谷 好通コラム

2012年08月31日(金曜日)

「物の販売」は急いでも商品の付加価値が変わらないが

横浜のキーパーラボ横浜港南台店が
この8月、前年比約315%をマークしました。
昨年の5月にオープンして約1年3ヶ月、この間に何があったのでしょう。

 

キーパーラボ横浜港南台店は、
セルフのガソリンスタンド(以降SS)と隣接し壁一つで隔たれています。
ですから、ガソリンスタンドが持っている名簿に、
キーパーラボという店舗が隣接して出来たことを告知する事で、
最初から多くのご来店を目論見ましたが、
名簿が多くはなく成果は得られませんでした。

 

店舗単体としての視認性も
前面道路の通行側が下り坂で車のスピードがあり、
あまり有効ではありません。
ただ、横浜市内初のキーパーラボなので、
オープン以来、インターネットでのアクセスはかなりの数字があります。
新規来店台数も水準以上あり、
これは早い立ち上がりがあると期待したのですが、
なかなか売り上げの数字は上がって来ません。

 

数ヵ月後の分析を見ると、
新規来店数は十分なのに
一度来たお客様がリピートしていないようなのです。
ある程度実績が累積されてこないと流れが把握できないのですが、
それに気がついて、まず、
「商品品質」を高めることを徹底して修正しました。
繰り返し練習を行って行ったのですが、それでもなかなか上がって来ません。
接客はそれなりに水準であり、
特に車の美装に大変詳しい店長の接客、商品説明は特筆できるものです。
それでもあまりリピートされてこないのです。

 

何度か店舗にお邪魔しているうちにあることに気がつきました。

 

店舗が少し混み合ってくると、
スタッフの方の洗車などを作業する”手が早く”なって”急ぐ”のです。
もちろん”足も速く”なります。”急ぐ”のです。
お客様との”会話”も、電話での”話し方も早く”なって、急ぐのです。
大変失礼ですが、それほど忙しいという程ではありません。
でも、急ぐのです。

 

店舗にはSSでの経験が長く、
実績を持ったスタッフがいらっしゃって
複数のお客様がいれば、当然ように急ぎます。
早く先の洗車・コーティングを仕上げて、
次のお客様の仕事をせねば、お客様をお待たせしては申し訳ないと、急ぎます。

 

「これはイカンな~、この店は物販になっているな。」と思いました。

 

「物販」すなわち、
商品が「物」であり、
物である商品にその付加価値が存在していて、
その商品を販売するビジネス、

 

物販ビジネスの店舗ならば、
店舗が混んでくれば、当然スタッフは急ぎます。
たくさん来られているお客様を無駄にお待たせしてはいけません。
それでも、お客様の目的である「商品の付加価値」は、
物であるその商品の中に在るので、
急がれても何ら減少するものではなく、
早くその商品を買えれば、その分、サービスが良いことになります。

 

物販ビジネスの場合「お客様が混んで来れば、急ぐ」は、常識です。

 

しかし床屋さんとか美容院のような
「サービス業」だったらどうでしょう。

 

年末とか、連休前とか、
お店が混んでいる時に、
店舗のスタッフさんが、
ハサミを大急ぎで動かしてお客様の髪をカットしていたり、
大急ぎで洗髪したり、
手早く急いでセットをしているでしょうか。
そんな風景は見たことがありません。

 

たとえば私が客だったら、
その床屋や美容室にはもう行きません。
店舗が忙しいからといって、大急ぎで、雑に扱われてはたまりません。

 

美容院や床屋さんならば、
どんなに忙しくても、一人一人のお客様の頭を
いつものように丁寧に扱ってくれる所へ行きます。
許容できたとしても、心持ち足早に動いているくらいでしょうか。

 

サービス業とは、
その店舗で「髪がさっぱりとなる。」とか
「車がキレイになる。」という付加価値が、
自分の頭とか車に作り上げられるものなので、
ちゃんと作業しないと、
つまり、急いで雑にすると付加価値が下がってしまうのです。

 

ここが物販業とサービス業の根本的な違いです。
サービス業は決して急いではいけないのです。
しかし長年物販に携わっていると、そこのところにどうしても違和感があって、
つい、急いでしまうもののようです。

 

この場合も、商品品質を上げるために、
なんども店内でお互いに作業を研修し合ったり、練習に励まれたのですが、
いざ本番の時、忙しくなると急いでしまって、
商品品質がお客様の見た目にも下がっていたのかもしれません。

 

横浜港南台の場合、
前年比315%の絶好調を作り出しているのは、
もちろん、そのようなことだけではなく、
もっともっとたくさんの要素が噛み合って作り出されたものでしょう。
スタッフ全員がたゆまない努力を重ねられた結果だと思います。

 

それでも、少なくとも「急いでしまう」が、
この店からなくなっていることは間違いありません。
315%の要因のささやかな一つかもしれません。

 

横浜港南台店、しばらくお邪魔していないので、
久しぶりに伺って、じっくりと取材をしたいと思います。

 

 

今日は「鳥取」の日帰り出張です。
昨日は「大宮」の日帰り出張。
明日は「新潟」の日帰り出張で、
その次の日から富士→東京→御殿場と続きます。
スーパー日帰りウィークと言ったところです。

 

今日の鳥取での取材は面白かったですよ。
短集中型コーティングキャンペーン」の取材です。
今は、鳥取から姫路、名古屋へ帰る列車の中。
午後6時40分鳥取発「はくと14号」。
なぜか列車の中が、暖房が入っているかのように異常に暑いので、
その内容の記事は、列車の旅中の後半、
姫路からの「のぞみ」の中で一気に書くつもりです。

 

の、つもりでしたが、
この「スーパーはくと」に車内販売がなく、
新幹線に乗り換えてから弁当を食べるしかないので、
書けないかもしれません。・・・腹減った。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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