2009年01月20日(火曜日)
2117.鉄腕アトムは人間が作ったプログラムで動く
最近、すごく気に入らないことがある。
車に乗ってエアコンをかけていると、
どんなモードにしていても、必ず足元に“温風”を出す車があることだ。
外気温を検知して、ある一定の温度以下になると、
「オート」ならもちろん、
オート以外・足元以外のモードにしてもジワッと足元から温風が出ている。
エアコンをOFFにしても、
それでもなお温風がジワッと出ている。
悪いことにこの場合、風量がほとんどないので、ジワッと熱風になる。
これは「頭寒足温」を基本にしたプログラムで
「頭や顔は眠くなるといけないのでいつも涼しく、足元はいつも温かく。」
とういう考え方で、
冬期、足元はいつも自動的に温めるという
「おもてなしの心」のプログラムらしい。
大きなお世話である。
私は足に少し障害を持っているので
左足の血行があまり良くない。
だから、冷えやすくもあるが、
暖めると冷めにくいという厄介な性質があって、
足元に温風が吹き付けられ続けると靴が温められ、足がたまらなく熱くなってしまう。
運転に支障をきたすぐらい熱く感じる。
これは多分、血行が序々に悪くなってくるお年寄りなどでもあることではないだろうか。
健康な人が心地いいように、機械が自動的に足元に温風をいつも出し、
それ以外の選択が出来なくなっているプログラムは、
まったくもってナンセンスだと思う。
おせっかいもいいとこだ。
何かの本に書いてあったが、
たしかBMWが最初に推奨しはじめた何とか理論に基づいたプログラムだそうだ、
国産車を含めてかなりのメーカーが採用しているそうだ。
全自動のおせっかいプログラムは、多くの人を快適にしているかもしれないが
それから外れた人にはたまらなく不快なものである。
あるいは、最近のワイパーは「雨滴感応自動かんけつワイパー(?)」とやらで、
ワイパーを「かんけつ」に選択すると、
窓にかかる雨の量を自動的に感知して、
ワイパーが動く間隔を自動的に決めるというもので、
これは、自分でワイパーが動く間隔を決めることが出来ない。
センサーとコンピューターとプログラムが、
ドライバーの意志とは別に自動的にワイパーの動く間隔を決めるものだ。
これには厄介な欠点がある。
今、日本を走っている車の多分50%以上が「ウィンドウ撥水」の処理をしていて、
「親水」の状態の窓ガラスで感知した雨の量と、
「撥水」の窓ガラスで感知する雨の量では、ずいぶん違う数値を出すようで、
「撥水」の窓ガラスでは、ほんの小降りの雨でもかなり頻繁にワイパーが動いてしまう。
これも車種によっては、ドライバーが自分で調整することは出来ず、
小雨でもワイパーがしきりに動くのを我慢するか、
一回一回手動で動かすしかない。
いらぬお節介である。
私の部屋のエアコンは、
最近と取り替えたものでほぼ最新型だ。
変なエアコンで、人の動きを察知するセンサーがついていて、
私が動くと人の目と同じくらいの大きさのセンサーの目が私を追う。
最初、それがものすごく気持ち悪くかったが、・・・・今でもやっぱり気持ち悪い。
エアコンを「風よけ」にセットしておくと、人がいる場所を自動的に察知して
自動的に横方向の風向きを変えるものだが、
暖房にしておくと縦方向の風向きは、基本的に下向きになる。
私は、風が直接自分に吹きかかるのが好きではないので、
横方向は「風よけ」、
縦方向は手動で「上向き」にしておくが、
時間が経つと縦方向は、いつの間にか“自動的”に「下向き」に変わっている。
「温風は、下向きに出すべし」という常識があるのかもしれないが、
人間が自分の意志で「上向き」にしたのだから、
機械が、あるいはプログラムが勝手にその意志をくつがえすのはおかしい。
勝手に動かすな。
もう十数年前のことだが、
名古屋空港で台湾の航空会社の飛行機が墜落したことがある。
何百人もの人が死んだ大災害であったが、
その墜落した原因が恐ろしい。
機種はエアバスA300-600Rという当時最新の自動操縦プログラムを持った機体で、
名古屋空港へ着陸する時、
パイロットは視界が悪かったか何かの理由で、
