2011年10月23日(日曜日)
2898.三人の国民が一人の公務員を養う国
今、大きな暴動がギリシャで起きているとニュースで言っています。
国の財政が破綻しているギリシャはEUの一員であり、
その信用喪失の余波が、
ギリシャ国債を大量に買っているEUの銀行に大損失を与え
EU全体の信用不安にまで広がっています。
ギリシャの経済的破局を回避しなければならないと
EU各国はギリシャに巨額の公的資金を投入する事にしたが、
そのための条件が、ギリシャ政府が緊縮財政を実行することでした。
大暴動は、
ギリシャ政府が打ち出したその緊縮政策が、
ギリシャ国民の今まで通りの生活を脅かす内容だからだそうです。
特に公務員のかなりの人を一時帰休させたり、解雇したり、
公務員年金の支給をカットしたりする政策が多くの国民の反発を招いているそうです。
未来に対する投資ではなく、国の直接的経費を減らすことは、
ここまで来てしまった以上は避けられないことと思うのですが、
当事者であるギリシャの公務員の人たちは、切実なことなのでしょう。
しかし、ニュースの中で言っていたのですが、
ギリシャでは労働者の四人に一人か公務員だというのです。
これは、なんともすさまじいことですね。
四人に一人が公務員であるとは、つまり、
三人の労働者が一人の公務員を養っているわけです。
三人の労働者が自分の所得の三分の一ずつを税金に出しても、
一人分の公務員の給料だけで消えてしまうわけです。
ギリシャでは所得税、法人税、消費税などなどで、
自分の所得の三分の一も税金を出しているのでしょうか。
ちょっと考えにくいですね。
しかも公務員の給料などは、
国の予算の何分の一に過ぎないはずです。
国を支えていくには、年金も必要だし、病院も必要です。
道路も造らなければならないでしょうし、
国民の生活を支えるために大きな予算が必要なはずです。
それにギリシャは立派な軍隊を持っています。
そんなことを考えると、
ものすごい勢いでおびただしい財政の赤字を生み続けたのでしょう。
国民の人気を得るために、
公務員を国民の四人に一人にまで増やしてしまったのでしょうか。
ここまで公務員を増やしてしまえば、
選挙の大勢を決めてしまうような大票田なので、
どの政治家も公務員を減らすような政策は誰も出せなかったのかもしれません。
公務員は、お金を生むことはほとんどなく、
税金というお金を使う側です。
お金を使う権利を得た存在のようなものと言ったら言いすぎでしょうか。
日本でも、行政にたずさわるお役所では、「既得権」をとても大切にします。
ギリシャの人も、ひょっとしたら、
所得が安定していて、身分が揺るがない公務員という既得権を、
自分が勝ち取った権益として奪われたくない、と暴動になっているとしたら、
むなしい気持ちになります。
既得権など元々ないのではないでしょうか。
今得ているものが、
それを得る理由がすでになくなっているなら、
あるいは与える事が出来なくなっているなら、
それを得られなくなるのは当たり前であって、
たとえそれが得られなくなっても、その人は被害者でも何でもありません。
それでも、自分が被害者のように思えてしまうのは、よくあることで、
本当に不思議なことです。
私達も、私達の国も、わが身を振り返るべきなのかもしれません。
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