谷 好通コラム

2012年08月13日(月曜日)

平和の象徴か、銀・銅メダル/メダル総数の獲得率

ロンドンオリンピックの全競技が終わって、ふと気がついたことがある。

 

日本は金メダルの獲得は7個で、
約200の全参加国中の11位(3国同数)。
銀メダルの獲得は14個で7位。
銅メダルは17個ではなんと5位。
そして金銀銅のメダル総数では38個で6位。
いずれにしても、約200か国中の数字なのだから大したものであるが、

 

へんな日本がナンバー1を見つけた。
銀・銅メダル/メダル総数の割合である。

 

つまり、
競技で得たメダルの総数の中の、
金メダル以外のメダル(銀と銅)の割合。
銀+銅31個/総数38個=81.6%

 

金メダルを4個以上取った国は20カ国あるが、
その中での断トツのトップの確率なのだ。

 

ちなみに
金メダルの獲得数順で言えば、
1. アメリカ(金46個)=銀+銅58個/総数104個=55.8%
2. 中国 (金38個)=銀+銅49個/総数 87個=56.3%
3. イギリス(金29個)=銀+銅36個/総数 65個=55.4%
4. ロシア =70.7%
5. 韓国 =53.6%
6. ドイツ =75.0%
7. フランス=67.6%
・・・
・・・
11.日本 = 81.6%

 

せっかくメダルをとっても一位の金ではなく、
二位、三位の銀、銅メダルになっている確率が一番多い。

 

日本は最後まで「勝ちたい」ではなく
「メダルを持って帰りたい」なので、
金ではなく、銀・銅が多いのか。
それもあるのかもしれない。
「金メダルを取る執着心が足りない」「根性が足りない」のかもしれない。
しかし私には、これが平和の象徴であるのような気もした。

 

かつての日本がそうであったように、
中国、韓国などでは、オリンピックは国威高揚の場であり、
国家の威信をかけて出場している選手は、
とにかく「金メダル」出なければ意味がない。
金メダルならば英雄だが、
銀・銅メダルではただの人で、国から出る懸賞金も金メダルが断然多い。
選手は国からの報償と名誉を得るために、
国のために働き、競い、闘う。
そして国威とは、
表彰式で国家が斉唱される金メダルでこそ高揚される。
だから、
銀メダル、銅メダルに終わった者は、
金メダルを取れなかった『敗者』なのかもしれない。

 

しかし、
日本ではオリンピックで国威高揚する時代は終わった。
金も銀も銅も同じく「メダリスト」であり、
『勝者』である。
誰もが彼らを勝者として祝福する。

 

選手はお国のために戦ったとは誰も言わず、
楽しかったと言い、
自分が勝てたのは、応援してくれた人達、家族、
一緒に戦った仲間達のおかげと言う。

 

また、日本の場合、
団体戦でメダルがたくさん得られたような気がする。
男子体操では、個人では内村選手だけが金メダリストで、
他の誰も個人戦でも種目別でもメダル外であったが、団体戦では銀メダル。
女子卓球でも個人戦では誰もメダルはなかったが団体戦では銅メダル。
水泳でもリレーで強かった。
フェンシングも、バトミントンもダブルスで、
サッカーも、バレーボールも。

 

仲間で勝ち取った競技が多かったような気がするのは、
より印象が強かったからかもしれない。

 

とりわけ、
女子バレーボールの三位決定戦では
すごく印象的だったのは、
日本の選手はことあるごとにニコニコと笑顔で仲間に声を掛け合っていたが、
韓国の選手たちは、常に真剣に恐い顔をして、
試合中に仲間の失敗があれば恐い顔をして叱ったりしていた。
三位決定戦に勝って、
銅メダルが決定した日本選手の喜びは本当にすごかった。

 

女子サッカーの決勝戦でアメリカに負けた「なでしこジャパン」は、
表彰式で、おどけて、はしゃぎ回って、喜びを全身で表した。
それを見て、
私たちは誰も「決勝戦に負けた”なでしこ”」などとは思わず、
二位になって「ここまで勝上がって銀メダルを取った”なでしこ”」として、
みんなで喜んだ。

 

オリンピックは平和の祭典であり、
国家と国境を乗り越えスポーツを競う場であるのならば、
国威高揚など無縁の場であるはずであり、
仲間としての国民の代表が同じスポーツで競い、勝って一番になれば金メダル。
勝って二番になれば銀メダル。
三番ならば銅メダルを取った勝者として、仲間みんなで喜べはいいと思う。

 

オリンピックは喜びの祭典であり、敵を憎む場ではない。

 

金メダルが少ないことを自虐的になじるよりも
銀・銅メダル率81.5%で、
史上最多のメダルを勝ち得た日本チームを誇り高く思いたい。

 

ちなみに私は、なでしこジャパンの鮫島選手の大のファンである。

 

 

わが社の平和の使者アフリカケヅメリクガメの「トンポ」が元気である。
今日は企画の熱心な会議のあと、
トンポをのぞいたら、
早速ノッシノッシとやってきた。
トンボは人間が大好きな、平和な仲間である。

 

 

ぶつかる直前でするーっと、スルーする。

 

 

この季節、アフリカがふるさとのトンボは一番元気だ。

 

 

生き物は、生きているだけでぞくぞくするほど美しい。
※写真をクリックしてみて下さい。

 

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    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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