2010年07月30日(金曜日)
2565.私が社長室にいる訳
私は会社の長であるところの社長であるので、
社長室にいたとしても別に不思議ではないが、
1年くらい前まで、社長室はなかった。
事務所のみんなと一緒にいた方が仕事ははかどるし、にぎやかで楽しい。
だから私は一生、社長室などと言うものには縁がないものと思っていた。
だから会社の設立以来23年間ずっと、
みんなと一緒の場所に座っていた。
が三年前、
会社の本社と出荷倉庫を、刈谷から今の大府の場所に移った時、
事務所全体を「禁煙」にしたのだ。「禁煙」は世の中の流れで仕方がない。
その代わり、ベランダ部分をかなり大きくして(約10坪)、
そこを部分的にアルミサッシで仕切り、
エアコンを設備して、電話まで引いて、
六人がゆったりと座れる「快適な喫煙室」を造った。
そこは、喫煙人口の多いわが社の紫煙のサロンとなった。
しかし、そこでずっと仕事をするわけにもいかず、
禁煙の事務所の中の自分の机で仕事をひとしきりやってから、
ちょっとだけ、誰かを誘ってタバコを吸いに行くのだが、
だんだん、そんな生活が面倒になってきた。
一方、事務所には「会議室」兼「応接室」に使う大き目の部屋があって、
その部屋は、会社を訪問されたお客様がタバコを吸う人であれば、
自分たちもタバコを吸っても良いというありがちなルールがあった。
それをいいことに、
仕事の途中でいちいちベランダの喫煙室に行くのが面倒になっていた私は、
いつの間にか、ずっとその会議室兼応接室を占領して、
タバコをパカパカ吸いながら仕事をするようになってしまったのだった。
当然、会社の業務としては困ったことになる。
私が事務所にいることは少なくはあるけど、
居れば、朝から晩までずっと私が占領して、部屋はすっかりタバコ臭くなった。
お客様が来られると、あわてて換気をして消臭剤をふりまいてごまかす。
SONAXからタバコ大嫌いなMr.クリーガーが来た時は、
にわかのファブリーズも効かず「Oh Smoking room!」としかめっ面をしていた。
私自身は、そんなことはまったく気にならなかったが、
そんな繰り返しが続くうちに、たまりかねた管理本部長からお達しが来た。
「社長室を作りますから、そこで快適に仕事をしてください。」
社長室とは、
事務所の西側に「倉庫」があって、
そこには書類などが詰め込んであったのだが、
その倉庫の荷物を引っ張り出して、
壁紙を貼って、カールじゅうたんを引き、チョコチョコっとキレイにして、
エアコンを付けて「社長室一丁上がり」で、
個室と言うか、独房と言うか、私はそこに押し込められた。
それでも最初は、
自分の好きなだけタバコを吸いながら仕事が出来て幸せであったが、
誰かに何かを聞いたり、話をするにも、いちいち内線で電話をしなければいけないし、
何といっても一人だけは、さみしい。
一人だけだと集中して仕事が出来そうだが、
私の場合は、ガヤガヤしていたほうが落ち着くし集中できるのだ。
昔からそうであったし、
私がこのブログを書くのはいつも
出張中の新幹線の中か飛行機の中が多いので、
ガヤガヤしている環境に慣れていて、一人ポツンの環境はかえって落ち着かない。
それに一人で集中できずに原稿を書いていたりすると、眠くなるのだ。
しかし人間、
いつかは環境に慣れるものなのか、
最近ではすっかり居心地が良くなってしまい、
たまには仕事中に居眠りなども平気でするようになった。
なんか、自分がだんだんダメになってきたような気がするのは、気のせいだろうか。
そんな私の部屋に、
誰かが突然来るとすごく嬉しい。
企画の連中が平気で入ってくるのはしょっちゅうだが、
今日は、久しぶりに池本元管理本部長(私を社長室に押し込めた張本人)が来てくれた。
それに、なぜか大須店の三浦店長と栗木チーフが、
「別に用事はないんですが、社長が居たモンですから。」と、
入ってきて、コーヒーを飲んでいった。
社長室に入ってしまうと、
みんなとの接点が少なくなってしまうのが一番困るし、いやだ。
ドアが閉めてあるのは、開けておくとタバコの煙が外に漏れるからだけ。
ノックなんてしなくていいから、みんな平気で入ってくればいいのだ。
(滅多に居ないけどね)
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