2008年03月08日(土曜日)
1863.「ご注文のメニューはお決まりですか?」
私たちが洗車などのご注文を頂戴するのは、
必ずお客様に店内に座っていただき、メニューブックを見ながらと決めている。
お客様のその時のご都合とお好みによって、
私たちがご用意した多彩な「キレイ」の中からお選びいただきたいからだ。
しかし、常連さんになると、
車で店舗に乗りつけるなり
「いつものやっといて」とおっしゃっていただく場合もあるが、
「はい、分かりました。」と返事をした上で、
店内に入ってから、メニューブックを示した上で
「今日のご注文は○○ですね。ありがとうございます。
他に何か気になる汚れはございますか?」と聞くようにしている。
こうすることによって受注の間違いを防ぐと共に
なるべく多くのキレイを実現し、
お客様にご満足していただきたいからだ。
いちいち店内でご注文をもらうことに、面倒がられる方もいないではないが、
慣れていただくと、必ず店内でのご注文をいただけるようになる。
私たちはプロとしてのプライドを持って、
しっかりとお客様に満足いただけるようなご注文を受けたいと考える。
ところが、
先日の快洗隊直営店の店長会議で意外なことが分かった。
私たちは「電話による予約」をお客様にお勧めしている。
お客様に余分な待ち時間をお掛けしないためだ。
その予約電話を受けた時に、
時間のやり取りが済んだあと、
「○○様、何日の何時何分のご予約ですね。」に続いて、
「ご注文の洗車メニューはお決まりですか?」と聞いていたのだ。
予約をいただいても、
そのお客様が何をご注文されるのかある程度分からないと、
作業の予定を組み立てられないからだという。
それはそれで当然だろうとも思う。
予約の電話をいただいたスタッフは、
店舗に入っているスタッフの数と、
予約注文の入っている状況を見て、
予約なしで来られたお客様の受け入れ枠を確保しつつ、
次の予約を何時台の何分頃に予約を入れられる枠が何台あるかを判断しながら、
次の予約を受け入れていくのだから、
時間のかかる重いメニューであるのか、洗車だけの軽いメニューなのかを
ある程度、知らなくては予定の組みようがない。
もちろん、お客様が「決まっていない。」と答えられれば、
「では、ご来店いただいてからお選びくだい。」と言うし、
ご来店の後、電話でおっしゃったメニューの変更も、追加も大歓迎としている。
しかし、電話で
「何か、洗車メニューはお決まりでしたか?」と言われれば、
普通の人は、
「予約をする時は、何か決めておかなければならないのか。」と思うだろうし、
来店してからも、
「電話で言ったメニューしか注文してはいけない。」と思ってしまうだろう。
いくらこちらが
「予約内容の変更も追加のメニューも大歓迎」と思っていても、
お客様にはそんなことは伝わらないと考えたほうが自然だ。
「店“内”受注」を鉄則していたのに、
電話予約をいただいた時には、
うっかり「店“外”受注」をやってしまっていたのだ。
今考えると、電話予約で来られたお客様は、
お買い上げの平均単価が低くなっていたかもしれない。
電話予約での
「ご注文の洗車メニューはお決まりでしたか?」の一言が、
知らず知らずのうちに、
お客様に対して
?「予約は、あらかじめ何をやってもらうか決めておかなくてはならない。」
?「店に行ってスタッフに相談してからメニューを決めることが出来ない。」
?「電話で言ったメニュー以外には注文しにくい。」
などの制約を与えてしまっていたかもしれない。
これでは「店内受注」どころか、
「店外受注」の悪い所のすべてを集めたことになる。
私たちが、居酒屋とかレストランを電話予約した時に、
「ご注文のメニューはお決まりですか?」とは、絶対に聞かれないだろう。
団体での予約時にはある程度聞かれるかもしれないが、
洗車の予約に「団体」はあり得ない。
あるいは、
誰だか忘れたが、スタッフの一人が発言していた。
「僕が、“美容院”に予約の電話を入れた時に、カットなのか何かを聞かれた時、
すごく嫌な気がしました。なんか、来られるのを嫌がっているような感じがして。」
私は一生美容院にお世話になることはないだろうが、
彼の言うことは分かるような気がする。
「ご注文のメニューはお決まりでしたか?」は、
お客様に制限を与えるだけでなく、
ひょっとしたら、嫌悪感まで与えることになる可能性がある。
つまり、何を注文するのかを予約電話の時点で聞くのは、
それは自分たちの都合の問題であって、お客様の都合とは関係のないことだから。
自分たちの作業の都合、
それもその次の他の作業の都合で聞いているだけであるから。
お客様にとっては、「店外受注」を強要されているようなもので、
快洗隊の鉄則「お客様の欲求を満足していただくため」の
「待合室に座っていただいての店内受注」に、
根本的に反していたのかもしれない。
意外なところに、落とし穴があるものだ。
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