谷 好通コラム

2010年07月05日(月曜日)

2544.管理職とは管理人のことではない

会社員の役職が上がると管理職という種類の役職になっていくが、
私はこの「管理職」という名前が良くないと思っている。

 

会社が社員の役職を上げていくのは、
その社員の能力が上がって、
いい仕事がたくさん出来るようになったから上げるのである。
そのために、
いい仕事がたくさん出来るように部下も付け、
いい仕事をたくさん出来るように職務権限を拡張して、
会社が世間に提供する付加価値が多くなり、質も上げていくことを期待する。

 

ところが人によっては、
役職が上がったので、
今までやっていた仕事を自分はしなくてもよくなって、
自分は「やる人」から
「やる人を管理する人」になったと錯覚する人がいる。

 

あるいは、今までよりも役職が上がったので、
自分は上の者がやるべき仕事をして、
今までやっていたことは下の者がやることであり、
自分はもうやらなくてもいい立場になったのだから、
たとえば現場仕事はもうやらない。
そんな風に考える人がいる。

 

あるいは、つらい仕事は下の者がやることであって、
自分は上に立ったのだから、つらい仕事は下の者にやらせて
自分はもうつらい仕事はやらなくてもいいのだ。
と思っている人もいる。

 

あるいは、役職が上の者は、下の者よりも偉いのだから、
役職が下の者に対して呼び捨てにしてもいいし、無礼な言葉を使っても
無礼で横暴なことをしてもいい、と思っている人もいる。

 

「管理職」という名前がイカンのではないかなと思う。
管理とは、管理される者と管理する者の一方向の関係であり、
管理する者が一方的に管理される者より
すべてにおいて上位であるような意味を持っている。
管理職という言葉には、
「仕事をする人を管理する人」と勘違いさせる響きがある。

 

「仕事をする人を管理する人」なら、それは管理職ではなく「管理人」であろう。
管理職の仕事とは、管理人をすることではない。

 

会社が役職を上げたのは、その人の仕事の能力が上がったから、
仕事が生み出す付加価値をもっと増やして欲しいからであり。
楽をしてもいい権限を与えたわけではない。
上の役職になったら仕事をしなくなって、
ただ楽をするようになったのでは役職を上げた意味がない。むしろ逆だ。

 

管理職になると現場で仕事をする機会は減るかもしれないが、
それはただ、現場では出来ない仕事もするようになったということであって、
現場で仕事をしなくてもいい訳ではない。

 

ビジネスにおいて、
現場にすべての真実が有る。
お客様との接点に、すべての真実が存在している。
これは鉄則だ。
どんな役職に着こうが、どんなに立場になろうか、
現場で仕事をまったくしなくなったら、その人は何も見えなくなっているし、
今という時代を見失ってしまう。

 

 

私たちの会社では、
現場の店舗に出ない人は、
私・谷 好通(58)と仙台の中さん(59)、監査役の山口さん(66)だけである。
三人は現場に出ても歳取りすぎてて、ほぼ役に立たないので邪魔だから、
誰からもお呼びがかからない。
私の弟の谷清隆(50)もほぼその部類に入ってきているが、
「まだ、クリスタルキーパーだけならやれるから、・・・」とがんばっている。
それ以外は営業から事務員さん、デザイナーさんまで
お盆、年末など繁忙期には必ず店舗に出て洗車、コーティングの仕事をする。
それは管理職どころか取締役になっても全く変わらず、
最上位役員の常務取締役でも同じように現場に出て、
汗水をたらしてお客様の喜びであるキレイをスタッフと一緒に作り出している。
それがずっと当たり前になっている。

 

いかなる職務、役職においても、
現場を知らずしてお客様を知ることは出来ず、今を知ることは出来ないからだ。

 

私はもう一緒に作業の仕事は出来ないが、
あらゆる所へ出かけ、現場に行き、スタッフの顔を見て話をする。
すると、事務所にいては決して分からなかったであろう事がいっぱい分かる。

 

現状を正しく認識するには相手のところに行くべきであり、
実際にお客様との接点に自分の身を持っていき、見て、聞くべきだ。

 

経営者は正しい現状認識を常に持っていなくてはならない。
役職が上がれば上がるほどそれが必要になってくる。
そのためには、行動すべきことを判断して、実行に移す。
そのすべての段階において、色々な人とお会いし、見て、お話を伺い、
お客様の接点から判断して、スタッフの顔を見て、一緒に行動するしかない。

 

管理職とは「管理人さん」ではないのである。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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