谷 好通コラム

2010年04月29日(木曜日)

2487.なんとkcal載せたらお客様が減った?

何ヶ月か前、あるカレー屋さんで驚いた。
豊富なカレーメニューの一品一品に小さな文字でkcalが書いてある。
「とうとうこの店でもカロリーを書くようになったのか。」
これもCSの一環かと感心したと同時に、
記してあるkcal数を見てまたびっくり。
かなりの種類のメニューが1,000kcalを越しているのだ。

 

野菜系やシーフード系はかろうじて数百kcalにとどまっているが、
特にトンカツの類のフライ系では軒並みに軽く1,000kcalを越している。
カレーはそのルーの中にバターが使われていて
総じてカロリーが高いことは知っていたが、これほどまでとは思わなかった。

 

1,100~1,200kcalならば「ロースカツ定食」が食べられるし、
「天丼」は天ぷらがたくさん乗っている上天丼が食べられる。
「ステーキ」でもおいしい脂身がたっぷりの「ロースステーキ」250gが食べられる。
デブは脂ぽっい物が大好きなのだ。
特に脂の乗った肉は大好物だが、
みんな、ぐっと我慢しているのである。
それがカツカレー一杯で1,100kcal以上行ってしまうなら、
私はもっと分厚いトンカツを定食を食べたい。上天丼でもいい。
それが、あまり脂っぽさを感じさせないカレーを食べても同じカロリーならば、
私はカレーではなく、カツ丼、カツ鍋、天丼、ステーキを食べる。

 

デブの私でもそう思うのだから、
太らないように異常なまでに気にしている女の子ならば、
あのカロリーはびっくり仰天だろう。
「こんなこと書いていいのかなー、自分の首絞めるんじゃないかなぁ」
そんな風に思ったことを憶えている。

 

それが一週間ほど前に、そのカレー屋さんに行ったら。
(カレーは断然うまいのだ。)
メニューからkcal表示が消えていた。
「おっ、どうしたのかな。Kcalが書いてないじゃん。」

 

 

後で業界に詳しい人に聞いて驚いた。
あのkcal表示をメニューに載せてから、
「カレーがこんなにカロリーが高いなんて知らなかった。」とか、
「もう気軽にカレーは食べれないと思いました。」
なんてことが書いてあるアンケート葉書が来て、
現実的に、客数がはっきりと減ったそうなのだ。

 

たくさんの宣伝広告費を使って苦労してお客様を集めてきたのに
kcal表示をメニューに載せただけで、
ガクンと客数が減ってしまったのには、
Kcal表示を見て驚いた客よりも、経営者は何十倍も驚いただろう。
大慌てでメニューからkcal表示を消してしまったのに違いない。

 

飽食の時代、食べ物は生命を維持するための目的から、
おいしさを楽しむ目的に変わった。
必要商品から完全に嗜好のための商品に変わったのだ。
底なしの食欲は、量も必要なkcalをはるかに超して食べたいし、食べられる。
必要以上のkcalは健康に良くはないし、
何よりも美容の大敵だ。

 

ファストフード業界でも
比較的kcalの高いケンタッキーフライドチキンとかミスタードーナツなどでは、
その商品がいかにも脂っぽい印象もあって、苦戦しているそうだ。

 

あのカレー屋さんは、
カレーには脂っぽい印象はあまりないので
あまり考えずに、メニューにkcalを表示してしまったのかもしれない。
しかしお客様から見れば、カレーを食べる直前に
まともにあのkcalを見せられたのでは、そのショックも大きい。

 

それがあまりにも大きな反響で、
客数のはっきりした減少にまで影響し、
ひょっとしたら致命傷になるかもしれない可能性までも感じたのだろう。
Kcal表示をしなくなった。

 

しかし人間は、一度知ってしまったことを中々忘れるものではない。
私ですら、カツカレーはカツ丼以上に高カロリー食品とインプットしてしまった。
痩せることに執念を持っている女性は、その念をもっと深く刻み込んだかもしれない。

 

商売は正直でなければならない。
絶対にうそはいけない。
作為的にインターネット上での評価を操作している商品があるのを見て、
実はもっとも卑劣なウソを作り出している卑怯なやり方であると思ったこともある。
本物の商品は公明正大であり、
お客様に正しく情報を公開することはもっとも大切なことの一つだと思う。
しかし私は、カレーを食べる直前にkcalは見たくなかった。
少々kcalが高くたって、
少々太ったって、何がどうのということではないではないか。
わざわざ食べる直前に見せなくてもいいではないかな。

 

そう思うとかえって、私はこれからも負けずとカレーを食べようと思う。
そう思わなくてもカレーは食べたい。
私はカレーが大好きなのだ。
特にあのカレー屋さんのカレーは、立派に日本の文化になっている。

 

私が愛しているタバコの箱には
「喫煙は、あなたにとって心筋梗塞の危険性を高めます。疫学的な推計によると・・」
と書いてある。
バカ言っちゃいけない。
私は、ガンの家系なので、ガンで死ぬのだ。
心筋梗塞では死なないから、タバコを吸っていいのだ。

 

そう言いながら、
コーラは「ゼロコーラ」を飲んでいる。
同じコーラの味だったら、やっぱりゼロカロリーは魅力的なのである。

 

最近のコーラの自動販売機は、
黒い缶のゼロコーラが主役になっているようだ。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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