谷 好通コラム

2010年08月12日(木曜日)

2579.キーパーエピソード(4)転換期・鈴置君のお父さん

[そんなキーパーにも大きな転換期がやってきた]

 

キーパーも5年前に大きな転換期を迎えた。
新車のカーディーラーさんが新車販売時に、
5年間ツヤ保証のポリマーコーティングを販売し始めた。

 

それは私たちの考え方の方向とは違ったものだったので
最初は気にしなかったのだが、
定期的に施工されているピュアキーパーのユーザーから、
「今度、新車を買って、5年コーティングやったからこれからは洗車だけでいいよ。」
と言ってくる人が出始めて、
本気で、私たちは5年耐久のコーティングを作る必要性に迫られた。

 

「5年間、定期的にメンテナンスを繰り返せば”ツヤ”を保証する」は、
これをユーザーは単に
「コーティング皮膜そのものが5年間耐久力を持つ」
と思い込むケースのほうが多いので、
コーティング皮膜そのものは5年間もたずとも
メンテナンスを繰り返せば”ツヤ”が5年間持つというものではなく、
私たちは、本当にコーティング皮膜が5年間耐久力を持つものを造るべきだと考えた。

 

コーティング皮膜そのものに本当の5年間の耐久力を持たせるならば、
有機のポリマーでは論理的に無理と考えるべきで、
無機である「ガラス質」で出来たコーティングしかあり得ない。

 

ピュアキーパーは、ピュアキーパーとしてその良さと意味がある。
それはそれとして、お客様が望むならば、
塗装を守るコーティング皮膜が5年間持続する本物のボディガラスコーティングを作ろう。

 

ガラス質のコーティングならばすでに存在している。
通称水ガラスと呼ばれる「ポリシラザン」で、
電気の絶縁などの用途で古くから存在するものだ。
これを塗装の上にコーティングする技術と製品は、
すでに世の中にいくつも存在していた。

 

しかし、ガラス質のコーティングには大きな問題があった。
「水しみ」「輪じみ」「ウォータースポット」などと呼ばれる「うろこ状の水シミ」だ。
ここを解決せずに、本物のボディガラスコーティングは実現できない。
では、「うろこ状の水シミ」とは何か。

 

[鈴置君のお父さんの悩み]

 

わが社の役員である鈴置君が、
彼のお父さんが悩んでいると言っていました。
「紺色の車なんですが、とにかく、うろこ状の白いシミがすごいんです。
色々な車を見ている私でもびっくりするくらい、ひどいんです。どうしてでしょうかね。」
見ると確かにひどい。半端でなくひどい。
いろいろと話を聞いてみると原因はすぐに分かったのです。

 

お父さんの話。
「私は車を大事にするほうで、いつも自分で洗っていますし、
雨が降っている日に帰ってきた時なんか、
ガレージに入れてから、必ず水道水で泥を流し落としています。
そこまでやっているんですがねぇ、何でこんな風になっちゃうんでしょうね。」

 

原因は、
「雨が降っている日に帰ってきた時でも、
ガレージに入れてから、必ず水道水で泥を流し落としています。」の部分です。

 

お父さんの車には新車を買った時に
ポリシラザン系のボディガラスコーティングがかけてありました。
キーパーの役員のお父さんがキーパー以外のコーティングをかけていたのは(笑)ですが、
とにかくかけてあったのです。

 

それで雨が降っている日に帰ってきてガレージに入れてから、
水道水の水で泥を洗い落として、
当然、そのままにしておいたのでしょう。
水道水がかかったまま、水が乾いて、ウロコがついたのです。
それを何度も何度も繰り返して、コテコテ状態にしてしまったのでしょう。

 

ガラス質のコーティングは無機質で出来ています。
これに水道水や地下水などがかかった場合、
その中に大量に含まれている珪酸、カルシウムなどのミネラル分が、
水分の蒸発とともに析出して、同じ無機質のガラスコーティングに固着してしまうのです。

 

雨水は通常ミネラルはほとんど溶け込んでいません。
基本的に雨水は蒸留水と同じですから。
(例外:黄砂まじりの雨水はミネラルが多く含まれています)
しかし、水道水は地上に降ってから、地上、地下を通ってきますから、
土中のミネラルを多く溶け込ませている水を浄水場で濾過し殺菌したものです。
浄水場では、基本的には溶け込んでいるもの(イオン化しているもの)は取り除けません。
だいいち、ミネラルは体に無毒なので取り除く必要がないのです。
(特に関東ロームの関東地方ではミネラル分が全国の水道の中でも異例に多い)

 

その大量のミネラルを含んだ水道水が、
無機質のコーティングで覆われたボディにかけられ、そのまま乾燥して、
ミネラル分が析出し、固着するのです。
それを何度も繰り返して、コテコテです。

 

鈴置君のお父さんはそんなこととは夢にも思わず、
大切な車をいたわって、せっせと水道水をかけていたのです。

 

世の中の鈴置君のお父さんと同じように車を大切にしている人達は、
どうか、ガレージに入れて水道水をかけてそのままにしておくことは絶対にやめましょう。
鈴置君のお父さんの車のように本当にコテコテになります。

 

すでに世に出ているボディガラスコーティングは
一様にこの問題に悩まされていました。

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    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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