谷 好通コラム

2023年03月06日(月曜日)

03.06.朝日新聞「天声人語」の記事より

3月3日朝日新聞の「天声人語」に、胸が痛くなるような記事があったので、

このブログの中で言うべきことではないかもしれませんが、

考えた上で、あえて載せることにしました。

 

以下、3月3日朝日新聞の「天声人語」の記事より

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名古屋地裁のレンガ色の庁舎を先週、訪ねた。

ウィシュマ・サンダマリさんが亡くなるのでの様子を映した入管施設の映像を見るためだ。手続きをし、裁判所が用意したパソコンの前に座る。見始めてすぐ自分の顔がこわばるのが分かった。

「きょう死ぬ」彼女はベッドで嘔吐し、苦痛を訴えていた。

「病院、持っていって。お願い。お願いします」。治療を求めて入管職員への哀願が繰り返される。何度も何度も、衰弱し、声が出なくなるまで。

まるで暴力なき拷問である。「動物のように扱われた」と遺族が言うのも無理はない。職員らは彼女の横で談笑さえしている。入管全体にそうした異常な態度を許す雰囲気があったのだろう。

権威体制にとりこまれた人間は「自分の行動に責任を取らなくてもいいと考えるようなる」。かつて米心理学者スタンレー・ミルグラムは著書「服従の心理」で指摘した。その無責任さが密室での残虐な行為につながるというのだ。

自問する。もし自分がその立場にあったら、どうしただろう。空気に抗し、上司にあらがい、彼女を救えたか。自分も、苦しむ人を前に平気で笑うような人間になりうるのか。想像すると恐ろしくなる。

ウィシュマさんが亡くなってから来週6日で2年になる。彼女悲惨な死に対し、まだ誰一人としてまともに責任を問われていない。なんな社会は何か間違っていないか。裁判所を出て、暗い気持ちでお堀端を歩く。ほおに当たる風は切れるように冷たかった。

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人間は、権威、権限、権力を持ったり、取り込ませたりすると、

持っているはずの自分の人間性を見失ったかのように、

傲慢、高慢になったりします。

その権力に取り込まれると、服従という形の鈍感な残酷性を持つ。

それが今回の残虐な結果となった。

その同一線上において、

プーチンのロシアでの極悪な犯罪行為を招いているのかもしれない。

ヒトラーのユダヤ人600万人の虐殺、スターリンの2000万人の粛清。

しかし、実際に殺しているのはプーチンでもヒトラーでもスターリンでもない。

彼らに服従する善良なはずの民が残酷な殺人の手を下している。

みんな、権力を持ってしまった故の勘違いが招いた鬼のような人間に服従すると、

結果として、善良な民が残虐になっているのは

人間の奥底にある鈍感が成した結果なのかもしれない。

これは、普段の生活の中でもありうることなのだろう。

 

それぞれが我が身を振り返らなければならないのかもしれない。

 

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