2010年08月20日(金曜日)

2589.昔の友達、我がコンプレックス

一昨日の夜、昔の友達と飲んだ。
場所は東京の飯倉片町という六本木のはずれのあたり。
「ベルンツバー(発音は間違っているかもしれない)」という名のドイツ料理のバーだ。
ドイツSONAXの日本の窓口である吉村さんから7年前に紹介してもらい、
年に何回か通っている。
ドイツ人が経営する店でドイツ大使館にも近いらしく、
在日のドイツ企業の人たちが
たむろして酒を飲みドイツ料理を食べる気さくな店である。
来ている人はほとんどがドイツ人で、
ほとんど吸う人はいないが、バーなので、タバコも一応OKである。
(場所柄にしては高くは無いが、決して安くもないのでたまにしか行けないが)

 

一緒に飲んだのは「大沢君」
小学校、中学校と同じ学校で、中学の頃によく遊んだ記憶がある。
高校は別の学校だったので付き合いは薄くなったが、交友関係は続き、
高校を卒業してからも東京に行った彼のアパートに何度か泊めてもらった。

 

大学が東京であったので卒業後も東京にとどまり、
それ以来まったく会うことはなくなってしまったのだが、
彼は一時、東京を拠点にしながらも、
ロンドン、パリに住んでいたこともあったそうだ。
海外の展示会へツァーを組むことをメインにしている旅行代理店の経営者の一人である。

 

高校卒業して、東京の大学に行って、東京で働き、東京で会社を興し、
バブルの恩恵もあったのかもしれないが、
フランスのパリと、イタリアのミラノにマンションを会社で持ち、世界で活躍する。
そんな話を聞くと、心底、うらやましいと思った。
結局、
私は愛知県から出ないままだった。
ビジターとして海外に行き、日本国中も回ったが、
どこに行っても、自分は「よそ者」のままであって、
何十回も行った海外でも、どこに行くにも通訳なしでは何も出来ないままだった。

 

私は愛知県の人間として、世界に行き、日本中に行ったに過ぎない。
愛知県以外のどこにも”住む”ことはなかった。
行ったことはあっても住んだことはないので、
私どこまで行ってもビジターでしかなく、よそ者のままなのだ。
何処か他の所に住む度胸がなかった。

 

この先、もうどこか違う場所に住むことはないだろう。
少なくとも外国に住むことはない。
自分の生まれ育った場所とは違うところに住むことがどういうことなのか、
住むことが行くのとはどう違うのか分からずじまいで終わるのだろう。
そう思うと、なんともったいない人生の使い方をしてしまったのか悔やむ思いがある。

 

自分は愛知県に軸足を置いたまま、決して軸足を移動することなく、
もう片方の足と体を外に出していただけだ。
そういえば働き始めてずっと車関係から離れたことがない。
最初の勤めたのがアルバイトでトラックの運転手を何ヶ月かした。
次には陸送の仕事も何ヶ月かして、
次に入ったガソリンスタンドに約5年いて、
それからはガソリンスタンドを運営する会社を数社経て、
1軒のガソリンスタンドとして独立起業し、ずっとこの会社でやってきた。

 

ずーっと、車関係の仕事であり、
そのほとんどをガソリンスタンドに直接的、間接的に関わってきた。

 

私の人生は非常に変化に富んでいて、結構、波乱万丈に思えるが、
実は、ずっと愛知県に住み、ずっと車関係、
とりわけガソリンスタンドとずっと変わらず関わってきたのは、
私が、自分が思っているよりもうんと保守的である証であるのかもしれない。

 

人間は今の自分を否定しきって進化する時がある。
その否定力こそが、実は進化のための実現力である。と言って来たが、
私は同じところに住み、同じような仕事をしてきた。

 

立場は昔とはずいぶん変わったし、やる仕事の内容もずいぶん変わったが、
同じ山の三合目にいたのが五合目に移動したぐらいのことで、
同じ山の上でしかないし、自分は三合目から五合目に登ったつもりでも、
視点を変えてみると、すでにちっちゃな山のてっぺんにいて、
「お山の大将」づらをしている鼻たれ小僧でしかないのかもしれない。

 

私は昔、大沢コンプレックスであったことを思い出した。
今もかな。

 

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