2013年11月19日(火曜日)
11.19.(後編)TOM‘Sがマカオに出場し続ける訳・勝つ論理
勝つことに集中して、
勝って、
勝てる車を手に入れて、あるいは造って、
勝てるセッティングが出来るエンジニアと、
勝てる整備力を持つメカニックを仲間に入れて、あるいは育てて、
勝てるドライバーを乗せ、
あるいは、勝つための素質を持った若者が発掘され、育てられます。
レースに勝つことで宣伝効果を期待するスポンサーも現れます。
資金も潤沢であり、勝てるチームで、
自分の腕を存分に振って結果を出したい人たちが終結し、
勝てる優れたレースマネージメントを発揮して
勝てる車を、実際のレースを勝たせる。
すると、勝てる車を造る力のあるカーメーカーが、
もっと勝てる車、メーカーが勝たせたい車を提供してくる。
レースはすべて
勝つことから始まり、
勝つことからすべての方程式が組み立てられる。
しかし、そんなことはどのチームでも分かりきったことです。
どのチームでも、勝ちたいと強く思い、
勝てれば、すべてが上手くプラスの循環に入れることを知っています。
その場が勝ちたいだけではなくて、
勝つことで、その後のことがすべて上手く行くことも知っています。
なのに、勝てるチームと勝てないチームがあるのはどういうことでしょう。
TOM‘Sは今年、F3でシリーズを1位、2位の独占し、
スーパーフォーミュラは、もうちょっとのところで僅差の2位でした。
スーパーGTでも同じように#36が、僅差の2位で泣きましたが、
いずれにして、日本の最高峰のレースシーンの上位を占めました。
※我が#37は、残念ながらシリーズ8位と終わってしまいましたが、
来年は間違いなく上位に浮上して来るでしょう。
#36と#37は全く同じ使用の同じ性能の車だからです。
日本一強いチームTOM’Sは、なぜ強いのか。
結論を言えば、
勝つことに特別強い意志を持っているだけでなく、
他チームより、
チームとして、企業としての長期的な展望と、先行投資を行い、
その投資を、とりわけ、”人間”に投じている点ではないかと思います。
TOM‘Sは人間を大切にしている会社です。
加えて並外れた闘争心を持った会社でもありです。
※この先は、あくまでも私の想像です。
勝負としてレースのもっとも大きな要素であるドライバーは、
TOM‘Sの幹部が、主にレーシングカートのレースに出向き、
才能を持った十代前半の若いドライバーを発掘します。
そして、スカウトされたドライバーは、
年齢が来たらいずれかのチームのFCJ等、ベーシックなレースに
出られるように、チームの人脈を通じ手配します。
そのレースで頭角を現したドライバーを、
F3などの上位のカテゴリーの車に乗せ、良ければTOM‘Sの車にも乗せます。
乗せるからには、徹底的に教育し、鍛え上げます。
ドライバーたちはチームの関係のアパートに住み、
生活費はTOM‘Sのスペシャルパーツ類の荷造り発送をアルバイトして賄います。
ほとんど丸抱えの合宿状態です。
そしてTOM‘Sの車は最高のコンディションと、
サラブレットの中から厳選されたドライバーと、
優れたレースマネージメントで、勝ちます。
しかしF3あたりで勝って、チャンピオンになってもまだまだです。
そこでマカオグランプリ。
世界中の主にヨーロッパから強いF3ドライバー達が集まってくるレースです。
そこで、世界に通じるドライバーかどうか試される面があります。
お上品な日本のサーキットと違って、
狭いハードなマカオサーキットで勝つには、速いだけでは何ともなりません。
ドライバーとしての度胸とか、駆け引きとか、運とか、
そんな数字には出てこない天性が必要なのです。
ここで勝って、あるいは上位に食い込んで強いドライバーになるのです。
それがTOM‘Sがマカオグランプリに出場し続ける一つ目の訳。
人を大切にするTOM‘Sの一つの絶対のルールがあります。
それは「人を裏切らない」ということです。
TOM‘Sは若いドライバーを育て、最終的にはF1ドライバーにまでにしますが、
それまでには、生活を助けたり、
スポンサーを見つけて付けて上げたり、
その人に合ったチームを選んで走れるようにしたり、
とにかく丸抱えで面倒を見ます。
それに対して、誠心誠意応えてがんばれば、
その人の持っている才能の上限までは面倒を見ます。
絶対に裏切らないのです。
しかしその逆もあります。裏切られればそこで終わりです。
面倒を見る。見られる。の、人情的な所がTOM‘Sには色濃くあると感じます。
しかし、いずれにしても、膨大な人的先行投資です。
目先の損得では絶対にできることではありません。
それは、ことドライバーとの関係だけではなく、
エンジニア、メカニックなどピットの花形たちへ先行投資も同様でしょう。
それから肝心な車のメーカーさんや、
スポンサーにも目先の損得や、お付き合いだけでなく、
「勝つ」ということで、その本来的な役目を果たそうという意思があります。
TOM‘Sはチームとして、
レースをエンターテイメントとかショーとして部分は
舘会長の「レースはカッコ良くなきゃイカンな」というレベルです。(結構強い)
とにかく「勝つ」ということを強烈な軸として、
すべての要素を組み立てています。
勝つということに、
こんなに長期展望に立ち、
先行投資を惜しまず、
こんなに用意周到で、意地になって勝ちたいと強く思うチームは他にいない。
それがTOM‘Sの原点ではないかと思うのです。
勝ちたい。つまり闘争心。ファイティングスピリッツ。
マカオグランプリにそれが濃縮した形で存在しているのです。
あれば紳士的なレースなんかではなく、
野蛮な戦いそのものです。
強いTOM‘Sの人間をとことん愛する姿勢と、
きっと野蛮なまでに
勝つことに執着する闘争心が、
マカオグランプリに濃縮しているのでしょう。
だから、TOM’Sはマカオで走り続けるのではないでしょうか。
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