2012年03月28日(水曜日)

「服従」は「学習」の正反対にある

たとえば仕事の上で、
上司は部下に対して服従を求めがちだが、
これは間違っていると思う。
部署の責任者は、部署の運営責任者であり、
部署としての業績を上げることを担っているが、
部署の業績の向上のためには、
その責任者の仕事に対する直接的な能力と共に、
所属する部下がより仕事が出来るスタッフになるために、
部下が成長するための学習をさせなければならない。
そのためには、部下が自分に服従する事を求めてはならない。

 

学習とは、ある物事についてよく理解して、
納得の上で、その物事をどう判断して、
どうすればよいのか、あるいはどうすべきなのかを理解し、
その理解が、自らの行動の動機になることをいう。
このことによって、この人は、この物事について理解し、
それに対してどう行動すべきかを学習したことになる。
すると学習する前と、学習した後では、
その物事についての理解と判断と行動が変わったので、
同じような物事が次にあっても、学習後の進化した行動を取れるようになる。

 

仕事とは一つ一つの出来事がすべて学習になり得ることとなる。
仕事は、その対象と内容をよく理解し判断して
どうすべきかを決め、行動する。
学習する事と、仕事を成すこととは非常に良く似ているのだ。

 

仕事の上で、学習できる人はどんどん進化して大きな能力を備えていくが、
逆に、ある物事について、ただ言われたことを、言われようにすればいい、
つまり上司への服従が仕事だと思っている人は、
物事に対する理解も判断も、そこから導かれる行動も学習されてないので、
その物事を経験する前も後も何も変わらず、進化したことにならない。
したがって能力も大きくはならない。

 

上司の仕事とは、
その任務をより高く遂行するために
部下の能力を上げることも欠かせない仕事なのに、
部下に対して服従を求めると、それが果たせないことになる。

 

上司は部下に対してその仕事への理解を求め、
判断を求め、どう行動すべきかを学習させなければならないので、
決して服従を求めてはいけないのだ。

 

しかし人間には支配欲があり、
自らの思うがままにしたい、させたいという欲望がある。
その自らの欲望を満たすために、
服従を求めたとしたら、それは自分の都合であって、
それを仕事に持ち込めば、それは公私混同ということになる。

 

「服従」と「反発」とは逆のことに見えるが、
本質的には同じことだとも思う。
上司から何かを言われた時、
服従は、「自分はそう思っていないけど、言われた通りにする。」であるし、
反発は、「自分はそう思わないので、自分の意見を押し通そうとする。」だとすれば、
両方とも上司の言葉は最初から受け入れない姿勢が共通している。
少なくとも、いずれの場合も「学習」にはなっていない。

 

場合によって、上司の言葉が正しいかどうかは分からないが、
少なくとも、自分よりも経験が長いか、その仕事に詳しい人だから、
会社からその役職を与えられている訳なので、
部下はその言葉に「聞く耳」を持つ事は最低限必要だろう。
最初から聞く耳持たずで反発したり、服従する人は「学習」する機会は無い。
進化も無ければ成長も無く、たぶん昇進も無いだろう。

 

キチンと上司の話を聞き、
その言葉の意味を理解した上で、理解できなかった点、疑問な点があれば質問し、
自分の意見を言うことも必要だろうし、
上司もその意見をキチンと聞く必要もあるだろう。
このような過程を通じて、
判断があって、行動が決まって来れば、
その物事があった前と後では、
その物事についての理解と判断と行動が変わるので、
その人は明らかに学習した事になる。

 

そして今度、同じような物事があったら、その学習の効果が実践される。
つまりその人は、進化し、成長したことになる。
それは上司と共に進化し、成長したと言っても良い。

 

この場合一番邪魔になるのは、やはり部下の服従する姿勢だろう。
それは部下に原因があるだけではなく、
服従を求める上司の姿勢も原因となることがある。

 

もうひとつは厄介なのが、自己主張が強い場合、
自分の意見を主張すること自体が目的となって、議論すべきこと内容は関係なく
自己を主張し、自己を通すことが目的になってしまうことがままあり、
学習どころではなくなってしまう。

 

いずれにしても、
学習して、進化したいならば、
とりあえずであっても、人の話は、それが誰であれ、素直に聞くことなのだろう。

 

我、自省すべき点でもある。

 

 

みんな、ありがとう。

 

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