谷 好通コラム

2007年10月09日(火曜日)

1748.走れたら走ろうかな

また東京に向かっている。
野村證券が主催する経営者セミナーに出席するためだ。

 

日本のトップの人たちが今の日本をどう考え、どうしようとしているのか勉強したい。
また、経営者として、今、何をすべきなのか、どうあるべきなのか、
私自身たくさんのことを勉強しなければならないのだが、日々に追われて
じっくりと勉強をすることが少なくなっているのは私の怠慢であり、
それは自分に目的意識が希薄であることに相違ない。

 

経営者はいつも走っていなければならないと思う。
経営とは時間との勝負であるとも言える面が強く、
速さに負けると、ビジネスそのものに負けることが多いのは、
時代の流れの速い現代においては特にそうだ。
走るつもりがないどころか、
休んでばかりいて、歩くつもりすらない者を待っている訳には行かない。
どんどん先に走る。
遅れる者がいれば首根っこをつかんで引きずってでも、前に進む。
待って、自分のスピードを落とすことが、
私自身だけではなく全体にとってマイナスならば、待つべきではないだろう。

 

なんちゃって、突っ走り続けていて、
ふと気が付いたら、
後ろに誰もいなくなって独りぼっちになっていたりしても困るし、
無意味に空中分解してもつまらない。
やっぱり、
アクセルは踏んだり緩めたりか。

 

でも、スピードを調整するだけならアクセルのオン・オフだけでも済むが、
必ずしも直線を走っているわけでもないので、
アクセルのオンではアンダーステアになり、
オフではオーバーステアになることも忘れてはならない。
うっかり油断すると
先週のSUGOでの私のように、
不用意なアクセルオフで、唐突なオーバーステアになり
コーナーに巻き込まれてスピンすることにもなる。

 

行動として、アクセルを思いっきり踏むと、
横Gが大きくなって思ったよりコーナーの中で膨らんだりするのは、
無理な目標を立てても誰もついて来れずに、かえって意欲を喪失しまうことに似ている。
かといって、
アクセルを戻して楽にコーナーを回ろうとすると失速するし、
あるいは、スピードにビビって不用意にアクセルを戻したりすると、
不意にオーバーステアになってコーナー内側に巻き込んでしまうのは、
低すぎる目標を立てることによって
会社の勢いに力が無くなって、
会社が持つべき本当の目標を見失ってしまうことに似ている。

 

アクセル全開で全コースを回りきれることはあり得ないが、
スピードを調整するために
単にアクセルを開いたり戻したりすればいいというものでもない。
その時に置かれている自らの位置と状態を見極めた上で、
アクセルを開いたり戻したりすると、どのように全体の挙動が変化するのかを、
適切にコントロールする必要がある。

 

車はアクセルを踏んでいた方が基本的に車体は安定する。
会社においても、全員が拡張と成長を目指してイケイケドンドンの時の方が安定している。
しかし、スピードを調整すべき場面では車の挙動が不安定になるのと同じように、
会社全体の心の動きが不安定になる。
会社に経営において調整をする時は、拡張している時の何倍もの力を使って、
ハンドル操作に神経を集中しないと、
思わぬアクシデントを引き起こす事態を引き起こすことがある。
アクセルは、踏むときよりも、
戻すときの方が何倍も難しいのである。

 

自らがこれからすべきことを考えるに当たって、
つい、0.1秒を争うサーキットでのことを思い浮かべてしまった。

 

勉強しよう。
週末のレース、走れるなら走ろうかな。

 

 

・・・・・・・
とっ、ここから、
セミナーが終わってから書く。

 

野村證券の経営者TOPを対象としたセミナーは、なかなか面白かった。
リチャード・クーの日本と世界の経済を解説した話は参考になったし、
ドトールと日本レストランが経営統合して出来た会社の会長の話は、
とんでもない利益を生む会社を作り出したその合理的な考え方、
話し方と、それに風貌がアドバンスの佐藤社長に似ていて、とても面白かった。
そのスタイルに成功する会社の一つのポイントが分かったような気がしたのは、
リチャード・クーの話とは違った意味でとても勉強になった。

 

東京駅のすぐ近くの巨大なビルの中で行われたセミナー、
セミナーのあとの懇親会は、
約二時間の立食パーティーは私の足には無理なので、欠席する。
その代わり、
東京営業所の鈴置部長と機械メンテを担当している佐藤大樹君を呼び出し、
東京駅丸の内北口の隣、大手町のガード下の飲み屋さんで飲んだ。
東京・丸の内と言えば、
日本を代表する超一流企業のビルが並ぶ日本?1の高級ビジネスの街だ。
それに超近距離で隣接したガード下の飲み屋さんは、
意外にもリーズナブルで、
私が生ビール2杯、抹茶サワー2杯。
鈴置君が生ビール2杯、抹茶サワー1杯。
運転者をかってでた(されられた)佐藤大樹君がウーロン茶2杯。
酒のツマミに、
ハラス焼き1人前(以降すべて1人前)、ジャーマンポテト、おでん、
ほうれん草とベーコンの炒め、牛肉コロッケ、肉じゃが、チーズ盛り合わせ、
思い出せないがあと二品。

 

これで9,080円(消費税込)であった!

 

日本のど真ん中である東京の、そのまたど真ん中の丸の内の隣、
丸の内界隈はあまりにも土地が限定されているため値段のつきようがないが、
あえてつけるならば、一坪何百万円なのか何千万円なのか検討がつかない。
いずれにしても想像を絶する価値の丸の内の、ど真ん前(ガード下ではあるが)の居酒屋で、
三人の大人が満足するだけ飲んで食べて9,080円は安い!(半分以上は私が食べた)

 

 

丸の内にある日本を代表する巨大企業に勤めるサラリーマンは、
ビルの中で世界を語り、日本を左右するような議論をして、
夜は、こういうところで、一人3,000円見当の酒を飲んでいるのだろうか。
そういう意味では新橋も同じようなことなのだろうか。
私は、高尚な場所は苦手だが、
こんな砂漠の中のオアシスのように、安い居酒屋がある東京が、
そのど真ん中の丸の内すら、大好きになりそうだ。

 

大手町ガード下の居酒屋を出たところから撮る。

 

 

佐藤大樹は岩手県出身。
しかし、北海道が大好きで社会人になってから札幌に移り住み、
昨年、札幌営業所でこの会社の社員になった。
しかし、会社の都合で東京営業所に転勤をしてもらったので、
人員の都合がついたら、彼の大好きな札幌に早く帰してあげなくてはと思っていた。
ところが、彼と彼の奥さんは東京がすっかり気に入って、
東京に住むと言い出している。

 

 

その訳は、彼のとても素敵な奥さんが(佐藤は奥さんに弱い)もともと日ハムのファンであり、
自分たちが東京に転勤になったことをいいことに
日本ハムの二軍の本拠地がある千葉の球場にしょっちゅう行くようになった。
そのうちに、
二軍の選手ばかりか一軍の選手までが一人残らず彼女のことを知るようになり、
奥さんは(実奈子さん)は、すっかり東京が気に入ってしまったのだそうだ。
もちろん佐藤大樹も東京が大好きだと言う。
(東京では勉強ができるからと言っているが、)
いずれにしても、無理を頼んで来てもらった東京で、
二人とも幸せだとしたら、こんなに良かったことはない。

 

佐藤大樹が肌身離さず持っている実奈子さんの写真。

 

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    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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