谷 好通コラム

2005年03月31日(木曜日)

1147.何でこうも違うかな

今、青空の大都会・昆明から香港経由で名古屋に帰る為に、
昆明から香港へ飛ぶ飛行機に乗っている。

 

 

昆明の朝、
お世話になった“謝”さんが、
今度は昆明の定番の朝ごはんに連れて行ってくれた。

 

8種類ぐらいの具と、米で作った麺が用意され、
多くなどんぶりに沸騰しているスープが運ばれる。
具と麺をスープの中に入れて、かき混ぜて出来上がり。

 

 

非常に消化が良さそうな朝食で、特に鶏がらのスープが抜群にうまい。
「これは日本に持っていったら絶対流行るなぁ」
そういいながら夢中で食べる。
このどんぶりの大きさ、この具の種類は特別な贅沢コース。
これで一食10元(75円)

 

 

朝ごはんが終わって空港に、
途中で“シートベルト違反!”で公安に捕まってヒヤッとしたが、
私たちの飛行機の時間が迫っているのでとお願いして無事開放。
何とか時間に間に合った。

 

今日の飛行機は香港のDRAGONAIR。
香港の飛行機は快適であると聞いていたので楽しみであった。

 

 

香港がイギリスから中国に返還されてからもう5年以上になるが、
いまだに香港は中国においては外国扱いである。
だから、Immigrationで出境の検査も受けるし、外国行くのと全く同じ扱いである。
中国人民にとっても、香港に行くには、
中国からの出国許可が要るし、ビザもいる。
香港は、中国にとって色々な意味で外国なのである。

 

今乗っている飛行機は、その香港籍である香港DRAGONAIRのA-320。

 

※昆明空港で窓越しに撮ったDRAGONAIR A-320

 

 

中国の国内便はすべて中国の航空会社が運行している。
(どの国でもそうかもしれないが)
中国国際航空(Air China)、中国東方航空、中国北方航空、上海航空、
そして、昨日乗った中国南方航空などなど
(中国西北航空は経営不振で何年か前に東方航空に吸収されたらしい。)

 

だから、昨日、広州→昆明で飛んだ飛行機は“国内便”なので
「中国南方航空」であった。
そして今日は、昆明→香港は“国際便”になるので、
“海外”である香港の香港DRAGONAIRも飛べるのである。

 

昨日は、広州→昆明の“国内便”であり、中国南方航空
今日の、昆明→香港は“国際便”であり、香港DRAGONAIR

 

この二つはとんでもないくらい“差”がある。
すべての面においての品質に大きな“差”があるのだ。

 

本当は、
昆明→“香港”→中部のコースでなくて、
昆明→“上海”→中部のコースであっても、
料金的にも時間的にも似たようなものでどちらでも良かったのであるが、
上海経由だと上海→昆明の国内便を使わねばならない。
出来ればあまり国内便には乗りたくないので、
あえて、香港経由のコースにした。

 

中国の国内航空は、南方航空に限らずクォリティにかなり問題がある。
第一に、汚い!
それなりに掃除はしているのだろうが、
特に古くなってきた飛行機は、機内のあちらこちらにほころびがあるし、
食事をするトレーもガタガタなのが当たり前
昨日のようにトイレのドアが開かなくなっているなんて事は日常のことである。
とにかく、
あまりきれい好きではない私ですら、
明らかに汚いと思う機内なのだ。
機内の洋式トイレは座板がボロボロで、とても座る気にはなれない。
乗っていて惨めな気持ちになったことは事実だ。

 

その逆に、
完璧にメンテナンスされ掃除されたDRAGONのA-320は、
サワヤカでさえあり、乗っていて豊かな気持ちにさせてくれる。
乗っていて楽しいのだ。
プラスマイナスのこの差は大きい。

 

 

それでも、機内・客室の汚さはまだいい。
気にならないわけではないが、あきらめの心境で許せる。というより我慢できる。
問題なのは飛行機の外の汚れ、
機体全体の塗装が薄汚れているのは仕方ないにしても、
しかし、翼の可動部分とかエンジン周りに
オイルのシミがそのままになっていたり、グリスのようなものが垂れてきたりしていると
これは気分の問題ではなく、安全飛行を心配したくなる。
「オイオイ、大丈夫かナ。壊れるんじゃない?これ」と真剣に心配になるのだ。
そして、
「出来ればこの会社の飛行機にはもう乗りたくない。
この飛行機に乗らなくてもいい別のルートがあれば、それに乗るようにしよう。」
と、真剣に思うのだ。

 

DRAGONの飛行機は、部品一つ一つまで磨き上げられていた。
昔、トヨタ自動車関係会社工場に見学に行った時、
すみずみまで整頓と清掃が行き届いていて土足で入るのがためらわれる様な工場で、感動した覚えがあるが、
それを思い出させられるような完璧さを、
DRAGONの窓から見えたエンジン部分に見た。
ピカピカに磨かれている。

