2011年01月29日(土曜日)
2710. 不審者を確保したので、運転を再開
今、東京へ向かっての新幹線に乗っている。
「のぞみ」なので、新横浜までノンストップのはずだが、
豊橋を過ぎた地点で一度ストップした。
しばらくして動き始めてからの車内放送で、
「列車が止まっていましたが、不審者を確保しましたので、運転を再開します。」
ほ~~~っと思った。
そういえば、
列車が止まってから、
「業務連絡です。車掌は1号車に来てください。」と言っていた。
とすると、
私は想像した。
『1号車に”不審者”がいて、暴れているか何かで、
危ないので列車を一旦停止させ、車掌を1号車に集めた。
そして、その”不審者”を取り押さえた、つまり確保したので、列車を再スタートさせた。』
私は、一連の車内放送から
そんなストーリーを思い浮かべた。
そして、車内にそんな危険人物のいる列車に自分も乗って、
時速300kmで走っていたことに恐怖を少し感じた。
しかし、
列車が動き始めてしばらくしてから再度、車内放送があって、
「先ほど、”線路内”に不審者がいたので、安全の為に列車を一旦停止させました。・・・」
と言う。
事実は、私がとっさに思い浮かべたストーリーとはずいぶん違っていた。
「車掌」が事実を解っていて言った言葉は、
事実を知らない私には、ずいぶん違う状況を思い浮かばせたことになる。
「ある事柄を知っている人」が、
その事について「知らない人」に、「知らせよう」と思って説明をする時、
「知っているから当然と思い込んでしまっている要素」を
説明の中から、
つい「抜かして」話しをすることがある。
非常によくある。
それで、
結局、相手に何も伝わらなかったり、
間違って伝わってしまうことが往々にしてある。
この場合、コミュニケーションは成立しなかったことになる。
かといって、別に車掌さんに大きなミスがあったわけでも、
誰かに迷惑をかけたわけでもなく、たいしたことではない。
ただ、面白い例だと思って、書いただけのことです。
我々、キーパーに関わる営業職は、
車をキレイにするビジネスについて、
膨大な要素を、たくさんの人に伝えるのが仕事なのだが、
自分が経験してきたことを、経験していない人達に説明する時、
こんなコミュニケーション不成立の失敗を、
数え切れないほどしているはずだ。
しかし、
肝心なことは、誰でも能力に限界があるように、
そんな失敗があること自体は、当然と言えば、当然なのだが、
それを自らの失敗と考えず、
「分かってくれないんだよな~」とか「ちゃんと言ったのに・・」と、
相手のせいにしてしまうと、
この失敗は、失敗として学習されることなく、
その人のコミュニケーション能力は永遠に向上することはない。
「よく相手の立場に立って・・・」というが、
自分は、相手とは違う経験を重ねて生きてきたのだから、
相手とは、違う価値観と、
違う習慣、違う考え方、違う見方を持っているので、
相手の立場に立つということが非常に困難なことであることは間違いない。
しかし、相手が、自分とは違った見方を持っていることが
むしろ当然のことであることを、しっかりと認識することが肝心であり、
その上で相手の立場に立って考え、
どう話すのかを考えるべきであることを自覚することは出来る。
これは本当に必要なことであり、
人とのコミュニケーションの大前提であることを自覚すると、
その人の話すことは、相手に非常に伝わりやすくなることが分かる。
結局、この列車は17分遅れで品川駅に着いた。
私達は仕事ではなく、それほど時間が厳しい状況でもなかったので、
17分遅れは困らなかったが、
何百人かの乗客の中には列車到着が遅れたせいで大変困った人もいたはずだ。
線路にいた”不審者”はどんな理由でそこにいたかは知らないが、
自分勝手な理由でそこにいたのだろう。
少なくとも、大勢の列車乗客のためになるかどうかなんて、考えていなかった筈だ。
人の立場に立てないと、
大勢の人間がいて成り立っている大人の社会では、
この人は、絶対に幸せになれない。
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ここからは、夕方、東京から名古屋に帰る新幹線の中で書いている。
今日は東京に行き、
キーパーラボ松戸東店の保坂チーフの結婚披露宴に出席した。
たくさんのご親族と友人たちに集まっていただいたこの結婚式は、
心がこもって、とても暖かい式であった。
挙式のあと、新郎新婦について階段を下りる時、
「社長、階段、大丈夫ですか。」と新郎の保坂君が、何気なく私に声をかけた。
私の足が少し悪く、階段が苦手なのを彼は知っていて、
自然に声が出たのだろう。
彼のいつもの仕事ぶりがそうだ。
何気なく、相手のことを、自然に思えるのは、素晴らしいこと。
彼はきっとこれからいい仕事が出来るはずであり、
彼ら二人は、間違いなく幸せな家庭を築くことが出来るはずだ。
保坂忠臣君、舞さん、おめでとう。
とても存在感のあった保坂君のお父さん。
このお父さんとお会いして保坂君が理解できた気がした。
娘をエスコートして新郎に手渡すこの道中は、
お父さんにとってとても長く長く感じる時間です。
私もそうだった。
式がすべて終わり、新郎新婦が立ち去った席には、
ほとんど手をつけていない食事が残っていた。
新郎新婦の緊張の度合いがよく分かる。
ご苦労様でした。
でも、この食事、本当にとってもおいしかったのにね。
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