2012年07月06日(金曜日)
起業の成否と、継承の成否は似ている。
昨日から東京です。今日は新潟で、ひょっとしたら明日は札幌です。
たまたま、また出張が続きますが、
基本的には愛知の本社にいることが多くなりました。
出来るだけみんなの先頭に立って仕事を引っ張っていくことを自制しています。
会社の次世代の経営者たちが会社を牽引する機会を多くしたいからです。
とはいえ、つい、手も出ますし、口も出ます。
しかしそれはそれでいいと思って、控えたりはしていません。
頭の中はいつも全開、現役ですから
口も出ますし、手も出ます。
でも、自分自身がやらなくてはならないことが、徐々に減っていて、
こんな感じで、少しずつ事業全体が継承できていけばいいかなと思います。
事業を継承するということは、
起業家を育てることと似ています。
まず、「やりたいことと、やるべきことの区別」を付けさせなければなりません。
起業する人の動機として、
「自分が思ったやりたい事を、自分の好きな方法で、思う存分、やってみたい。」
が、あります。
サラリーマン時代に、
あれはダメだ、これはダメだと制約ばかりかかって、
ちっとも自分がやりたいように仕事が出来なかったことに
強い欲求不満を感じ、思い切って思うように仕事がしたくて、
独立し、起業する人が多くいます。
しかし、この場合、起業に成功した人を私は見たことがありません。
事業とは、お客様あるいはクライアントが好きなことを、
お客様が好きなようにやることであって、
だからこそ、お客様から報酬をいただける。
そのために、せねばならない事があって、それを仕事と言う。
自分が好きな事を好きなように、好きな時にやりたいならば、
それは趣味か遊びだろう。
お客様の好きな事をやっている訳ではないので、報酬はいただけない。
事業家は自らの好き嫌いは関係無しとし、無視しなければ成り立たない。
簡単なことです。
お客様あるいはクライアントから報酬を頂戴して
ビジネスは初めて成り立つので、
自分の好きな事を、好きなようにやりたい人、
自分の好き嫌いを仕事の基準にする人は、
お客様あるいはクライアントの好きな事をやっている訳ではないので、
報酬をいただけないので、ビジネスは成り立たない。
ビジネスとは、自分の好きな事を好きなようにやってはいけない。
自分の好き嫌いを介在させてはいけない。
ビジネスとは、お客様あるいはクライアントの好きな事を、
お客様あるいはクライアントの望む方法で提供する事。
起業すると、自分が何をやるのかが自由になるので、
つい、自分の好きな事を、やりたいようにやり始めることが多い。
私の経験で言うと、この場合は、ほぼすべて失敗する。
起業したら、自分の自由にやれるのだから、
お客様あるいはクライアントのために何をやるべきかを、
自由に考えられるようになるのだから、
思いっきり、お客様の好きな事を、お客様の好きな方法でもやれば、
お客様からキチンと報酬をいただけて、起業が成功する事は間違いないのに、
勘違いして、起業で得た自由を、
自分の好きな事を好きなようにやる方向で使ってしまうのは、
止めようがない勘違いであるようです。
継承においてもそうです。
やるべき事を、つまりお客様のための事を創業者から指し示されてきて、
その指図に従っていた人は、その事業を継承する事によって、
指図する人がいなくなるので、
自分の好きな事を、好きなようにやり始める場合が多い。
今まで創業者がいるばかりに出来なかった、
やりたかった事を自分のやりたい方法で、好き嫌いの基準でやり始める。
そうなると崩壊は早い。
起業家の場合は、初期に起業に失敗するだけなので、
迷惑を受けたり、損害を与えられる人の数も金額も小さいが、
継承の場合は、
すでに事業が軌道に乗っているので、
大きな金額の損害と、数え切れない人の数と世間に対する迷惑の大きさが、
起業の場合とは二桁も三桁も違う。
危険なのは「自分はこれは好きだ。あれは嫌いだ。」と、
自分の好き嫌いで物事を判断し、決定する事。
わがままはカッコいいようで、実はいい加減で、
事業にとっては致命的になりうる危険なことなのです。
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