谷 好通コラム

2011年06月12日(日曜日)

2806.完全休日の予定の日、考えさせられた

今日は母方の叔母の葬儀であった。

 

たまたまであるが、
今日は、久しぶりの何の予定も無い純粋なお休みに日にしてあった。
スケジュールソフト・サイボウズには
この日を「ぜったい何もしない。」と書き込んである。
途中で遊びのレースの日もあったが、何もしないと決めた日は5月8日以来であり、
一ヶ月以上ぶりの完全休日の予定の日であった。

 

その日にたまたまどんぴしゃりでお葬式が入ったわけで、
おかげで何年かぶりのたくさんの親戚の人と会えたのだ。
お葬式はしばらくなかったが、
法事は何度もあった。
しかし私の場合、日曜日にも色々と仕事の予定を入れてしまっていて、
イカンなと思いつつも、
親戚づきあいである法事のすべてを、連れ合いと母に任せっきりにしていた。
だから、たまたま今日を休みの日にしてあったので、
久しぶりのお葬式を不義理せずに済んだのは本当に良かった。

 

50歳代の初めと、もうすぐ60歳では見た目もまるで変わるものだ。
久しぶりに会った同年代の人たちは、みんな皺が増えて
着実に本物のおばぁさん、おじいさんに成りつつあり、
自分も同じように変化してきているのだろうなとしみじみ思った。

 

昔は55歳で定年になるのが普通だったのが、
それが60歳になり、今では65歳に延びてきている。
しかし日本人の平均年齢が延びた分だけ、
働く能力が高い期間が延びてきている訳ではない。
人間、55歳くらいを一つの境に体力が明確に落ちてくるように、
あらゆる面で衰えが見えてくる頃でもある。
しかし、それまでに積みかさねた経験と熟練に磨きをかけ続け、
55歳を過ぎてからも総合力としての能力が高まってくる場合もある。

 

肝心なのは、自らの好奇心と向上心をどこまで持ち続けられるのか、なのだろう。

 

人間は経験を積めば積むほど、特に成功体験を持つと、
自己肯定的な思考パターンに陥りやすい。
自己肯定的になると、
今までの経験では理解できないことや、
経験から導かれた結論を否定するような新しい現象に突き当たっても、
その新しい現象を否定するような方向で論理を組み立てるようになる。
自己防御的方向性の思考パターンである。
こうなると新しいことにまったく興味がなくなり、
つまり好奇心が萎え、
自らに新しい経験を取り入れ、自ら向上することを拒むようになるのだ。

 

新しいことに好奇心を持ち、新たな経験として受け入れることによって
自らが変化することで、人間は向上することが出来る。

 

明らかにあらゆる面での能力が低下している年齢においても、
豊かな好奇心をもって新しい経験を自らの中に受け入れる柔軟性こそが、
自らの総合力をなお向上させる力、つまり老化に対抗する力ではないだろうか。

 

自己肯定の思考パターンは、
多くの経験を積んだ年齢の高い者だけのものではない。
まさかと思うほど若い者が、
たかが知れている量の経験で、とりわけ成功体験で、
簡単に自己肯定、あるいは自己防御の思考パターンに陥っていることが多い。

 

成功体験はその人の能力を高めるのに大きな効果がある。
しかし逆に、ちょっとした成功体験によって
簡単に自己肯定的な思考パターンに入ってしまう者もいる。
こういう人は新しい事にまったく適応できず、
若くして成長と能力の向上が完全に停止してしまうことが多い。

 

豊かな好奇心と向上心とは、
新しいことを自己に受け入れる能力とも言える。
つまり、実は、自己否定能力とも言える。
ひょっとしたら、謙虚さ、と言えるのかもしれない。
それは年齢の多さとは実は関係のないことかもしれない。

 

自分が年を取ったことをしみじみ感じた今日、そんなことを思った。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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