谷 好通コラム

2007年08月21日(火曜日)

1714.風呂掃除・足カバ-

私はそれを最初に見たとき、ぎょっとした。
まるでそれは風呂場を掃除する時に履く、ビニール製のサンダル。
サンダルというより、足カバーというべきか。
私の乏しい美的感覚からしても、とてもかっこいいとは思えない代物であった。

 

なんというセンスのない履物なんだと思っていたのだが、
それが今、バカ売れしているようなのである。
街のあちこちで見るようになった。

 

たまたま先週、地下街を歩く機会があって、
今度は、その変なサンダルを売っているところを目撃することになった。

 

私の感覚で言えば、
そのビニール製で一体成型している代物は、いかにも安物で、
中国産であろうし、せいぜい1,000円ぐらいの値段だと思っていた。
売っているのも、
たぶんディスカウントショップでワゴンに山積み状態、と思い込んでいたのが、
地下街のファッションブティックがずらっと並ぶその一角で
なんと、3,900円の値札付きで、しかも大切そうにキレイに陳列して売っているのだ。

 

赤、青、緑、黄色、白、黄土色、朱色、水色、紺色、
ありとあらゆる考えられるだけの色が揃っていて、
いかにも小さな子供用のサイズから大人のサイズまである。
どれも3,900円の値札付きで、
サイズ別にきちんと陳列してある。
しかも、そのサンダル(風呂の足カバー?)には、
穴がいっぱい開いていて、その穴につけるアクセサリーのようなものまで売っているのだ。

 

それを見て、
若い女性が「かわいい~」などと言っているではないか。
もちろん男性も一緒になって買っていて、飛ぶように売れていく。
私は何か見てはいけない悪いものを見てしまったような気がした。

 

この風呂の足カバーのようなサンダルは、
ビニール製の一体成型ものであって、
原材料費は間違いなく安い。
中国製ならば工賃も安いので、
原価はたぶん300円、高めに見ても400円。

 

それが3,900円の値札をつけて、飛ぶように売れている光景は異様に映った。
なぜ売れているのか、私には理解できない。
消費者の心になるように常に心がけているつもりだが、
私のセンスでは、こればかりは理解できない。

 

たぶん300円とか400円程度の原価で、
3,900円の売価では粗利益率90%であって、
サービス業以外ではとてもあり得ないすごい値段だ。

 

しかもこれが飛ぶように売れているのだから、
これを作り、販売している会社はぼろ儲けであろう。

 

何でこんなことになっているのか、
企画力? デザイン力? マーケティング力?
そのいずれもであろうが、
若い人の感性で作られ、若い人の感覚で売られているものなのだろう。

 

これを全く理解できず、
「バカバカしいもの」としか思えない私の感性は、もう錆付いているのだろうか。

 

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    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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