2007年03月31日(土曜日)
1610.不意に終わるかも
昔、あるところで、
夫婦が住んでいて、
動物が大好きなので、犬を飼う事にした。
選んだ犬種はパグ。
パグとは「握りこぶし」という意味で、
原産が中国、性格が陽気で、とても活発な犬である。
コロコロとしたメスの子犬をペットショップで買い、
名前を「モン」とつけた。
モンなんて雄の名前のようだと思ったが、
肩をゆすって歩く様子は、「モン」の名前が妙によく似合っている。
犬は成長が速く、一年余りで成犬となったが、
相変わらず「モン」の名前に似合って、コロコロとして愛らしかった。
飼い主は、成犬になったモンに子供を産ませる事にした。
モンに母親の喜びを味あわせたかったからだ。
ペットショップで、血統書の付いた雄パグと交配をさせてもらう。
もちろん有料である。
やがて妊娠したモンは
家で、家族みんなに手伝ってもらって、子犬を七匹産んだ。
モン+七匹の子犬の生活はハチヤメチャににぎやかで楽しかったが、
いつまでもこんな生活は無理であったので、
子犬二匹を残して、あとの五匹を外に出す事にした。
体の大きな雄の子犬二匹を、自分の田舎の妹の家と、その友達の家に。
可愛くて、動きが活発で丈夫そうな二匹をペットショップに買い取ってもらい、
体の大きな可愛い子犬一匹を、
なじみの動物病院を通じて貰ってもらった。
残ったのは、
体が一番小さくて弱々しそうなメスの子犬一匹と、
体がでかく、顔が真っ黒な、言ってみれば一番不細工なメスの子犬一匹。
外へ出したら一番心配な子犬二匹を家に残したのだ。
体がでかくて真っ黒な顔の子犬を「マー」、
ひょろひょろしたチビ犬を「ミー」と名づけた。
あれから14年。
親犬のモンも、子犬であったマーとミーも、すでに同じような老犬になった。
モンは、たった一年であったが一人っ子であった時の愛情の独占が忘れられず、
いまだに、自分の子供のマーとミーに飼い主の愛情が配分されるのが不満である。
嫉妬のまま年老いて、元気である。
体の小さなミーは白内障になって
でも、年老いているので体力が足らず、もう手術はしない方が良いと言われて、
目が見えなくなっても、“慣れ”で、家の中を自由に走り回っている。
体がでかく、神経も図太いマーは、
食欲も盛んで、ご主人が食事の用意をしてくれている間も、
我慢できなくて、「早くご飯をおくれ。」とキャンキャンと鳴いて元気であり、
誰もが、マーが一番に長生きするだろうと思っていた。
そのマーが、「喘息」になって、
ゼーゼーと苦しそうにしていて、体が小刻みに震えている。
なじみの獣医さんいわくでは、
「マーちゃん、意外と、この子が一番早く逝くかもしれんね。」と言われたそうだ。
誰もが、丈夫だと思い、
憎たらしいほど元気であると思われていたマーが、今、瀕死の状態であることを聞いて、
多分、誰からも「タフ」とか「バイタリティ」の言葉を冠詞に付けられる自分も、
ひょっとしたら、突然ばったりと逝ってしまう事もあるのだと、
しみじみ思い出された。
いつ来るかもしれない自分の人生の最後に、
「あれもやりたかった。」「これをやっておけば良かった。」
と思わなくてもいいような毎日を、
悔いなく過ごしていかねばイカンな~と、思ったのでした。
アメリカから一週間ぶりに畠中君と森君が帰って来た。
山ほどの話を持って帰って来た。
明日からの彼らの話が楽しみである。
※いつ撮ったかは忘れたが、
いつかは載せたいと思っていた雪山の写真。
いつか、いつかと思っていると、載せられなくなってしまうといけないので、
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