2013年07月29日(月曜日)
7.29.後編・スーパーGT in SUGO #37 一瞬 たぶん10秒間のトップ
満を持してコースに出て行った伊藤大輔選手。
結局、35周でアンドレからバトンタッチを受けて
伊藤大輔選手は長い46周を走ることになる。
ピットアウト後、ハードコンパウンドのタイヤでタイムは上がらずとも、
あとからピットインしてくる車が全部入り終わったら、
ピットイン前の5位と同じポジションを確保していた。
このまま5位でも良いかなと思ったころ、
レースもあと25周を残すところで、雨が降り出した。
コースの東側、大きく長い最終コーナーのほうに真っ黒な雲があったのだが、
グランドスタンド前はまだポツポツなのに、
ストレートを行く車がワイパーを激しく動かしているのだ。
と思う間に、路面がうっすらと黒く濡れていく。
どのタイミングで、タイヤをドライのスリックタイヤから、
ウェット用のタイヤに交換するか。
その判断が勝負の分かれ目だ。
雨は降っているがウェットに換えるには
ピットの出入りも含めて30~40秒以上はロスをしてしまう。
トップグループの全車が僅差で争っており、それどころではない。
みんな様子見で、まだピットに入る様子はない。
雨がポツポツ降り出してから3周目、
僚友の#36ペトロナスTOM‘Sが、
早々にピットインしてタイヤをウェットに換えて出て行った。
#36はスタートでジャンプスタート(フライング)して、
ドライブスルーというピットロードを1度走るペナルティを受けていたので、
トップグループからは遥か後ろを走っていた。
そこでTOM‘Sの舘会長から
「他の車と同じことをやっていたら勝てるわけないだろう。早く入れろ!」と、
檄が飛んで、真っ先にウェットタイヤに換えたのだ
雨が大降りになって来れば、
先にタイヤを換えたのが大正解となって
それほど降ってこなければハズレとなる。
一か八かのギャンブルに出たのだ。
我が#37は、雨が降り始めてすぐに一旦タイムが落ちたが、
すぐに回復してトップを行くグループと変わらないペースで走り続ける。
それでも後ろから来た#100レイブリックHSVに抜かれて6位に下がる。
若干なりとも濡れている路面をスリックタイヤで走るのは非常に危ない。
こういう場面では欲張らずに、淡々と行くことだ。
そのうちに、前を行く#1のGT-Rと#38 ZENT SC430が、
どちらが悪いとも言えない微妙な形で接触した。
#38はすぐにコースに戻ったが、
#1 GT-Rレイトモーラはタイヤがバースト。
#37が前に出る。
ということで我らが#37 KeePer TOM‘Sは、また5位に上がった。
その後、
#37の前を行くトップ4台が、
団子状態となって激しいデッドヒートを繰り広げる。
#39デンソーSC430(脇坂寿一が乗る)、
#38 ZENT SC430
#18ウィダーHSV
#100レイブリックHSV
正に抜きつ抜かれつの激しいデッドヒートだ。
濡れた路面でスリックタイヤを履いた4台が、
団子でデッドヒートとは、
プロだから当たり前なのかもしれないが、
見ているだけでも恐ろしい。
(でも、見ているだけなので面白い)
何周かそんな状態が続いた後、均衡が崩れた。
団子の中でも前を行く#39脇坂が、
周回遅れのGT300クラスのマクラーレンに接触した。
バランスを崩したマクラーレンが、
今度は#38 ZENTにぶつかり、#38をコースの外に押し出した。
そのあと今度は失速した#39を、
両側から抜こうとした#18と#100の2台のHSVが絡んで激しいクラッシュ。
一挙に3台が潰れた。
このクラッシュの引き金になった#39は、
何とかコース上にとどまったがタイヤにダメージを受けていて、
2周目にバーストして、ピットインする。
結局、#37が4台を抜いたのだ。
5位から4台を抜いたら・・・5-4=1、、、1位。
そうなんです。
我らが#37が、スーパーGTレース決勝でトップを走ったのです。
しかし、我々が#37がトップになったことに気がつかぬ間に、
いつの間にか後ろにいた#8 オードバックスHSVが、スルリと#37を抜いた。
一緒にいた畠中君の言うにはその間わずか10秒足らずであったという。
コントロールタワーの前を通過していないので、
1位で走ったという記録も残っていない。
しかし、猛然と#37は#8を追う。
あと10周を残したところで、
トップ#8を2~3秒差で追う#37。
興奮は絶頂であった。
しかし、徐々に離されていくのが判る。
「これはダメだなぁ」と思ったが、
雨が上がって路面が乾いたほんの何周かで、
その差がぐんと縮んで、1秒以内になった。
「うぉーっ」と盛り上がるが
また大粒の雨がバラバラっと降ると、路面が濡れて、するするっと離される。
どうも#8オートバックスHSVは、
雨の降り始めにウェットタイヤに履き替えていたのではないか。
そういえば、コンクリートウォールの向こうのピットレーンに、
#8のオレンジ色の屋根が見えたような記憶がある。
しずれにしても、2位でトップを追う#37。
路面の濡れ具合でトップに迫ったり、離されたり。
最後の最後、ファイナルラップでは、わずか2秒の差であった。
