谷 好通コラム

2008年03月26日(水曜日)

1876.アンカレッジのB707と羽田のB777

ガソリンの暫定税率が延長になるか、廃止になるか、
今、ガソリンスタンド業界は戦々恐々である。
廃止になった場合、
4月1日からすぐにガソリンが25円安く販売できるかと言えば、まったくそうではない。
元売りの油槽所から運ばれてくるガソリンの税金が安くなるだけで、
それまでにガソリンスタンドの地下のタンクに入っているガソリンは
もうすでに課税されているので、高い税金のままなのである。
だから、スタンドでは3月31日閉店時点で地下タンクを空っぽにして、
4月1日朝一番でタンクローリーに来てもらい、
税金が安くなったガソリンを入れ満タンにしたいところだが、そんなにうまく行くわけがない。
だいいち配送にそれだけのキャパシティがある訳が無いのだ。

 

それに3月月末近くなると一斉に買い控えが起きるだろうから、
地下タンクには減税前のガソリンが相当量残ることになる。
しかし、
一般のお客様は、4月1日から当然25円安くなると思って来店されるので、
「まだ高い税金のガソリンが残っているので、25円分を安く出来ません。」
とは、なかなか言いづらい面もあって、
かなりの量のガソリンが、
高い税金がかかったまま、25円値下げして売られることも考えられ、
ただでさえ苦しくなっているガソリンスタンド業界にとって、これは大きな痛手である。
しかも、
しかもだ、原油高の影響で、
4月から5円/ℓの製品値上げが各販売会社に通告されており、
減税-25円+5円の製品値上げで、
実際は、ガソリンスタンドでは仕入れは20円/ℓしか下がらない。
だから、店頭価格も20円/ℓしか下げられないのに、
一般のユーザーは25円/のℓの減税しか頭にないだろうから、
20円/ℓ下げただけでは「5円の便乗値上げ」と取られかねない。
今回の状況はガソリンスタンド業界として、正に、踏んだりけったりのなのである。

 

たくさんのガソリンスタンドにお世話になっている私たちとしては、
お気の毒としか言いようがないのだが、
何のお手伝いをすることも出来ない。

 

私たち洗車とかコーティングをビジネスにしている商売は、
形のある商品を販売する物販ではなく
形のない商品を提供するサービス業なので、仕入れが少ない。
仕入れが少ないという事は
支払いも少ないということなので商売としては楽であるし、
今回のガソリンスタンド業界のような悩みも発生しにくいので
良い商売のように思われるが、
私たちは私たちでそれなりの悩みもある。

 

このビジネスは労働集約型の産業なので経費の多くを人件費が占める。
だから、
快洗隊単独で考えるならば14軒の店舗の売り上げベースで年商6億円前後であるが、
たとえば粗利益率があまり高くない物販の会社に換算すると、
本当は年商25億円ぐらいの規模になるはずだ。
ほとんどの場合、会社の規模は売り上げの年商で表現されるので、
たとえば普通の物販会社100億円の業容と同じような業容を将来快洗隊が持ったとしても、
洗車業では25億円程度の年商しかないことになる。
なにか寂しいではないか。

 

そんなことはどっちでもいいではないか。
と、お叱りを受けそうであるが、
店舗建設の資金を調達しようとした場合、
一店舗約3,000万円の建設資金に対して
1年目の洗車売上げが3~4,000万円程度というのは、
[売上げ/建設資金]という率で言えば、かなり厳しいものがある。
そこは粗利益率が高いことを利して、
[経常利益/売り上げ]の経常利益率が高い、
つまり、収益性の高さで勝負することになる。

 

しかし、それもこれも経常利益でプラスが出ての話で、
経常利益がマイナスならば、
ただ単に、売り上げの少ない、しかも赤字のビジネスであるということになってしまう。

 

