谷 好通コラム

2012年07月20日(金曜日)

夏休みの終わり二三日前に必死で宿題をやる

子供の頃大好きであった夏休みがもうすぐ始まる。
短パンはいて、ランニングシャツ、運動靴、親から言われて仕方なく麦ワラ帽。
毎日、毎日、まったく飽きることなく遊び続ける。
真っ黒になって遊ぶ。

 

最初から「宿題なんて二三日あれば何とかなる、、、、」なんてことは
思っていない。
計画立てて
毎日きちんとこなして行く”つもり”はあるのだが、
明日こそはと思いながら、つい遊んでしまい、
その宿題計画がだんだん後半に圧縮され、
今度は最終の一週間に圧縮されていって、
ついには最後の二三日に超圧縮されるだけだ。
その頃には机の前に座る自分の背後には、いつも怖い親の目が光っていた。

 

夏休みは果てしなく遊ぶものだ。
ずつとそうだった。

 

ところで、
昔から不登校の問題はあったが、
最近では中学三年で34人に一人の割合、つまり1学級に一人が不登校だそうだ。
思うに、不登校とは、
夏休みに宿題を「あとでやればいい、なんとかなる。」と遊び続ける気持ちと、
同じ延長線上にあるのではないだろうかと思う。

 

どうしても学校に行きたくない日があって、
一日だけサボってみたら、意外と、その日はその日で済んでしまった。
今までは学校には行かなければならないものと、
思い込んで、毎日学校に行っていたけど、
ズルをしても、
学校の先生が怒鳴り込んでくるわけでもない。
親は怒っているが、家を追い出されるわけでもなく、
ご飯が食べられないわけでもない。

 

一人で自分の部屋にこもっているか、外で遊んでいれば楽しく一日が過ぎる。
だいいち楽チンだ。

 

次の日、朝起きるつらくて、もう一日学校をサボったら、
昨日より何か事態が悪くなったわけでもないし、
昨日と一緒だった。
一人で自分の部屋にこもっているか、外で遊んでいればまた一日が過ぎた。
親が怒っているけど、「きもいっ」って無視すればいい。

 

その次の日、
学校をサボるのが一回でも二回でも変わらなかったのだから、
三回でも同じだろう。
それに、二日間、学校をサボってしまったので、
今度は学校に行くと先生にすごく叱られるかもしれない。
同級生からも白い目で見られるに違いない。
昨日よりも、一昨日よりも学校に行きたくない。
親なんてオロオロするばかりで、突っ張っていれば何とかなる。

 

四日目も学校をサボったら、
今度は学校の先生が家にやってきて、
「・・・ちゃん、学校には来なきゃ、君の将来にとっても良くないよ。」と
妙にやさしく言い聞かせてくるだけで、
ちっとも怖くなかった。
「はい、明日は必ず学校に行きます。」と神妙な顔して言ったら、
嬉しそうに帰っていった。

 

もう五日目、
いまさら学校に行けば、クラスのみんなにバカにされると思うと、
もう絶対学校には行きたくない。
親も、先生も、もう誰も怖くないし、
嫌な思いして学校に行っても、授業なんて、さっぱりわからないし、
遊んでいた方が楽しいに決まってる。

 

学校に行かなきゃと思う理由が何も無い。
学校なんて、行くのやーめた。

 

不登校児童が1名できた。
不登校は、学校でいじめられて、
恐くて不登校になった子もいるかもしれない。
しかし、むしろいじめをやっているような子が、
怠けの延長で不登校になる場合が多いと聞いた。

 

これは、
夏の宿題を、
計画立てて
毎日きちんとこなして行く”つもり”はあるのだが、
明日こそはと思いながら、つい遊んでしまい、
その宿題計画がだんだん後半に圧縮され、
今度は最終の一週間に圧縮されていって、
ついには最後の二三日に超圧縮されるだけだ。
その頃には机の前に座る自分の背後には、いつも怖い親の目が光っていた。

 

と、同じような過程と言えるのかもしれない。
違うのは、怖い親がいるかどうかだけなのかもしれない。
それがなかつたので、
「夏休み前に三日で必死になって宿題をやる」ことからも逃げ、
ずるい卑怯な怠け者の不登校児童が出来ただけなのではないか。

 

 

今、働けるのに生活保護を受ける人が
急激に増えていると新聞にあった。
従来は、身体的な問題があったり、
子供が小さいのに片親しかいないなど、
何らかのどうしても働けない事情がなければ、
生活保護の申請を受理されないことになっていたそうだ。

 

しかし、
東日本大震災で、家をなくし、家族を亡くして
家族の面倒を見なければならないなど、
働きたくても働けない状況に陥った人が大量に出て、
応急的に今までの規定を大幅に緩めることによって
震災で困っている人を支援することになった。
これは適切な措置である。

 

しかし悪いことに、
その規定の緩和に乗じて、
身体的に問題なく、
大震災にも関係しないのに、
本来、働けない事情など何も無いのに、
働きたくないだけで生活保護を申請し、
受理されてしまっている人が、
大量に発生しているようだという報道がされている。

 

だとしたら、
これは、夏の宿題を後回しにして遊び廻った小学生以下であり、
世の中をなめてずるく遊びまわる不登校のバカな中学生以下の大人と言える。

 

しかも最低給与よりも生活保護費の方が、
金額が上なのだそうだ。
だからといって生活保護費を下げることをすれば、
本当に保護を必要としている人まで、苦しめることになる。
また、下手にまた規定を厳しくしたら、
震災で本当に不自由している人を苦しめることになるかもしれない。
本当に難しい問題だと思う。

 

ずるく、楽するためだけに、
みんなの大切なお金をただ取りする卑怯者は、
どうすれば懲らしめられるのだろうか。

 

ポイントは怖い親なのかもしれない。
特に男親が、社会の権威として叱るという文化が当たり前のようにあった。
だから「夏休み前に三日で必死になって宿題をやる」なんてことがあった。

 

なのに、残念ながら
せっせと働きながらも、わずかなお小遣いをもらって
女房に飼い慣らされているような亭主が増えた。
女房にバカにされ、飼い慣らされているような男親は、
子供にとって怖い存在ではないだろう。

 

女房が強い家庭は平和だという話があるが、
それは表面だけであって、
実は、とんでもないことが起こりつつあるのかもしれない。

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    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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