谷 好通コラム

2011年11月19日(土曜日)

2915.「仕上がり確認」と「仕上げ確認」の違い

洗車・コーティングなどの施工作業の最終工程が「仕上がり確認」です。
すべての作業が終わったあと、
車から少し離れて、車の一周回り、作業漏れや仕上がりに不具合がないかを
目でしっかりと確認する工程で、商品の最終品質を左右する大切な工程です。
しかしこの部分がどうしても変形してしまうのが、
今も昔も続く大きな悩みの一つです。

 

最終確認であるはずの「仕上がり確認」が、
仕上げの作業をしながら確認をしていく「仕上げ確認」
つまり「仕上げ&確認」に変形してしまうのです。

 

洗車の作業で言えば、
車をムースと羊毛のラ・モップで洗ったあと、泡を洗い流し、
純水を掛けてから
「水減らし」の工程で、
大きな人口セーム皮(プラセーム)を使って、車に残っている水をザクっと減らします。
「洗車機」で言えばエアブローに当たる工程です。

 

そして「拭き上げ」の工程。
車上の水の量を大幅に減らした上で、
「快洗Taoる」あるいは「キーパークロス」で、
拭き上げをします。
この時に、ダッシュボートの上や、ステップ、色々な部分も仕上げます。

 

隅々に気を配りながら、優れた吸水力を活かしながらスパッと「拭き上げ」て行き、
余計な水垂れがないように仕上げます。
最後に、「仕上がり確認」をして、
拭き上げの漏れ、水の垂れがないか全体を「確認」して出来上がりです。
「拭き上げ」⇒「仕上がり確認」

 

これが、いつの間にか
「水減らし」⇒「粗(あら)拭き」⇒「仕上げ拭き&確認」に変形してしまうのです。
つまり、
ザクっと「水減らし」をしてから、
全体をバサーっと大まかに「粗拭き」しながら車を一周して、
今後は「仕上げ拭き」をしながら同時に「確認」をして一周する工程に変わるのです。
見ていると、
車の細部を確認しながら頻繁に手を出して、拭き直しています。
ほとんど車全体を拭き直している感じです。
これがものすごく時間がかかり、
「そこはさっき拭いただろうが、何度同じところを拭けば気が済むんだ。」
と、見ていてイライラします。

 

正・「水減らし」⇒「拭き上げ」⇒「仕上がり確認」
誤・「水減らし」⇒「あら拭き」⇒「仕上げ拭き・確認」

 

同じように思えますが、
実際の仕上がりは「正」の方がはるかに良くなります。

 

「誤」は、
拭き上げ作業を「あら拭き」と「仕上げ拭き」と二回に分けて行なうので、
同じ所を何度も拭く事になって、手間と時間が余分にかかるだけでなく、
仕上がりが決して良くありません。
なぜかと言うと、
拭き作業は人によって癖があり、
拭き残しやすい場所が決まっているものです。
あら拭きも、仕上げ拭きも、同じ人が同じように車を回って行なうので、
キチンと拭くところは二度拭く事になり、
拭き残すクセのある所は、二度拭いたって同じように拭き残す場合が多いのです。
粗く拭いても、慎重に拭いても、クセは同じように出るのです。
しかも、
「仕上げ拭き」を行ないながら、「確認も同時に」やっているので、
そこで拭き残した部分は、確認でひっかかることもありません。
拭き上げを二度も行なったくせに、
けっこう拭き残しの多い仕上がりになったままです。

 

プロの「拭き上げ」は、「正」のほうです。
プロは一発でズバッと拭き上げて、それでキチンと仕上げられなくてはいけません。
それだけの目と、指先に神経を持っていなければならないのです。
一発でキチンと仕上げた上で、
車全体を「目」で確認して回ります。
手はほとんど出ません。
うまく行っていれば、確認は1分もかからないのです。
途中の作業でもし拭き残しがあったとしても、
全体の仕上がり確認で見逃すことはありません。
「確認」は「確認」であって、それは作業を「しながら」では確認にならないのです。

 

「誤」の方法は、
「拭き上げ」を「粗拭き」でいい加減にやって、
「仕上げ拭き」でちゃんとやれば良いとして、
「仕上げ拭き」をしながら「確認」をするので、
今度は「確認」をいい加減なものにしてしまいます。

 

「誤」の洗車方法は、
お客様でもイライラします。
「粗(あら)拭き」は、「いい加減な拭き方をするなーっ」と思われ、
「もう終わりかなっ」と思ってから、
「仕上げ拭き」がはじまるので「あれっ?」と思ってから、
確認をしながらも、
何度も何度も手を出して拭くので、
「まだやってるよ、いい加減に終わらないかなー」と思います。
「仕上げ&確認」のクセは、
仕上がりの品質を落とすだけでなく、
時間を余分に使い、お客様をイライラさせることにもなるのです。

 

洗車はコーティングの作業にも通じる基本形なので、
「仕上げ&確認」のクセがついてしまうと、あらゆる仕事が遅くなって、
仕上がりが雑になってしまうという厄介なクセです。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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