洗車&コーティングのビジネスとは、
売り上げが少ない分、キャッシュフロー上でのリスクは少ないが、
事業として拡大するためには、
石にかじりついても、
黒字を出さなくてはならないというシビアな面もあるビジネスでもあるのだ。

 

粗利益率は低いが売上高が多いビジネス。
粗利益率は高いが売上高が低いビジネス。
それぞれ一長一短がある。

 

しかし、洗車やコーティングをメインにするビジネスが世の中に広まった時代が来たら、
「洗車税」とか「コーティング税」なんて訳の分からない税金が出来るかもしれない。
すごくいやだなぁ、と思う。

 

ガソリンの価格が100円前後であったころ
揮発油税などが、ガソリンの価格の半分以上を占めていた時代もあった。
そういう意味では、石油販売業は超高額な税の徴収協力産業であった訳だ。
そこまで高い税金の徴収に協力させられてきた産業に、
暫定税率の突然の撤廃や、
ひょっとしたら短期間でまた復活などという政治的な駆け引きで、
業界全体が死活問題にさらされるのは、
心情的にも、道義的にも、いかにも理不尽であり、どうしても納得がいかないのは、
私だけではないと思う。

 

 

 

真面目な話の後でどちらでもいいことだが、
昨日、千歳⇒羽田⇒福岡と飛んだ時、
千歳⇒羽田の飛行機と、羽田⇒福岡の飛行機がまったく一緒の飛行機であった。

 

羽田空港で飛行機を降りたあと、
その飛行機を目の前にして約1時間座って待ち、
またその飛行機B777に乗り込んで、福岡に飛び立ったのだ。
初めての経験である。

 

大昔、ロシアがソ連であり、冷戦の真っ只中の頃、
日本からヨーロッパに飛ぶ便は、今のようにシベリア上空を飛ばず、
北極をまたぐような空路であり、
日本を飛び立った飛行機は「アラスカのアンカレッジ空港」に一度降りて、
給油後、北極経由でヨーロッパに飛んだそうだ。

 

私が小学生の頃、つまり40年以上前、
私の親父「谷 武」は、東欧の国「チェコスロバキア」に、
「国際見本市」で自社の機械を紹介すべく飛んだのである。
海外旅行をする人自体がまだ極端に少なく、
ましてや東欧の国に行く者などほとんどいない時代、
アラスカのアンカレッジ空港にいったん降りてヨーロッパに飛んだ話を、
子供であった私は、親父から興奮しながら聞いたことを思い出した。

 

親父も、アンカレッジ空港で
今回の私のように、(私の方がスケールはうんと小さいが)
自分が乗ってきた飛行機B707を目の前にして、時間を待ったのだろうなぁ。
そう、久しぶりに親父のことを思い出した。

 

千歳空港から飛ぶ前のB777と、
羽田空港でいったん降りたB777。

 

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2008年03月26日(水曜日)

1875.私たちの大きなメリット

札幌から東京経由で、福岡へ飛ぶ。
今は、その千歳空港から羽田空港へ向かう飛行機の中。

 

札幌は暖かかった。
昨夜千歳空港に到着した時、
雪(みぞれであった)が降っていたので、
やっぱり北海道は寒いや、と思ったのだが、
実際の気温は高く、
三月中に5日間連続で10゜Cを越したのは実に117年ぶりだと
空港のCATVに出ていた。
(恐ろしいことである)
だから、今年の冬、雪がたくさん降って出来た道路脇の「雪の山」も一気に溶けて、
ほとんど無くなっていた。
雪が溶けたあとは、
雪の中に閉じ込められていた土埃が一斉に舞い上がって、
今の季節の北海道はひどくホコリっぽいのだ。

 

車も一様に汚れている。
雪が溶けて、道路も乾いて、この土埃がなくなると、
やっと北海道にも「洗車」の季節がやってくる。

 

今月の快洗隊・札幌店の勢いはすごい。
責任者の西岡さんも冬の間のうっぷんを晴らすように、
「板金塗装」「デントリペア」「高額コーティング」と飛ばし続けている。

 

