2019年12月02日(月曜日)
12.02.「らしく」してしまうと学習が全く出来ない。
先日、出張コーティングをやっている人のサービスカーを見る機会があった。
自分のいつもの工場ではなく、
他人が、他人の都合で造った所へ行って、
自分が思ったようなコーティングを造り上げる為には、
いったい何が必要になるのか。
アウェーである他人の造った工場に行っての作業は苦労が多いだろう。
私達もそういう機会があるが、
多くは「積載車」を先方に乗って行って、
依頼された車を積載車に乗せて、ホームの自分の店に持ってきてしまい、
勝手知ったる自分の店で、いつものように施工をして、
出来上がった車を再び積載車に乗せて、先方の工場に持っていく。
そんなローテーションで仕事をしていた。
しかし、それではいかにも効率が悪いので、
出張サービスカーを造って、技術者がそのサービスカーに乗って先方に出かけ、
先方が提供してくれる場所で、
いつもの自店舗で行っている質の高い施工を実現しようとしています。
それは、多くの磨き屋さんがすでにやっている事なので、
自分達に出来ない事は絶対ないと考えています。
自分達も出来るようになるには、まず、学ばなくてはいけません。
そこで、KeePerの製品をたくさんお使いいただいていて、
長い経験をお持ちで
たくさんのお客様から信頼を得ている技術者の方が、
実際に出張コーティングに使っていらっしゃるサービスカーを、
私達に見せていただける機会があったので、
こんな機会はそうそうあるものではないと思い、
わが社の幹部連中と一緒に見に伺ったのです。
そのサービスカーは、何の変哲もない普通のバン車で、
プラスチックの工具箱、あるいは道具箱に、
いつも使っている道具と材料を見事に整理して、
きっと用途別に分類されて、整然と並べて、見事なサービスカーでした。
しかし、私達のメンバー幹部達は誰も何があるのかを記録しようともせず、
メモを取るどころか、写真も撮らず、
整然と並んでいる道具と材料を確認しようともせず、
これだったらすぐに出来るな。と、感想を言い合っているばかりで、
客先だったので、私も怒鳴りもせず、黙ってみんなと帰って来ました。
その後行く予定になっている岐阜県の自動車改造屋さんに行くのは、
みんなと別の自分の車に乗って、
改造屋さんで何をするのか、何を検討するのか、
興味があったので、1時間かけて改造屋さんに行きました。
しかし、そこで交わされる言葉は、
イメージあるいは見た目の話ばかりで、
何がどう必要なのか、先程見てきた見事なサービスカーの事は出ず、
頭で考えた、自分達のサービスカーに積むべき持ち物を、
先程の見たサービスカーの半分程もない量の道具と材料を、
ああして、こうしてと、構想ばかりを話して、
結局、サービスカーに使う車がまだ無いので、
具体的には話しようがないと言うことで、何もせず帰ってきてしまいました。
せっかく長い時間、苦労して作業してきた結果、
出来上がった見事なサービスカーを見せていただきながら、
幹部連中が雁首揃えて行った改造屋さんでも、何も学べず、
たった一つの発見も無しに
「まだ、出来ない」で帰ってきた。
それではなぜいけないのか、
どうすべきなのか。
何度も何度も、何十辺も教えてきたつもりだったが、
みんな「らしい」ことをしただけで、何も学べなかった。
ここで怒鳴って、何が始まるのか。
言えば、言っただけのことはするし、
能力がそれなりにあるので幹部になっているのだが、
みんな言われてきたので「らしく」なっているだけで、
自ら「学ぶ」ことは、何もできないのか。
自分が知らないこと、出来ない事を、謙虚に吸収して、
貪欲に学ぶことをせずに、
みんな解かっている「らしさ」を振りまくばかりで、
宝を目の前にして、何も吸収せず、
出来ない理由を付けて、「まだ、出来ない。」で帰ってきてしまった。
みんな誰でも、
昇進して「○○長」になっても、
すぐにその○○長がやるべき仕事が出来る訳がない。
そんな能力がある訳がない。
その○○長の役職に成ったら、
その○○がすべき仕事が出来るように「学ぶ」のが仕事だ。
必死になって先輩から学んで、
自分自身が知らないこと、出来ない事をさらけ出して、貪欲に吸収して、
○○長の仕事が少しでもできるようになって、
長い時間がかかることは当たり前の事なので、
うんと謙虚になって吸収すべき真空の空間を思いっきり拡げて、
○○長になったのに、
まだまだ全然そのすべき仕事が出来ない自分を、
曝け出すしか、与えられた役職に似合う能力を身に付ける方法は無い。
その前に「らしく」振舞おうとしたり、
周りに「らしく」扱われることを求めたりしていては、
まったく学ことは出来ずに、「らしい」だけの張子の虎になるばかりだ。
ひょっとしたら、
張子の虎ばかりなのかもしれない。
「らしさ」ばかりが気になっている空虚な張子の虎ばかりかもしれない。
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