2018年09月27日(木曜日)
9.27.ヨーロッパでは会社とは家で引き継いでいくもの?
昨日、ドイツからSONAXのホフマン社長が、
いつも来てくれるドクターピッチと共に会社を訪問してくれました。
彼らはドイツ語だけでなく英語も堪能なので
話は英語の通訳さんを通じての話になります。
両者にとって英語は外国語になるのですが、
意外と彼らとのコミュニケーションはスムーズで困ったことはありません。
真剣な話も、冗談交じりの話もいっぱいの事を話しました。
その中で一つ面白い話がありました。
SONAXはドイツの歴史ある古い会社で、
ホフマン社長はSONAXの創設者と直接の血脈者であり四代目だそうです。
そして、息子がいて、彼が次期の社長になるのは既成の事実で、
彼はホフマン企業グループの総帥になることが決まっています。
その事について誰も異議をはさむ余地はまったく無いでしょう。
ヨーロッパの企業にはよくある事で不思議ではありません。
びっくりしたのは、
一親等である自分の子に会社を相続すれば、
相続にともなう税金がまったくかからないとおっしゃったことです。
血族ではない者に会社を渡せば、それは贈与になるので、贈与税がかかるが、
一親等である自分の子に相続するのは無税だそうです。
日本と大きな違いです。
あまり詳しくはないのですが、日本ではそれが自分の子であろうと
基礎控除が8000万円ぐらいあるだけで、
残りの価値に約50%の相続税がかかります。
ちょっとした会社の価値ならば8000万円の控除は端数でしかなく、
基本的に会社全体の価値にダイレクトで50%の税金がかかる訳です。
すると、ホフマン社長のように四代目ならば、
「会社の価値」×0.5×0.5×0.5となって、
代が変わるごとにその時の会社の半分の価値が税金で取られ、
手元に残るのは×0.5×0.5×0.5であり、
二代目で0.5、三代目で0.25、四代目で0.125の価値しか残りません。
実際には財産保全会社や、財団を造ったりして、
あらゆる節税手段をとって節税を計りますが、
基本的には半分づつ取られ続け、
四代目では最初の会社の価値の0.125しか残らない勘定になります。
そのうちに無くなってしまいます。
そうならぬように様々な手段をとるにせよ、
自分の子に相続しても、他人に相続しても、
どちらでも税金が大きくかかることに変わりはなく、
日本の会社の場合、血族ではない第三者が後継者になることが多くあります。
ところが、ヨーロッパの多くの国が、
自分の直接の血族に相続するならば一銭の税金がかからず、
第三者に相続するならば、それは贈与であって大きな税金がかかるとしたら、
誰だって、自分の血族に相続して、
二代目、三代目、四代目、・・・と延々と血族での後継が続くのでしょう。
ヨーロッパの会社が由緒ある家系で引き継がれているのが多いのは、
そんな事情があったのですね。
だからと言って、何が出来る訳ではありませんが、
ヨーロッパがあらゆる意味で「伝統」を守ることに
大きな価値を見出しているのは、
血族での相続が無税であることに由来しているのかもしれません。
Posted パーマリンク