谷 好通コラム

2013年08月15日(木曜日)

8.15.ポリマーコーティングで5年保証?

一般的なポリマーコーティングは二十数年前の昔からありました。
ポリマーとは高分子重合体という意味で、
それがシリコン系とか、ウレタン系とか、アクリル系とかいろいろ言っても、
それらは総じてポリマーであり、有機物です。
それらを車の塗装の上に塗ればポリマーコーティングと呼びます。

 

そして、今回の話は、
主に七八年位前までの事の話です。

 

ここでいうポリマーコーティングは、
ピュアKeePerとはまったく関係ない異質の部類の
「5年保証のポリマーコーティング」の話です。

 

一般的にポリマーコーティングの特長は、
分子同士が結合した膜になるので、
WAXのように熱で溶けたり流れたりしないので、
WAXよりも効果の持続が長く、
ガラスの油膜にもなりにくく
汚れを膜の中に取り込むこともありません。

 

ただ、溶けたりしないので
WAXのように「セルフレベリング効果」はなく、
塗装の表面の凸凹をカバーして艶を出すことは出来ません。

 

だから、一般的にポリマーコーティングといえば
塗装表面を微細コンパウンドとポリッシャーで磨き
凸凹を磨き取ってからのコーティングが常であり、
研磨無しで美しい艶を出すことは難しいものでした。

 

だから、20数年前から
一般のポリマーコーティングと言えば「研磨」の作業が必ず伴い、
研磨の技術が先行して発達しました。
いわゆるポリマーコーティングの施工をする職人さんの言葉で
「コーティングは”下地作り(磨き)”の良し悪しが肝心であって、
下地作りがきちんと出来れば、上に塗るコーティング剤は何でもいいんだ。」
熟練した研磨技術で磨いた塗装は、
新車の塗装表面よりも平滑状態が高く、正に職人技と言えるものです、
高い平滑状態を作るのを「鏡面研磨」といい、
日本国中に「我こそは磨きの日本一」を標榜する技術者がいっぱいいました。

 

しかし、この研磨作業は非常に大変な労力と時間を要する作業で、
時間単価を多少低く考えたとしても、
1台につき数万円分の労力を必要とする作業です。
その反面、
鏡面状態にまで研磨して平滑を高めた塗装面の美しさは、
新車の塗装の美しさを凌駕しているものの、
その差を見分けるには、ある程度のコツが必要であり、
普通の人が、普通に見たのでは、まったく見分けがつかない種類のものです。

 

研磨して艶を出した塗装にポリマーコーティングをすると、
研磨をしてない塗装にWAXを塗ったよりも、ツヤが出ます。
さらにポリマーは分子同士で結合しているので、
単なる混合物であるWAXよりも、
汚れに対する耐久力があり、紫外線、酸性雨への耐久力もあります。
また溶けて流れたりしないのでWAXよりも長く塗装上に存在し、
水はじきも長く続きます。

 

WAXより長く持つ魔法の処理「ノーワックス加工」として、
ポリマーコーティングは世に出ました。
中には永久にWAXを掛けないでもOKと言うものまでありましたが、
だいたい5年耐久をうたっているものが多かったと記憶しています。
しかし、
いかに分子同士が結合している膜であっても、
一般的にポリマーコーティングとは「有機物」であり、
長く太陽の光に暴露されれば、
プラスティックスでも、組織が破壊され表面が白く濁ってくるように
破壊されるのがわかります。酸性雨においても同様です。

 

一般的な車用のポリマーコーティングは
どんなに耐久力があるものでも、
塗装の上に塗られたままで「年単位」で塗装を守り続けることは出来ません。
ポリマーが長寿命なのは、あくまでもWAXとの比較であって、
耐久力が持続しても「数ヶ月」であり、
5年間塗装の上に、
きちんとした形で存在し続ける
ポリマーコーティング皮膜はあり得ません。
そんなものは少なくとも私は見たことも聞いたこともありません。

 

ならば、なぜ多くのポリマーコーティングが5年耐久をうたっていたのか。
それは
「研磨作業」を伴うからです。
研磨作業は重労働であり数万円もいただかなければとてもやれません。
数万円いただくために、
それに見合う付加価値として
「5年耐久、ノーワックス」をうたったわけです。
(今現在はもう一つ違う理由がありますが、)

 

ここに一つのトリックがあります。
どの一般的なポリマーコーティングも、
そのパンフレットなどに
「コーティング皮膜自体が5年間の耐久力を持っている。」とは、
絶対に書いてないのです。

 

○△コーティングのお車に施工したら、
・一年間に一度、お渡ししたメンテナンスキットで
・マニュアル通りにメンテナンスを行っていただき、
・車に傷をつける洗車機を使用せず、手洗い洗車で、
・車が汚れたら必ず洗って下さい。ただし炎天下での洗車は厳禁です。
・そして必ず水を柔らかいタオルで拭き上げてください。
・虫、鳥の糞、ピッチ、タール等がくっついたら、すばやく洗い流して下さい。
・・・・・・(こんな項目があと10項目くらい続いて、)
以上のお約束を守っていただきますようお願いいたします。

 

そうすれば、
5年間、”塗装のツヤ”が、保たれることを保証します。
こんな感じのものが多く、
そのポリマーコーティングの皮膜が保持されるわけでもなく、
あらゆる条件をクリアした上で、
ユーザー自信がメンテナンスをすれば
「塗装の艶」が続くことを保証されるわけです。

 

これだけがんじがらめに保証外にする条件を並べれば、
すべての条件をリアした上で、
クレームをつけてくることは殆どあり得ません。
それでも、万が一クレームになれば、
研磨をすれば必ず艶は戻るので、一件落着となります。

 

これを「5年間保証のコーティング」として販売するのは、
消費者に対する詐欺行為であると、
あるポリマーコーティングを裁判に訴えたWAXメーカーがありました。
「大した効能もないコーティングを誇大広告で販売されたので、
自社製品のWAXが売れなくなって損害を受けた」との訴えです。

 

私達も内心このメーカーのことを応援していたのですが、
一審の地裁、二審の高裁までこのWAXメーカーが勝ったのですが、
最後の最高裁判所で
「説明書をキチンと読めば、一つ一つの言葉は、ウソはついていない。」と、
負けてしまいました。

 

それだけ多くの問題を抱えた商品であったということです。

 

そのころから、
ピュアKeePerは、
「三ヶ月ごとの感動。」と称し、
短いサイクルで、
ポリマーコーティングの特性を活かした「塗装面改善方向性」という
独自性の非常に強いポリマーコーティングを展開していました。

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    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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