本格的な洗車のシーズンはまだだが、
雪が積もっている間、
ヒサシからツララが落ちたり、屋根からの落雪で
車の天井などが凹んだ車の「デントリペア」が
今の時期、ものすごい数なのだと言っていた。
今月だけでもデントだけで100万円以上の仕事をしたとも。
もちろん雪道でスリップした傷の板金塗装も多い。
板金塗装はスーパー職人藤井さんの出番だ。

 

デントリペアは一時ブームになったが、
その技術はとても難しく、
しかも、デントで直る凹みと板金しなければ直らない凹みとの見分けが難しいので、
苦労も多く、
今ではデントリペアを使っている技術者は滅多にいなくなったという。
札幌のエムズ快洗隊札幌店は、
純水手洗い洗車、板金塗装、デントリペア、鏡面研磨、
すべてのキーパーコーティングと、
車をキレイにする事すべてに関して、
万能の能力を持った本当の意味での「スーパー快洗隊」なのである。

 

24日現在、快洗隊札幌店はすでに345万円の売り上げを計上している。
現在393万円でトップを突っ走る刈谷店には及ばないが、
三月月末までに400万円以上行くのは確実だろう。刈谷店は500万以上か。

 

三月は例年とも平均よりもわずかに売上が少ない月であるが、
たぶん、13軒(五香店は改装休業中)合計で4,500万円を売り上げ、
快洗隊一軒あたりの平均売り上げは約350万円以上にまではなるだろう。
この調子だと、三月以上の実績が出るはずの月
四月、五月、七月、八月、十月、十一月、十二月にどうなるのか非常に楽しみである。
とりあえずの平月の目標5,000万円を突破できる手ごたえは、もう感じている。

 

前年対比で約140%。
なぜこんな好調なのかと言えば、
黄砂の影響も有るだろうが、
やはり「ダイヤモンドキーパー」「アクアキーパー」「クリスタルキーパー」が、
新車や車検に絡んで施工される数が著しく増えていることだ。
そして無視できないのがそれぞれのメンテナンスの数。
そして、繰り返すキーパーコーティングも安定して増えている。
新車からやおらキーパーのサイクルに入る人も多い。

 

三月から四月にかけては、新車の販売が一番多い時期。
だから必然的に車検時期の車も多い。
それに合わせて、
高価格・長寿命のダイヤモンド・アクアや、キーパーなどが非常に活発になるのだ。
この傾向は、最近になっていよいよ顕著になってきている。

 

高価格で長寿命を謳うコーティングを、
カーディーラーが、副収入として新車に施すことを推し進めてきた結果、
最大手メーカーのディーラーでは70%の施工率であり、
外車に至っては90%以上の施工率であり、
今では新車販売全体の60%以上の施工率になっている。
その結果、
この手のコーティングが、広く世の中に広まり、
一般の人にとっても、普遍的な商品になって来たという事実がある。

 

かつてはマニアックな人だけが施工していた「コーティング」も、
ごく普通の人が、普通に施工してもらう、普通のことになったのだ。

 

 

ここ二三年で、
コーティングに対する一般ユーザーの意識が激変した。
カーディーラーの施工する新車コーティングの功罪は別にして、
「車はコーティングするもの」が常識になっているのである。

 

ことコーティングとか、洗車に関わるユーザーの意識という面においては、
「世の中は、もう変わった。」のである。
「変わりつつある。」のではなく、「もう変わった。」のである。

 

 

・・・・
と、ここから、羽田空港から福岡空港へ飛ぶ飛行機の中で書く、

 

 

世の中のユーザーの意識が変わったから、
「新車、車検時のコーティングは、プロにお任せを。」という呼びかけに、
たくさんのユーザーが反応してくれるようになったのである。

 