 

 

この飛行機に乗っていること自体が、なんとなく誇らしく思えてくるのだ。

 

と、ここまでDRAGON航空のことを褒め上げて、
昨日乗った南方航空のことを一方的にボロクソに言って、
かなり偏った評価をしているように聞こえるかもしれないが、
正直、ホントにそう思ったのです。

 

あるいは、DRAGONが定期整備を終えたばかりの機体であって、
反対に、南方航空の機体が、整備に入る直前の機体であったのかも知れない。
しかし、たとえそうであったとしても、
あまりにもその差は大きかった。

 

客室乗務員(CA)の態度もまるっきり違う。
南方航空のCAは、弁当を配り、後片付けをする作業員で、
もちろんその顔には笑顔は無い。
それに比して、DRAGONのCAは素敵な笑顔を伴って
接客サービスをプライドを持って行なっている。
そんな印象を持った。

 

中国の航空会社、香港の航空会社、
同じ中華民族が経営している航空会社とはとても思えない大きな差がある。

 

※DRAGON航空に乗って香港に到着。
香港でキャセイパシフィック(香港系の航空会社)に乗り換えて、名古屋に向かう。

 

※香港の空港で、これから乗るキャセイパシフィックのA-330

 

 

※香港の空港には、中国の飛行機もたくさん飛んでくる。
これは、いつも上海⇔名古屋で乗っている「中国東方航空」のA-320

 

 

この差は一体何だろうか?

 

第一に、航空料金がかなり違う。
中国系の航空会社は“安い”。
香港系は、“普通”だ。
だから、中国系の航空料金に比べれば、“高い”。

 

第二に、
乗客の種類がかなり違う。
中国系の飛行機にはほとんど中国本土の人たちが乗っている。
香港系の飛行機には、香港の人と、欧米系の人が多く乗っている。

 

最初に言ったように香港は中国にとって外国なので、
出国許可と香港のビザが要る。
そして、香港系の航空会社の中国関連の便は香港⇔中国各地の便だけなので、
この便に乗れる中国人は限られている。

 

中国系の航空会社は中国国内の便を独占しているので、
必然的に中国人が多い。

 

第三に、
中国系の飛行機は、ほぼ満席であることが多い。
乗機率が非常に高いのだ。
中国の人は、前もって予約をするということをあまりせず、
当日、空港に来てからチケットを買う人が多い。
乗ろうと思った便が満席ならば、次の便まで待って乗るという新幹線感覚なのだ。
中国の人は待つことが平気なようだ。
新幹線感覚なので、早い便から順番に満席で飛んでいくという感じか?
とにかく、わたしが中国の国内便に乗った二十回ぐらいの経験の内では、
中国の国内便は満席で飛ぶことが当たり前のようである。

 

だから、中国の飛行機の定番、弁当を配るのでも、
(中国ではどんなに短い国内便でもほとんど弁当が配られる。)
CAたちは、ニコニコ笑ってなんかいられない。
揺れる機内で、必死に配って、必死に片付ける。
それが終わるころにはもう着陸態勢なのだ。

 

それに比して、DRAGON航空は、
私はたった一回だけではあるが、三分の一ほどしか乗っていなかった。
小奇麗なCAは、ニコニコと愛嬌を振りまきながら機内サービスを行なっていた。

 

第四に、
中国の人はマナーに対する感覚が、
私たちとはかなり違い・・・・簡単に言えば極端にマナーが悪い。
しかし、ここが大事な所なのだが、
だから、人間性が低いというわけではない。
それが“普通”なのだ。
やたら、機内に荷物を持ち込み、席の上の荷物入れは超満タン状態。
CAも力づくで荷物を押し込むのを手伝う。

 

中国の食事は、食べながら余分なもの、
たとえば骨などをテーブルの上に吐き出すことは
別にマナー違反ではない。床に落としたって、別にドオってことないのだ。
これはマナーが悪いのではなくただの習慣である。
飛行機に乗ったってそれは同じことだ。
汚くなるのも当然。

 

欧米人の文化を多分に取り入れてきた香港人は、多少その傾向が少ない。
香港の飛行機に多く乗っている欧米人はもちろんそんなことはしない。

 

第五に、
飛行機は運搬手段であるという合理主義的感覚。
油がにじんでいたって、ちゃんと動けばいいのだ。飛行機なんて。
機体を磨いて、エンジンのカバー磨いたって、
エンジンがちゃんと動くことに何の関係もない。
ちゃんと動きゃいいんだ。
本当にそう言っている所を聞いたわけではないが、多分そんな風に思っている。
中国の人は・・・

 

そして、安い方が良いに決まっている。
どうせ満席なんだから、
余計な事なんかする間があったら昼寝でもしていた方が得だ。

 

第六に、
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・もう、やめよう。

 

