎサーキットで練習をした。
30日にもてぎで決勝レースがあるゴルフGTIカップレースの練習だ。
歳を取って運動神経が鈍くなっているので、
決勝前日の2本の練習だけでは、コースを憶える自信がない。
昨日は月曜日だが、
やるべきことをすべて日曜日までに片付けての練習。

 

“もてぎ”では雨であった。
朝から小雨がずっと降り続いて、コースの路面が乾くことは無かった。
私は雨のサーキットを走った経験があまり無いが、
ブレーキを踏んでも、アクセルを踏んでも、ハンドルを切っても、
雨は何をやっても、とにかくよく滑る。
そんな記憶があるだけで「わ~っ、雨か~、やだなぁ~」とだけ思った。

 

今回レースの面倒見ていただくのは石川朗氏
一昨年のスーパー耐久で、
?17キーパーインテグラをドライブしてくれたあの石川朗選手である。

 

石川選手は、
8月6日のスーパー耐久・富士スピードウェー戦に
?25キーパーインテグラ(十勝に出たあのインテグラ)に、H.オサム選手と共に乗ってもらう。
クラス4での出場だ。
だから、今度のスーパー耐久富士戦には、
?17ポルシェと、?25インテグラの2台、ダブル出場になる。
これは絶対に面白いので、
ぜひ皆さん、富士にキーパーカラーのポルシェとインテグラを見に来て下さい。

 

 

話はもてぎに戻る。
私は、走り始める前に石川選手からたくさんのアドバイスをもらった。
もてぎサーキットの走り方をコ-ス図とにらめっこしながら、
コース攻略のための
たくさんのアドバイスをもらった。

 

でも、雨に対しては、
「滑りやすいから気をつけて」だけ、
よく解ったのか解らないのかの雨アドバイスをもらって、
私は、勇躍、コースに飛び出た。

 

最初はおっかなびっくり、
でも、だんだんペースを上げていくにつれて車の動きが良く解る様になってきた。
雨のせいで車がコーナーの外側にすぐに滑り出すが、
その滑る動きが、尻と腰を通して良く解る。

 

コーナーのどこで何をすれば、どうなって、どう滑って、車のケツが出るのか、
雨のせいでスピードが落ちている上に滑りやすいので、
非常に良く解る。

 

石川選手のアドバイスが効いているのだが、
それだけではない。
乗っているゴルフGTIがノークラッチであることが大きい感じた。
最新の電磁式クラッチを使ったDSGは、
私から、苦手な左足でのクラッチワークから一切を開放してくれて、
私はアクセルとブレーキ、そしてハンドルだけを操作すればいい。

 

左足に弱点を持っている私は、
今まで、クラッチを踏むことにかなりの神経を使わなくてはならなかった。
クラッチとシフトに神経の70%は使っていたのではないだろうか。
残りの30%の神経でアクセル、ブレーキ、ハンドルを使い、車の動きを感じて、
だから、車が滑り出す瞬間などにも敏感に反応してこなかったような気がする。

 

それが、今回のDSGのおかげで、
100%の神経を使うことが出来るようになって、
感じられなかったことが感じられるようになり、
見えなかったことが見えて来た。
そのおかげで出来なかったことが出来るようになった気がする。

 

クラッチを踏む必要が無くなって、
サーキットを走る感覚が全く変わった。
雨の日でも全く怖くない。
車が自分の体の一部になったような、そんな感じがするほどだ。
かといって、そんなに速くなったわけではないが、
少なくとも精神的にものすごく楽になったことは間違いない。

 

こういうことって、いろんなことにも当てはまるような気がする。
物事を考え、進めるに当たって、
どうしても頭を支配してしまう余計なことを、思い切って排除してしまうと、
霧が晴れたように頭の中が明快になって、
行き詰っていた事柄が一挙に解決する。
こんなこともよくある事だ。

 

どうしても克服せねばと、
自分に重い荷物を背負わせたり、
運命と思って我慢していたハンディをあっさりと切り捨ててみると、
霧が晴れたようにすっきりとしてしまうような、
そんな事もよくある。

 

たまたまそこにあって、
あるのが当たり前のように我慢していたものが、
何かのきっかけで切り捨てる事になって、
捨ててみたら、それが意外なプレッシャーになっていた事に気が付く。
そんな事もよくある。

 

有って当たり前のように思っていた自分の限界を、
何気なく越えてみると、それが自分の限界でも何でもなかった事に、
初めて気がつく。
そんな事もある。

 

みんな、越えて見ればいいだけの、つまらない限界を、
自分で勝手に作って、
そんなものは大切でも何でもないのに、
意味も無く、後生大事に抱え込んでいる。
そんな事もよくあることだ。

 

捨ててしまえば何でもないことを、意味も無くいつまでも抱え込んでいて、
そんなものを捨てることが、意外と大切なこともある。

 

出来ないと思っている自分の勝手な思い込みを、
何気なく捨ててしまうことが、
それを出来るようになる一番簡単な方法であることを気がつくのは、
その限界をちょっと超えて見た瞬間であり、
越えてみると、何故、今までそれが越えられなかったのか不思議になる。
そんな事がよくある。

 

捨てなければならないのは、
自分で作った自分の勝手な思い込みである自分の限界。
自分で作った勝手な限界である。

 

もてぎですっきりしたあと、
仙台に向かい、昨日は仙台で一仕事。
その夜、最終の飛行機で名古屋に帰り、
名古屋に集まってきている力強い仲間達と飲んだ。
力のある人は、存在感も強い。
楽しくって、面白くって、
・・・
また、飲みすぎた。

 

 

仙台での増田君。
彼はこれを着たまま東京から新幹線で仙台にやって来た。

 

 

仙台のトレセンはこんな環境の中にあるのです。

 

 

仙台の空。
もう、梅雨は明けたに違いない。

 

 

仙台からの飛行機は最終便ではなかった。
一つ前の飛行機で、上空に上がったら下界がまだよく見えた。

 

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    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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