2024年06月09日(日曜日)
06.09. 先見の明と早とちり、先手を打つ事と先走る事。
私は特に商品開発において、けっこう斬新なアイデアが湧くのだが、
だいたいが先走ったアイデアで、
苦労して造った割には大して売れない。
しかし何年かたって、ふと気が着くと、
いつの間にやら定番商品になっていて、
けっこうな売り上げになっていることがある。
だから、新しい商品を開発しても、
新しい企画を実行しても、
あるいは新しい顧客を開発しても、
すぐに大きな結果が出る事を期待しなくなっている。
何につけても相手が動き始めるには、それなりの相手の都合の時間が必要で、
こちらの都合と期待は関係なく、
こちらはそれを待つしかない。
そんなことをたくさんの経験の中で学習した。
逆に、外からの現象には敏感に反応し、判断する事が必要です。
昨年8月のビッグモーター(以降BW)の件では、
どのテレビを見てもBWをやり玉にあげたニュースに溢れていた。
特に、バラエティー番組ではBWは火だるまであった
しかし当然、私達の会社はBWとの取引もなかったし、
何の関係もなかったので、他人事として見過ごしていました。
しかし、ある日の画像の中で、BWが行っているボディコーティングが、
「金だけ取って実際には施工していないのではないか」という部分があって、
そのコーティングの名前が「ダイヤモンドコーティング」であった。
それを見た瞬間は「ふ~ん、」ぐらいにしか思わなかったのですが。
しばらくしてから
「ダイヤモンドコーティングって、まずいじゃん!」と、ぞっとした。
KeePer には「ダイヤキーパー」というコーティングがあって、
特にキーパーをよく知っている人でなければ、
「ダイヤモンドコーティング」と「ダイヤキーパー」と混同してしまう。
BW=ダイヤモンドコーティング≒ダイヤモンドキーパー=KeePer
ならば、
短絡して「BW≒KeePer」と思ってしまう人がどれだけいるか。
少なくとも
「ダイヤモンドコーティング」≒「ダイヤキーパー」と、思う人はいるだろう。
今、テレビなどで散々こき下ろされているBWが、
KeePerと何らかの関係があると、思う人は多いのでないか。
考えれば考えるほど、まずいなと思始めて、
翌朝、緊急に、社長、専務、常務を集めて、会議を持った。
そこでダイヤモンドコーティングの事を話し、これはまずいと騒いだ。
しかし、みんなまだピンと来ていなくて、
私だけが「まずいっ!」と言っているだけで、
結局、しばらく様子を見る事になった。
しかし、一週間の間にお客様が
「KeePerはBWと何か関係があるのか」
「BWのダイヤモンドコーティングは、ダイヤモンドキーパーと同じなのか」
などとおっしゃるお客様がいたという報告が上がって来て、
KeePer LABOの販売実績も微妙に低い。
「やっばりこれは、おかしい」と思っている間に、
店舗のスタッフに聞くと、
お客様から「BWと何か関係があるのか」と聞かれることがあるという。
これはやっぱりまずい事になっている。と本気で思ったのが約1週間後。
本当に風評被害が起こっているという事になり、
早速、誤解を解くポスターを造って店頭に貼り、HPのトップにも出した。
すぐ行動したので、気が着いたその日に手を打てた。ここまで1週間と少し。
すると、それを読んだお客様から
「へ~、そうなんだ。関係なかったんだ。」と、
それまで、KeePerがBWと関係していたと思っていたようだった。
そんな話を聞いて、これはいよいよまずいということになって、
KeePer LABOの既存の登録客過去3年分約37万人にDMを出すことにした。
しかし、
BWと無関係であるということだけのDMでは、
言い訳がましいDMで、
読んだ人には却ってネガな印象を与えるのではないか。
ということで「オータムフェア」を企画した。
これは割引き(値引き)企画でなく、
いつもの洗車やコーティング施工にプラス夏の汚れを取ります。という企画。
このような販促企画はこの会社が始まって以来初めてだった。
この企画でDMの製作と郵送料で3,000万円以上かかったが、
少なくとも既存のお客様からはBWの風評被害はほぼ一掃出来、
さらに休眠客の掘り起こしにもなってプラスの効果もあった。
ここまで約一か月。
(オータムフェア実施開始まで約1か月半)
これで、BWに関わる風評被害はほぼ一掃出来た。
しかし、こういうことに一番敏感な関東、特に東京と近い所では、
いまだに、その影響の残存をほんのわずかではあるが感じる事はある。
それは、この地域においてはオーバーフローしていた店舗があって、
予約が全く取れないなど不快を与えていて
ネガな感情の上に風評被害が重なっていた事も考えられます。
いずれにしても、
今回の件は、早く気が着いて、早く危機感を持って、
素早く反応して具体的な早期の対処をして、
ネガをポジに変えられるような本格的な方策を最短で打てたから、
最低限のダメージで切り抜けられたのではないでしょうか。
危機は、
素早い気付きと大騒ぎが必要です。
その上で素早い行動と本気の行動が危機を乗り越えるすべてでしょう。
早とちりと言われようと先走りと思われても構わない、
先手、先手で行くことです。
反対に、商品の開発や顧客の開発などは、
その開発に時間がかかるのは当たり前なので、
後で、自分には先見の明があったと思えれば、それで勝ちです。
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