そんなことを考えながら、
昨日の恐怖と苦痛の南方航空と、
今日の快適なDRAGONとキャセイパシフィックを思い、
中国での洗車の今の在り方と、これからの在り方を考えたのでした。

 

いよいよ核心の、今回の広州・昆明行きで考えた
中国での洗車について、又あした書きます。

 

 

夜10時過ぎに帰ってきた。
やっと帰ってきた。
今回もくたびれたけど収穫の多い中国行きでした。

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2005年03月31日(木曜日)

1146.青空・大都会・昆明

広州から昆明に向かった。

 

昆明とは中国読みで「くんみん」と呼ぶ。
広州から西南に2,000kmぐらい離れているのだろうか、
飛行機で飛んで約2時間かかる。

 

中国の国内便は私も何度か乗っているので、
多少のことでは驚かないつもりであったが、今回ばかりは驚いた。

 

広州→昆明の“中国南方航空”ボーイング737は満席であった。
中国の国内便は、なぜか、私の経験のうちでは100%満席である。
今回のシートは、
まともに一番後ろの席。
トイレの横である。

 

 

飛び立った早々からかなり揺れ、
それでも、強引にいつもの弁当が配られた。
思いっきり狭いシートで縮こまって無理やり弁当を食べ、
あとはひたすら耐える。

 

一番後ろのシートは尾翼の付け根に位置していて、
飛行機のローリングと横風をまともに受けて激しく揺れるのだ。
ただただ忍耐。

 

昆明に近づき降下が始まってから、又一段と激しく揺れる。
私の真横にあるトイレの扉が傾いで、開きづらくなっている。
トイレに来る乗客が一生懸命開けようとするが半開きのまま。
スチュワーデスが足で蹴飛ばして、強引に閉めたら、とうとう開かなくなった。

 

どっちでもいいが、
激しい揺れと、スチュワーデスの荒業を見るにつけ、
私の気力も無くなり、
ただ呆然と飛行機が奇跡的に着陸するのを待つばかりの心境となった。
こんなことは千回以上飛行機に乗って初めての事かもしれない。

 

もちろん飛行機は降りた。
言い尽くしがたい強引さを持って、無理やり着陸した。

 

飛行機から降りる時、
パイロットが表に出てきていてその顔を見たが、
あれは絶対に人民軍の元戦闘機乗りだったに違いない。
ちょっと狂気じみた雰囲気を持った人であった。

 

 

激しい経験を持って降り立った昆明は、
青空であった。
空気が透き通っていて、紫外線の多さを感じさせる街である。

 

昆明の街は、やはり、中国の常であって車と人の洪水である。
なのに、空だけが不思議と青く、その違和感は未体験ゾーンであった。

 

 

今回の昆明では、地元で洗車屋さんを経営している“謝さん”と会った。
この街での洗車と、これからのことについては、
明日の長い時間の飛行機の中で書くことにして、
とりあえず今日は「昆明」での今日の写真を一部だけ載せる。

 

昆明は雲南省の省都。
街の中の交差点では、
車とバイクと自転車と歩行者がグチャグチャに入り混じっていた。

 

 

街の道路は、
最新の新車がいっぱい走り、
古いサンタナも現役であり、
音のしない電動バイクが、2サイクルの煙を出すバイクに混じって走り、

 

自転車は車の間を縫って走るので危なくて仕方ない。
時折、自転車のタクシーが走り、

 

 

ロバの馬車が元気に、赤ん坊を抱くお母さんを乗せて、お父さんが御していた、

 

 

新しい物と、古い物。
富んだものと、貧しいものが、
大きなギャップそのままに、ぐちゃぐちゃに混在している大都会。

 

昆明は、
あくまでも不思議なくらい青い空と、
混沌とした人口400万人の大都会が、中国の奥地に渾然と現れた。
そんな第一印象を持たせてくれた不思議な街である。

 

 

今日、謝さんが連れて行ってくれたレストラン。
そこは「野菌園」などの名前がついた「菌」専門のレストランであった。

 

 

「菌」とは、ばい菌の“菌”ではない。
マツタケとかフクロダケとかキヌダケとかの茸・キノコの料理を食べさせる店。
キノコの鍋が中心なのだが、
これがまたべらぼうにうまい鍋であった。

 

そして、前菜に出たのが「イモ虫」のから揚げ。
見た目はものすごく気持ち悪いのだが、食べるとさっぱりしていてうまいのだ。
抵抗していた谷常務も、
思い切って一口食べた後は、「うまい、うまい」と、無理して食べていた。

 

 

中国の中でもかなり西に位置する昆明は、
夜が更けるのが遅く、午後8時過ぎにやっと暗くなった。
そのころから遅い夜を楽しむ人が待ちにどっと出てきて、不夜城のような街の様子。
それは、どう見ても大都会でそのものある。
大都会のネオンと、空には星が出ている不思議な夜。

 

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    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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