谷 好通コラム

2009年09月10日(木曜日)

2301.人間は意外と丈夫なのだ

一進一退ではあるが、
右膝の調子は確実に良くなってきている。
今日午前中、久しぶりに外科に行って治療した。
膝にたまっていた水は今回たった8cc程度で、四回目の今回が最も少ない。
痛みも何ヶ月前から比べると劇的に減って、
階段を上り下りしたり、ちょっと長く歩いた翌日は少しつらいだけで、
普段はまったく気にならなくなった。
歳をとると何の病気でも直りが遅くなるが、いずれは直るものだ。
人間の体は意外と丈夫なものだと思った。

 

我が社のラスプーチン酒部に言わせると、
私の今年は運気がすごく悪く、
年が明けたら、逆に強い運気になるそうだ。
今年の私のどこが運が悪かったのか、思い当たる節がないのだが、
考えてみれば、運気の悪さのほとんどを「膝」が吸収してくれたのかもしれない。
これで来年、運が強くなると、一体どんな良いことがあるのだろう。
そう考えると楽天的になる。

 

日本は自殺者の多い国だ。
もう11年以上も毎年3万人以上が自ら命を断つ。
交通事故死亡者が20年5,155人なので、自殺の方が約6倍も多い。
不思議なのは、人口に対する自殺者の率が高いのが岩手県、秋田県、島根県、高知県など、
穏やかで暮らしやすいと思える県であること。
東京、大阪、名古屋など都会は平均より低く、一番自殺率が低いのは滋賀県であった。
リーマンショックによる世界同時不況の影響は、
前年同月比で見る限り、自殺者数においては目立って増えていない。
不況によって金銭的に行き詰り生きる希望を失った人が激増しているのではと思ったが、
データから見る限りではそんな様子はない。

 

私は死にたいと思ったことがまったくないので、
なぜ、そんなにたくさんの人が自ら死ぬのか理解できない。

 

しかし、自殺未遂の経験がある若い女性がデレビのインタビューに答えていた。
「自分の心の底が抜けて、どこまで落ちていっても底が見えず、死ねば底に着けると思った。」
何とも暗く、寂しい、つらい心の叫びだ。

 

何でも考え方次第で、
たとえ同じように苦しい境遇におかれても、
楽天的に考えれば死なずに済むのにと、言葉で言えばしごく簡単だが、
そんなものではないのだろう。

 

自殺する人の心境は、私にはまったく想像もできないが、
私もたまには被害妄想にかかる時もあって、そんな時は自分が不幸だと思えて、
人を憎く思えることがある。
そんな感情が極度にエスカレートすると自殺にまで行くのか。
でもその憎しみは、自分の妄想から作られたもので、
その人にニコッと笑いかけられたり、明るく挨拶を交わしたり、
ほんの少し言葉を交わすだけで、何を憎んでいたか忘れるほど、一瞬に晴れてしまう。

 

ほんのちょっとだけ、
ほんの一瞬だけ、心を開くと、
そこからまぶしいほどの光が差し込んで、
真っ暗で見えなかった自分の足元が見えて、
何を不安がっていたのかも忘れてしまうのではないだろうか。

 

人間の体は意外と丈夫なものだと思うが、
人間の心は意外と弱く脆いもののようだ。

 

年間5千人余の交通死亡事故対策には膨大な予算が使われるが、
その6倍の3万人もの自殺者を救う施策にはその何十分の一以下の予算しか使われない。
難しい問題だ。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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