三月八日にこのチラシを 工事が絡む五香・知立店を除く12店舗 3万枚ずつ新聞折込した。
いまだかつてない良い反応である。
四月四日に、もう一度各店、今度は”全店で”3万枚ずつ折り込む。
三月が自動車メーカーの決算に絡む新車販売のピークだとしても、
実際の納車は四月になる場合がほとんどだ。
そういう意味で四月には三月以上の効果を期待している。
四月施工のコーティング予約もかなり入ってきている。
その数は多く、想定外である「世の中が変わってしまった」かのように。

 

しつこく繰り返すのだが、
今や「コーティングは、普通の人が普通に施工する時代に変わってしまった」のである。
肝心なのは、ユーザーに
「ここなら数万円するコーティングを施工してもらってもいいな。」
と思ってもらえるような店舗であるかどうかである。
前話の「どんな歯医者さんを選ぶか」であるように、
「数万円のコーティングを施工するにふさわしい環境」はやはり必要だ。

 

油汚れがなく、
少なくとも汚くなく、
クリーンな環境。
ビニールカーテンでも良いから、
少なくともホコリをかぶらないような施工環境は造りたい。
そして、
お客様がゆっくりとコーティングの説明を受けられるように
ちょっとしたフロントがあって、
小さくとも清潔な待合室があって欲しい。
そして、
きちんとした技術を習得していて、
知識も十分で、経験を積み、
清潔なユニフォームを着て、
そして接客の基本を身に着け、お客様の身になって相談に乗れる、
そんなスタッフがいれば、
鬼に金棒である。

 

私たちは、コーティングを施工していただいた後の、
アフターケア、つまり手洗い洗車やメンテナンス、
あるいは繰り返しコーティングするインフラを持っている。
加えて、いつでも気軽に来店できる開かれた店舗を持っている。
この点は大きい。
他の業種では中々得られないメリットだ。

 

ほとんどのカーディーラーさんが、
下請けさんに頼っているコーティングは、
お客様にとって、
どんな人が、どんな環境で、どんな道具を使って、
どんな技術で、どんな工程で施工されるのか、
まったく分からないまま施工されることになっている。

 

その点、私たちは(SSさんなども含めて)、
「技術認定を持ったこの私が」
「この清潔な環境で」
「良く手入れされたこの道具を使って」
「このような工程で施工させていただきます。」
と言える立場なのだ。
これは、そうでないことと比べると、圧倒的に優位である。
私ならそういう店で施工してもらう。
そういう歯医者で治療を受けたいように。

 

そして、
アフターケアとして
「コーティング施工後は、汚れたら洗車にお越しください。」
「訓練されたスタッフが、コーティング用の手洗い洗車をいつでもさせていただきます。」
「コーティングはメンテナンスが肝心です。時期が来ましたらご予約ください。
「お車の状態を見て、適切なメンテナンスをさせていただきます。」
「コーティングももちろんですが、キレイにお車に乗り続けていただくために、
万全なアフターケアこそが、私たちの仕事だと思っております。」
とまで、私たちは言えるのだ。
これが言えるのは、
私たちの大きな、大きなメリットではないか。

 

お客様の立場に立って考えてみれば、
これを言ってくれ、実行してくれる店舗でこそ、
大切な愛車にコーティングをやってもらいたいのではないか。

 

カーディーラーは車を販売する時、
整備などのアフターケアが万全であることを強調する。
コーティングについては、
それが出来るのは、私たちこそ、なのではないか
私たちこそが、コーティングのアフターケアを提供できる立場なのではないか。
この点について、私たちは明らかに優位に立っているのではないか。

 

「コーティングをするのが当たり前」になった今の時代、
その主役になるべきは、
ユーザーのために、
すべてを見せ、安心して施工してもらえる私たちであり、
アフターケアを万全に提供できる私たちであるべきと、私は結論せざるを得ない。

 

・・・・・

 

暖かくなって、ついジャンパーを札幌に忘れてきてしまった。
今年、5回目のジャンパー忘れである。

 

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    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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