着陸態勢に入ってから滑走路の様子を見て
再び上昇するプログラム「ゴーアラウンド」をONにしていた。
ところが、滑走路近くまで行くと着陸可能な状態だったので、
そのまま着陸しようと操縦桿を前に倒した。つまり頭を下げるための動作をした。
ところが、「ゴーアラウンド」のプログラムがONのままだったので、
プログラムは、頭を上げ、再び上昇しようとする。
びっくりした機長は、
操縦桿を思いっきり前に倒して必死に機体の頭を下げようとしたが、
コンピューターのプログラムがそれを拒否し、もっと大きな力で頭を上げようとした。
機長の操縦桿は尾翼の先端の補助翼で機体の頭を下げようとし、
コンピューターは尾翼全体を大きく使って
機体の頭を急激に上げようと自動的に動かしたので、
当然、大きな尾翼全体を使ったコンピューターが勝って、
機体全体が大きく上を向いた。
上を向き過ぎて、失速の限界を越し、墜落したのだ。
コンピューターのプログラムが出した命令が、
人間が出した手動の命令に優先して勝ち、何百人かの人間を殺した。
短絡的に言えば「コンピューターが人間を殺した。」ことになる。
しかしコンピューターが殺したわけではなく、
そのコンピューターに入れられた「人間が作ったプログラム」が人間を殺したわけで、
これは人間の罪である。
「人間が作ったプログラム」は、
コンピューターという機械を通じて
「機械の意志」となる。
その機械の意志が、
その機械を使う人間の意志に逆らうようにプログラムされるようになった時、
人間と機械の関係が根本的に変わる瞬間なのではないだろうか。
プログラムを作る人間が、
あらゆる場合、あらゆる状況を想定ではないまま、
人間の意志よりも優先して機械が動くプログラムを作った場合。
それは恐ろしいことになるのではないか。
機械が意志を持つという意味がロボットならば、
昔から“悪人という人間”と闘うロボットは、ヒーローであっが、
人間が作ったプログラムで動く機械が、人と闘うことは、
それ自体がとんでもなく恐ろしいことで
プログラムを作った人間が、善人であるのか誰も解らないし、
プログラムを通して他の人間を裁く能力と権限が、プログラムを作った人間にあるのか。
私は、子供の頃「鉄腕アトム」を応援した自分の気持ちが空恐ろしく思える。
ロボットが可愛い顔をしていれば、
そのロボットのプログラムを通じて、
プログラムを作った人間が、他の人間と戦い、傷付けていいのか、
そんな訳がない。
最新の高級車では「プリセーフティーシステム(?)」という考え方で、
前の車と一定の距離よりも近くなると自動でブレーキがかかったりするような
“安全な”仕組みを持った車が実際に売りに出されているそうだ。
勝手に、
自動的に、
ブレーキをかけるような仕組み・プログラムを
誰が作ったのか、
どんな根拠で作ったのか、
どんな状況を想定しているのか、何も解らないまま、
勝手に、自動的にブレーキを踏むような車には、私は、絶対に乗りたくない。
昨日、
中部空港から千歳空港に行く飛行機の中。
千歳空港内のホテルの中。
今日、
千歳空港から羽田空港の飛行機の中。
東京から名古屋への新幹線の中。
いっぱいの時間の中で
長々と書いてしまった「人間に逆らって勝手に動く機械を作った人間」の話。
実は怖い鉄腕アトムの話。
昨日、午前中に到着した札幌は晴れ、三月下旬という暖かさであった。
札幌で色々と仕事をして、
快洗隊札幌店に帰って来たのはもう夕方であった。
新しく札幌店を掌握することになった賀来部長と、札幌店のみんな達。
その頃には雪が降り始め、1月の札幌らしくなっていた。
我が社の恩人藤本さんと飲む。
もう還暦になったと言われたが、
自分が年とったと思えないのと同じように、とてもそんな風に思えない。
楽しい時間は速く過ぎる。
レストランを出てホテルのある千歳空港に向かう頃、外はもう吹雪状態になっていた。
高速道路、道央道に入ったら強烈な猛吹雪。
たった時速60km/hなのに、前は真っ白。
怖い、とても怖い世界である。
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