2011年05月26日(木曜日)
2794.長崎その1. 竜馬のまぼろしを見た夜
昨日の昼、福岡に飛んで、長崎に行って一夜を過ごし、
今は長崎空港から中部空港へ跳ぶ飛行機の中。
長崎での夜はまるでまぼろしの夢のようであった。
わずか二年半で経営的に窮していた会社を見事に立て直し超一流の会社に育てられ、
その中でキーパーを活かしていただき
すばらしい成果を上げられている遠野副社長が、
長崎に私どもをご招待していただいた。
その遠野副社長が私に、
私がまったく知らなかったまぼろしの世界を長崎で見せいただいたのだった。
長崎の料亭「花月」は、創業369年の老舗。
江戸時代の中ごろから綿々と長崎のきらびやかな夜の世界をつくり出して、
世の男、とりわけ力を持った男たちの安らぎとなり、癒しの時をつくり出してきた。
幕末の時代、この料亭を坂本竜馬もこよなく愛し、
足しげく通ったと聞く。
長崎には、鎖国の時代にあって
唯一外国との窓口となっていた「出島」があり、
ポルトガル人など外国との貿易を通じて坂本竜馬が活躍していた地でもある。
私の会社の「快洗隊」、今はキーパーラボと変わってしまったが、
「快洗隊」と言う名前は
坂本竜馬の「海援隊」をもじって付けた名前で、
私は坂本竜馬にことさら思い入れがあった。
しかし私は勘違いしていた。
最初にあったのが「亀山社中」であり、
それが発展して改名し「海援隊」となったと思い込んでいたのだが、
坂本竜馬が創った日本初の株式会社「亀山社中」を
運営していた人たちのグループの名前が「海援隊」らしい。
そんなことも知らないで、私の坂本竜馬好きもいい加減なものだ。
料亭「花月」には日本で初めて造られたという「洋間」があった。
この洋間を竜馬は愛し、
商談などにたびたび利用していたのだと言う。
「花月」での食事の前、
この洋間のイスに座りお茶を飲むことから始まった。
イスに座り目を細めると、
この場に坂本竜馬がいて、
熱心に仕事の話や日本の話をしていた場面が思い浮かんできて、
そのまぼろしに目頭が熱くなって、私は感動の固まりになってしまった。
飛行機の中で、今、思い出してもジーンと来る。
花月でのお料理は「卓袱(しっぽく)料理」。
洋間の隣にしつらえられた畳の部屋の部分で食べる。
卓袱(しっぽく)とは「ちゃぶ台」とことで、
ワードで「ちゃぶだい」と平仮名で打ち、変換すると「卓袱台」と出る。
「しっぽく」と平仮名で打って変換しても「卓袱」と出て、
「しっぽく料理」とは「ちゃぶだい料理」とも言える事が解る。
日本では昔、料理は一人分の台(お膳)に個別に料理を乗せて食べるのが普通だった
それに対して外国人は大きなテーブルに、大皿に盛った料理を乗せ、
それを取り分けてみんなで食べるのが普通であったそうだ。
それで外国人が多くいた長崎では、
お膳より大きな卓袱台(ちゃぶ台)にみんなで座って、
大きなお皿に日本料理を盛り、みんなに取り分けて食べる料理が長崎に出来た。
それを「しっぽく料理=卓袱料理」と呼ぶのだそうだ。
そんな話を解りやすく、
優しく芸妓さんが教えてくれる。
そう、今回の「花月」での食事には、
由緒正しい芸妓さんが四人も着いてくれたのだ。
きちんと着物を着て、正座して、やさしく色々なことを話してくれるのだ。
初めての経験である。
とってもとってもおいしい卓袱料理を食べながら、
最初はビール、次にいつもの焼酎、でもやっぱり竜馬が好んだという燗の酒。
ほろ酔いで遠野副社長の話に感心しながら聞き入り、笑い、
芸妓さんは絶妙に合いの手を打ち、やさしく話をつないで、
宴を心地よく盛り上げる。
やさしくしかも豊富な知識で芸妓さん達の話は実に面白い。
たぶん、政治や経済の時事にも精通しているのだろう。
男を実に気持ちよく遊んで知性と男を磨いてくれる。
長崎でも最高の超一流の芸妓さんだからこそのことだろう。
ものすごく礼儀正しく、
しかも、かたぐるしくなどまったくなく、やわらかな仕草。
そして凛とした素晴らしい踊り。
極上のおいしい料理を食べて、うまい酒を飲んで、
美しい踊りを見て、やさしい心休まる会話を楽しんで、
昔の男は、こうやって一人前の政治家や商売が出来る男に育てられたのかな。
男は女に育てられる。と言う言葉を聞いたことがあるが、
こういうことなのかと感動してしまった。
そして、竜馬が愛した部屋で、同じように卓袱料理に舌鼓を打ち、
燗した酒を飲んで、優しい芸妓さんに遊んでもらい、
竜馬と同じ時間を過ごしていることを想像して、泣きたいぐらい感動した。
料亭「花月」は、創業369年という老舗であるだけでなく、
あらゆる意味で一番質が高く、当然お値段も超一流であるだろう。
「こんな一流の遊びをしたいなら、
しっかり働き、しっかり世の中に役に立って、しっかり稼いできなさい。」
そんな男たちのエネルギーの源泉にもなった女たちの心意気なのだろう。
無理を承知で、真剣にまた来たいと思った。
女房、子供もひっくるめて、仲間たちをぜひ連れて、また来たいと思った。
そして一緒に竜馬のまぼろしを見たいと思った。
芸妓さん揃って玄関でお出迎えしてくれるのです。
竜馬がよく使ったという日本初の洋間。
床がタイル張りなのだが、あの時代「タイル」の言葉がなかったので、
「瓦の間」と呼ばれたそうだ。
竜馬がつけた柱の刀キズ。
何で座敷で刀を振り回したのだろうか。聞くのを忘れた。
素晴らしいお庭は800坪の広さがあるそうだ。
お宝鑑定団に出したらものすごい値段が付くような物ばかり。
竜馬の奥さん「おりょう」も名手だったという「月琴」
「おいしい」という言葉だけでは言い尽くせない卓袱料理。
葉月ねえさんと。
永江~~~。
素晴らしい笑顔でいらっしゃいます。
もちろん素晴らしい三味線でした。
凛としていて、ただただ見惚れるばかり。
いいですね。男の遊びです。
お姐さんご尊敬申し上げております。
最後にお囃子に送られて。
お見送り。ちょっとジーンと来ますね。
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