谷 好通コラム

2010年07月14日(水曜日)

2552.ホテルのトイレで学んだこと

昨日の夜、泊まった千歳空港内のホテルで、
初めての事があった。
深夜2時ごろ起きてトイレの用を済まして流したら
菅がどこかが詰まってしまったのか水が溢れてきてしまったのだ。
前の人が何か流してはいけない物を流していたのだろう。
どうも最初から水の流れが悪いとは思ってはいたが、
何度目かの用で水が外に溢れるまでになってしまったようだ。

 

これは驚いた。
びっくりしてフロントに電話をしたら、
少し離れた部屋だが、その部屋のトイレを使って欲しいという。
冗談じゃない。
トイレに行くたびに服を着、
違う部屋まで歩いて行って、トイレを使うなんて出来ない。
その部屋に移りたい旨を伝えると、
少しためらった言葉の様子でOKした。

 

今の部屋までその部屋のキーを持ってきてくれると言うので、
着替えて待っていたら、直にきてくれたのは女性のフロントマンであった。
まず、すごく申し訳なさそうに詫びを言い、すぐ次の部屋に案内してくれた。
トイレを詰まらせたのが私自身であるのではないか、なんて疑いの様子はまったくない。
(もちろん、私はそんなことは絶対にしていない)
本当に素直に対応してくれて気持ちよかった。

 

案内された部屋は「444号室」。
電話で少しためらった様子だったのは、このルームナンバーのせいだった。

 

日本人は「4」を死につながる番号として嫌う。
だからこの「444」の部屋は、
何かトラブルがあった時のために予備の部屋として空けられていて、
予約で満室になっても、この一室だけが空けられているのだろう。

 

部屋を移ってすぐに寝てしまったので、
そのことに気がついたのは、今朝、目が覚めてからのことだった。

 

私は「4」の数字にこだわるタイプでもないので、
「444」の部屋に泊まらされたこと自体は何でもないが、
何かのトラブルがあった場合に備えて、
予備の部屋がいつも一つ空けてあることに感心した。
こういうのをセーフティネットと言うのか、危機管理と言うのか分からないが、
私の会社でも、このような配慮は
いつもキチンとしておかねばいけないなと思った。

 

人には間違いがある。
あるいは予期せぬトラブルが必ずある。
トラブルを無くすようにいつも最善の努力をしておかねばならないが、
やっているのは人なのだから、必ず間違いはある。
しかしそれを「仕方ないこと」と済ませるわけには行かないのだ。

 

どんな仕事でも人のやること、
あらゆる場面を想定していたつもりでも、必ず予期せぬ事態は発生する。
トラブルがあることを前提として準備がなされているかどうかが、
危機管理というものの意味なのだろう。
概念としては分かっているつもりだったが、
今回は初めてトイレが詰まったことで、「444号室」の存在を知り、
改めてその意味が分かったような気がした。

 

自分の仕事に照らして、自省しなければならない。

 

 

444号室から早朝の千歳空港を見る。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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