2008年07月04日(金曜日)

1960.人を騙す仕事をする人

今日は朝一番の「しおかぜ1号」に乗って四国・伊予三島に来た。
午前6時半に起きたが、今日の朝は起きるのがとてもつらかった。
昨夜ホテルのベッドに入ってから寝むれなかったのだ。
うつらうつらとはするのだが、
頭に一つの光景が浮かんできて目が醒めてしまうのだ。
寝る前に遅い晩御飯を食べたホテルのレストランで見た光景が、
どうしても頭に浮かんでくる。

 

 

 

昨夜、私達が着いたテーブルのすぐ近くに三人連れがいた。
若いポロシャツの男性がテーブルの前の椅子に座っている。
その横の椅子には若い女性が付き添うように背筋を伸ばして椅子に座り、
二人の前には一流のビジネスマンのように立派な服装をした中年の男性が一人で座って、
若い男性に何かを説明している。
「代理店が開拓した販売店が、商品▲▽×を売ったら、
その販売手数料と指導料が、代理店である君の口座に本部から支払われて・・・・・。」

 

マルチ商法である。
ねずみ講とか無限連鎖販売とか色々な言い方をされているが、
要するに、一見、楽してボロ儲けが出来る魔法のような商売だが、
無限連鎖という現実には絶対にあり得ないことを前提にしているので、
必ず破綻が来る商法で、このマルチ商法で儲かる人は皆無と言っていい。
たくさんの人が大損をしているもので、
多くの人々の犠牲の上に成り立った悪質な詐欺商法と言える。
一昔前まで群がるハエのようにマルチ商法が若い子たちを食い物にしていたが、
法規制が行われてからいくらかは下火になった。
しかし、いまだにゴキブリのように生き延びているものもあるようだ。

 

私はまさにその勧誘現場に居合わせてしまったのだ。
立派な服装の中年ビジネスマンは、
やさしく、信頼が置けそうな話し方で話し続ける。
「君のやる気が直接君の収入になるわけで、問題は君にどこまでやる気があるかだね。」
「この商品は、アメリカNASAが正式採用してスペースシャトルに使われている物だよ。」
「君の友達にも、この素晴らしい商品を是非教えてやってほしいだよね。」
しばらくそのビジネスマン風が話すと、どこかへ行く。
そうすると若い男性に付き添っているような若い女性が話しかける。
なだめるように、
女性「どう、話分かる? ちょっとむずかしいかなぁ」
男性「分かるけどさあ・・・・、だけど・・」
直にビジネスマン風が戻ってきて、
「さぁ、結論を出そうか。・・・」

 

聞いているとイライラしてくる。
善人づらして、親切がましく、丸め込んで、犯罪的に騙している生の言葉。
その端々が聞こえてくるのは、けっこう苦痛である。

 

 

しかし、その若い男性は、
頭がいいのか、ずれているのか、
理路整然としたビシネスマン風の騙しの言葉に、
ちょっとピントはずれの返事をしている。
それが可笑しいやら、
余計イライラするやら。
その後も、話を続けていたが
どうもレストランの閉店時間がきて、時間切れ”契約不成立”であったようだ。
若い女性がキャッチ役、中年のビシネスマン風が説得役か。
いずれにしても、
ちょっとボケているのか、すごく頭がいいのか、
若いポロシャツのお兄ちゃんは、マルチ商法の毒牙から一旦は抜け出たようです。

 

私たちもその間にビールを三杯飲んで、
山盛りの野菜サラダを食べて、(3～4人前用のサラダを一人で食べた)
腹いっぱいになって、レストランを去った。

 

自分の部屋に戻って、PCをちょっとだけ触って、
寝る用意をしてからすぐにベッドに入る。
明日の朝はとても早いので、とにかく寝なくてはと思って目を閉じるが
先ほどのマルチ商法の勧誘風景が頭に浮かび、言葉が耳について、
変な興奮状態になっているのか、
まったく眠たくならない。

 

そんな状態で悶々としていると、
先ほどの風景に絡んで今までの色々な経験が思い出されてきて、
余計に目が冴えてくる。
とうとう午前三時に近くなって、
これは困ったと思い、ビールを飲もうかとも思ったが、
せっかく晩飯をサラダで済ましたのにと思いとどまって、
やっと、寝入ったのは午前四時ぐらいだっただろう。
・・・・・
6時半にベルが鳴って起きる。
ツライッ!

 

ホテルでのあの場面、
人が人を食い物にしようとして、
でも正しい事を言っているような顔をして、
善人面して、親切がましく、説教がましく、
だます側のそれぞれの役割が決まっていて、それを演じる悪意の演技。
悪い“気”があたりに充満していて、
その悪い気に当てられたのかもしれない。

 

そこでつくづく思う。
「自分はお客様に喜んでいただける事を目的とした仕事をしていて良かった。」
あんな悪意に満ちた騙しの仕事などやっていたら、
私の一生はとてもつまらないものになっただろう。
騙して得たお金なんかで、何を食べても、どんな所に住んでも、
騙された人の怨念がいつも漂っているようで、とても幸せにはなれないだろう。
人を騙すことを仕事にしてしまった人。
世の中にはなんて不幸な人がいるものだ。

 

 

前夜の広島のホテルは稀に見る狭いベッドで
なかなか寝付けなかったのに加えて、翌日は悪い気に当たられて寝られない。
仕事は楽しいのだが、睡眠不足がつらい。
それがなぜか足に来ているようで、膝から下がガクガクする。

 

それでも今日は四国の人達が、お忙しい中、またたくさん集まってくださった。
そう思って頑張る。
頑張って精一杯生きている人生の方が絶対に楽しいし幸せに決まっている。

 

 

今日の研修会。頑張る一座の技術部長

 

Posted   パーマリンク

ページのトップへ