結局2位でした。
SUGOサーキットを後にしたのは
ゴールからわずかの4時半。
さすが地元民の大和課長。
意外にも、サーキットから空港まで山越えの道路が早く
午後6時発のプロペラ機に乗れてしまった。
低い高度を飛ぶ機内からは富士山がかろうじて見えた。
サーキットに来ると、キーパーエンジェルスのきれいなお姉さんと写真が撮れたりします。
絶対楽しいので、みなさんもぜひお越しください。
結局2位でした。
でも、
私達の#37は、
ほんの一瞬、わずか5秒間であろうともトップを走ったのです。
KeePerのロゴを背負った車が
スーパーGTの決勝を、
先頭で走ったのは初めての事です。
今回はこれくらいにしておきましょう。
来月は、鈴鹿サーキットで1000kmです。
優勝は地元である鈴鹿まで取っておきましょう。
準備万端整いました。 ですね。
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2013年07月29日(月曜日)
7.29.前編・スーパーGT in SUGO #37の闘い
仙台のSUGOインターナショナルコースで、
スーパーGT第四戦が開かれた。
こまでの三戦の闘いでは、我が#37 KeePer TOM‘S SC430は、
たぶん“不運で”、最高で第5位と振るわなかった。
しかし、スーパーGTシリーズの仕組みで、
上位に入るとウェイトハンディを積まなければならないので、
ここまで来て上位に入っていないのは、
ハンディをもらっていないので「軽い」という意味で条件が良くなっている。
そろそろ上位を狙うか。それも初めてのトップを狙うか。
次戦の鈴鹿サーキットは地元なのでぜひ優勝したいところ。
それまで取って置くか?
なんてこちらの都合のいいようにはならない。
全戦を全力投球で、あくまでもSUGOでも優勝を狙うのは当然だ。
昨日の予選は10位。 GT500クラス15台中の10位は決していい結果ではない。
しかし、SUGOは魔物が住むサーキットとよく言われる。
何が起こるのかわからないのだ。
去年のSUGO戦は、
今年は、#37に乗っているAドライバー伊藤大輔選手が、
#6 ENEOS SUSTINA SC430で、優勝している。
ゲンのいいサーキットなのです。
サーキットに#37を応援に集まっていただいたみなさんは
総勢で約100名。
グランドスタンドのTOM‘Sチームのピット前にみんなで陣取る。
そこへ、午前10時に、
#37のドライバー伊藤大輔選手とアンドレア・カルダレッリ選手が、
TOM’Sの関谷監督に引き連れられて、
スタンドのお客様に挨拶に来てくれた。
みなさんに元気に挨拶と、エイエイオーと、記念撮影。
いざレース。
10番手からのスタートは、アンドレアだ。
スタートはローリングで、
とりあえず、スタートと、はじめの何周かはキープポジション。
しかし、僚友の#36ペトロナスが、
フライイングスタートでペナルティをもらったので、
#37は、9位にポジションアップ。
そこから、アンドレアは快調で、明らかに他の車より速い。
前の車を順番に抜いていく。
気がついたら20周を何周か回った時点で5位にまでポジションを上げた。
作戦で#37はソフトコンパウンドのタイヤでスタートしたようだ。
ソフトタイヤはグリップが良い代わりに寿命が短い。
チームに聞くと、
第一ドライバーのアンドレアは、
グリップの良いソフトタイヤで出来るだけポジションを上げて、
全81周のレースを32周目くらいの速めにピットインする。
残りの49周のロングドライブを、
SUGO得意の伊藤大輔選手が寿命の長いハードタイヤで走りぬく。
そんな作戦が、ここまでは図星だった。
そして予定通りの早めのピットイン。
ピットインしてくる#37を待つ伊藤大輔選手。
さぁ、#37が帰ってくる。
あっという間に車が飛び込んできて、
あっという間にドライバーが変わった。
少し多めの給油だ。
タイヤを4本換えている。
ハードタイヤである。
ソフトタイヤで5台抜きを果たしたアンドレアが帰ってきた。
ここ何戦か、TOM‘Sはその高いレベルに似合わず、
ピットイン、ダライバー交代、給油、タイヤ交換の一連の作業が、
他のチームより数秒遅かった。
この数秒はドライバーが0.1秒、0.2秒とコツコツ溜め込んだリードを
一挙に吐き出す大きなロスとなる。
これはTOM‘Sも問題として、このところ猛特訓を行ったらしい。
それをチームから聞いていたので期待して、
ピットインを眺めていた。
なかなかいい。全部の作業を31秒で上げた。
他のチームより若干ではあるか速いくらいのタイムだ。
無事にアンドレアから伊藤大輔選手に交代した。
ここからはすべての車がピットインしないとはっきりした順位は判らないが、
タイムそのものはあまりあがってこない。
グリップは少し弱いが寿命が長いハードタイヤを履いているので当然だ。
しばらくレースは膠着する。
しかし、ここからがどんでん返しの連続で、
ドラマティックなレースがはじまる。
続きは後編で、、
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