谷 好通コラム

2007年07月14日(土曜日)

1679.雨はしょうがない

二週間以上も梅雨前線が天気図から消えず梅雨が続いている。

 

おまけに台風4号が沖縄を暴風域に巻き込んで、もうすぐ本州に上陸だそうだ。
今度の週末は大荒れになりそうで、
洗車屋にとっては憂鬱な日々が続く。

 

沖縄には一年にいくつ台風が通るのだろうか。

 

 

もう二十年近く前のことであるが、
一度、台風で飛行機が欠航になって沖縄に閉じ込められてしまった事がある。

 

私たちの会社がまだガソリンスタンドだけを経営していた頃で、
燃料の仕入先である商社系の会社が、卸先のスタンドの経営者たちを招待する旅行で、
(昔はこんな事もあったのだ。)
約30名ほどの招待客がいた。

 

天気予報では、
沖縄に台風接近を知らせていたが、
その気になっているスタンドの親父さんたちに、
いまさら、旅行の中止を宣言するわけに行かないし、「まぁ、なんとかなる。」と、
とりあえず出発をした。
沖縄に着いて二日間は何事もなく観光をしたが、
三日目に、いよいよ台風がやってきて、
沖縄は暴風域に巻き込まれた。

 

翌日に帰る予定だったが、
予定の飛行機は欠航する事を早々に発表していて、
私達は予定通りには名古屋に帰れない事が決定した。

 

旅行のメンバーには、
「イヤ~困った。どうしても明日はずせない用件があるんだよね。」と言う人もいる。
「何とかならないか」と、
旅行の主催社であるその商社系の会社の幹事さんに詰め寄る人もいたが、
幹事さんは、
「しょうがないでしょ。台風が来ていることは分った上で来ているんだから。」と、
困った顔をしながらも、相手にしない。

 

まったくその通りである。
そういう状況になると予想される事を分った上で来ているのに、
いざ帰れなくなったら「困った、」と言うのは、おかしな話だ。

 

台風は本土に上陸すればスピードアップをするが、
沖縄あたりでは移動スピードが非常に遅く、
何日も暴風雨が吹き荒れる事がある。
その時も台風は沖縄に居座ってなかなか動こうとはしなかった。

 

そこで、みんなホテルの広い一室に集まって、
いつ飛行機が飛ぶようになるか分らないから、
飛べる事が決定したら、
全員ですぐ飛行場に向う事が出来る体勢をとることになった。

 

しかし、台風はそんなに急に動き始める事はなかろう。
あと二日間は、沖縄は暴風域の中にあると天気予報も言っているではないか。
少なくとも、その日じゅうに飛行機が飛ぶなんてことは絶対にあり得ない。

 

「こんなとこに閉じこもっていなくても、飛行機は絶対に飛びませんから、
みんなで、どっかに遊びに行きましょうよ。」
そうみんなに声を掛けるが、

 

みなさん、
「ひょっとして飛行機が飛べるようになったら、すぐにでも帰らなくてはならない。
みんな、大切な仕事を持っている経営者なんだから。
谷さんも、いつでも飛行場に行ける体勢でいてくださいよ。」
と、大部屋にみんな集まって、
マージャンをやったりしている。

 

私はなんかバカバカしくなって、
こそっと、連れ合いとタクシーで島内見物に出かけることにした。

 

沖縄は台風など慣れたもので、
(その時は大した台風ではなかった)
タクシーも普通に走っており、
それでも観光客は少なく、タクシーも暇そうで、
「観光で丸一日案内してくれて一万円でどう?」
そういうと、大喜びで引き受けてくれた。

 

台風はかなり大型で、道路のヤシの木が倒れんばかりに揺れていたが、
観光地は、台風に直接影響を受けないところがいくつも開いている。

 

何とかいう鍾乳洞と、
大戦中の日本軍の司令部になっていた洞窟と、
南部の激戦跡と、有名なひめゆりの塔。

 

全部で7時間ぐらいタクシーは島内を案内してくれ、
たくさんの話を聞かせてくれて、
しまいには、副業で先生もやっているという三線を引いて聞かせてくれた。
今でも、実に楽しい思い出となっている。

 

ホテルに帰ったのは、
そのあと晩御飯を国際通りの郷土料理屋さんで食べた後。
大部屋に待機している皆さんは、
ややくたびれた様子で、私たちがどこに行ってきたのか聞きたそうであったが、
先に「じゃあ、明日も頑張りましょう」と声を掛けて部屋に戻った。

 

次の日の朝も台風は去らず飛行機が飛ぶ様子はない。
ようやく暴風が去ったのはその翌日、
晴れ上がった朝、みんな晴れ晴れと飛行機に乗って帰ったのでした。
足止めを食ってから三日目の事である。

