2014年11月07日(金曜日)
11.07.保護があると、保護なしでは居られなくなる。
映画「スターウォーズ」の何話かの場面で、
正義のルークと悪役のダースベーダーの闘いでルークが勝ち、
ダースベーダーが仮面を脱いだら、
青白くふやけた顔が表われて、
それがルークの父親であったことが分ったと同時に
ダースべーターは間もなく息を引き取りました。
私には、あの仮面を脱いで出てきた青白いふやけた顔がすごく印象的でした。
子供のころ、友達が、足の骨折で何か月もはめていたギブスを外したら、
筋肉が落ちてひなびた感じの足が出てきたのを思い出しました。
ギプスで足を保護していたら、
筋肉を使わなかったのでなくなったのです。
生き物は、保護されていると、
かえって、弱くなってしまうものなのでしょうか。
昔、農業を保護するために、コメの輸入を禁止して、
政府が決まった高い価格でコメを買い上げたりして、
いたせりつくせり農家を厚く保護しました。
だから、昔の農家はそれなりにみなさん豊かだったのです。
しかしそのおかげで、農地を統合化して広くし近代化することが進まず、
人間が楽になるための機械化だけは進みましたが、
狭い田んぼや畑のままなので事業としての効率は上がらず、
収入があまり増えないまま、
農機具の支払いに追われて生活水準は逆に落ち、
若者はほとんど都会に出て、地方の高齢化が急速に進んで、
日本の農業は極めて弱体化したと、読んだ本に書いてありました。
農家がまだ豊かであった時に、
田や畑を統合して作付面積を大きくしておけば、
機械化が農家の事業としての効率化が進められたはずです。
しかし手厚い農業に対する保護が、
田畑の統合の必要性を農家に感じさせなくなっていたことが、
かえって日本の農業を衰退させた一つの要因になったそうです。
昔、国内の石油業者は、長い間、
「特定石油製品輸入暫定措置法(特石法)」という法律で守られてきました。
詳しい話は別にして、
この法律が、1996年3月に廃止されてから十八年の間に、
約6万件近くあったガソリンスタンドが、
今では3万数千件にまで減ってしまいました。
ちょっと前の昔までは、
冬になったらストーブなどの暖房は入れたものの、
それは起きている間だけのことであり、
寝る時は布団を被って、ぬくぬくと、気持ちよく寝ました。
しかし今では、寝る時までエアコンの暖房を入れて、
汗をかかない程度に薄い掛布団をかけて寝ます。
エアコンの暖房を入れずには、寒くて寝られません。
守られるべき存在だとしても、
守られているうちに、
守られることに慣れてしまい、
守られている間は、自分が守られていること、
あるいは、与えられていることを忘れてしまいますが、
その保護がなくなると、
いつの間にか、ひ弱になって、
自分の力で生きていく逞しさを失って
自分が、その保護なしでは生きられなくなっていることに気が付きます。
でも、気が付いた時は手遅れの場合が多いものです。
Posted パーマリンク