 

昔々沖縄での台風のお話。

 

台風が当分の間吹き荒れている事が分かっているのに、
「ひょっとして、飛行機が飛ぶようになった時に備えて待機する。」
それが、無駄な事が分かっているのに、
仕事が大事という姿勢を見せ続けるだけの行為が、如何にバカバカしいか。

 

飛行機は絶対に飛ばないのだから、
飛ばない事を前提とした行動をすればいいのに、
無駄な待機を続けるのは、無駄であるだけだと思う。
どう考えても出来ないものは出来ないと判断すべき状況ならば、
「ならばどうするか」と考えべきであり、
客観的にありえない事を「ひょっとして出来るかもしれないから、」と考えるのは、
無駄であり、間違った事だと思う。

 

雨が続くこのごろ、
どうしたら洗車のお客様にたくさん来てもらおうかと考えるのは、
基本的にはやはり無理だ。
ウィンドゥの撥水コートとか、室内清掃とか、
除菌抗菌処理とか、エアコンの消臭とか、
雨の日でも売れる商品はあるが、
それだけを買いに来店してくれるお客様はほとんどいない。
割引をしようと、何をしようと、
お客様は雨の日は車をきれいにしたいとは思わないのだろう。

 

これまで雨の日の洗車収益の確保について
色々と工夫をしてみたり、たくさんの試みをしたが、
すべてほとんど無駄であった。

 

それでも、すでに予約をもらっていたダイヤモンドキーパーなどの施工は、
雨の日でも行う事が多いので、
最低限の社員は出社して店を開けるが、
アルバイトさんには待機時給を保証して帰ってもらうべきであり、
休暇を取っていない者がいれば休暇を取らせる。

 

雨の日にスタッフを集める意味はほとんどない。
お客様のほうに需要がないのだから、
供給側の「雨の日でも収益を上げたい」という都合は通用しないようだ。
雨の日はジタバタしてもしょうがない。

 

 

今日の朝、羽田から広島空港に飛び、
空港バスに乗って福山に行き、快洗隊・新涯店を訪問した。
この店にはなかなか来ることが出来ていない、
広島で午後から仕事があったので、ちょうどいい機会と思って立ち寄ったのだ。

 

新涯店では、社員三人が待っていてくれたが、
店長の田和君は昼から用事があるので、私たちが帰ったら休暇になることになっていた。
それでも午前中三人もいても仕方がないので、
大掃除をやっていた。
待合室は、イスや机も全部外に出して床のWAXを掛けて乾かしてある。
「お客様が来たら入れないね。」と言ったら、
「いや、今日は予約もないから、来ませんから、大丈夫です。」
と、笑っている。

 

これでいいのである。

 

私たちの店に来店するのは、お客様の意思であって、
雨の日にその意思がお客様の中に発生しないのだから、
こちらの都合で、何とか来て欲しいと思っても、
それはお客様の意思なのだから、
無理なものは無理なのではないか。

 

その上で、何をやるべきかを考える。
大掃除なのか、休暇を取るか、
はたまた、ちょっと無理はあるがポスティングでもするか。

 

 

私も洗車に本格的に関わるようになってから約15年たって、
雨の日はジタバタしても仕方がないと、
やっと諦めがついた。

 

快洗隊・新涯店のメンバー
社員の北崎君、非常に有能なスタッフと聞いている。

 

 

パワーがあって優しい佐藤さん。
この人が一時の新涯店のピンチを助けてくれました。
この店にとってなくてはならない存在です。

 

 

店長の田和さん。
お客様からもスタッフからも信頼されている頼りがいのある店長です。
写真に写るのを嫌がる田和さんの背中を押しているのは
刈谷店のチーフから企画に転籍して、この日が初仕事の中井さん。

 

 

全員揃って

 

 

今日は、広島営業所でキーパープロショップミーティングが開かれた。
全国10ブロック最後の第一回ミーティングだ。
22名の熱心な方たちが集まってくださった。

 

他のミーティングでは、会議後、近所の居酒屋さんで懇親会を開いたが、
ここ広島では、トレセンの中でバーベキューである。
所長の山本君が決めた事だが、
トレセンの中は焼けた肉の煙が充満し、ムード満点。
アイ・タックの中で色々な部門でのトップを走る広島営業所のエネルギーを見る思いだった。

 

 

相変わらず熱心な神垣石油さんの大塚さん。

 

 

キーパープロショップ倶楽部広島ブロック、
ブロック長の多糠さんと、副ブロック長の広尾さん。
今年一年よろしくお願いいたします。

 

 

バーベキューをほとんど一人で焼いてくれた重長さん。
ありがとうございました。

 

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    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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