谷 好通コラム

2008年01月17日(木曜日)

1823.悩み深し我が喫煙心

今日は東京で新しい事務所探し。
何処へ新事務所を開いたらいいのかは、
何処に新しい店舗を開くことが出来るか、それがどの方面に集まるのか、
具体的に分かって来ないことにははっきりはしない。
それがはっきりとしてくるには半年近くはかかるだろう。
だから、今回の事務所はあくまでも暫定的なものとなる可能性が高い。
6ヵ月後が一つの目途。

 

車の便を考え、電車での移動の便も考え、
妥協点として何となく「上野」の当たりが良いのではということになっていたが、
今日はまず「東京駅」のど真ん前「八重洲口周辺」で一軒目の物件を見た。
そのビルは東京駅から歩いて3分の所にあって、
東京駅から自在に何処へでも行ける。ただし電車でだ。
私は電車を乗り継ぐにはちょっと不自由な面があるので、
車での移動も前提に考えなければならない。とすると駐車場の確保も重要だ。
そのあたりの駐車場はみな「月極め契約」を表示していないので、
聞いて見たら、「むずかしい」と言う。
東京で「むずかしい」と言うのは「無理」と等しい。
値段も1台7万円と聞いた。
「東京駅の真ん前」とは格好はいいが、
やはり日本のど真ん中、家賃も駐車場も桁違いに高い。
それでも無理して「月20万円ぐらいまでなら」と業者さんには言ってあったが
案内されたビルは築40年近くお世辞にもカッコは良くない。
しかも、恐ろしく狭い。
私「こ、これで5人用??・・・・・」
業者さん「だいじょうぶです。5人は間違いなく座れます。」
私「確かに座れることは座れるでしょうね・・・」
無理してカッコいい場所に、
古いビルと超狭い事務所では笑い話にもならないし、
東京駅の真ん前など、自らの身のほど知らずを恥じて、退散した。

 

次に行ったのが、
新品の(超)高層ビルの中にあるメチャクチャかっこいい事務所だ。
ビルがあるのは錦糸町というあまりイメージの良くない地域ではあるが、
開発が進み新しい街に生まれ変わりつつある。
それに、これから建設される第二東京タワーが近く、
将来注目される場所になるはずだ。
ワクワクして行く。

 

レンタルオフィスという新しいスタイルの事務所で、
一つのフロアーを丸ごと業者が借り受けて、
それを取り外し可能な壁で細切れの部屋にして、
小さな事務所を探している会社に貸すシステムだ。

 

敷金も要らず、保証金も2か月分だけと少ない。しかも全額返ってくる。
(東京では礼金・敷金・保証金で10か月分も払うわなればならないのが普通なのだ。)
出るときも、デスク一つ1万5千円のクリーニング代だけと、
非常に軽いシステムだ。

 

私たちが問い合わせていたのは4人分の部屋。
案内されて中を見ると約5坪だがものすごくカッコいい部屋。
14階の窓側の角部屋!
錦糸町の街はもとより大都会の景色が一望できる。一同ホレボレとする。
値段を聞いてびっくり「定価では月62万円です。」
でも今キャンペーン中で「1年契約で3/4の月を半額にします。」
ややこしい割引きの仕方である。
このフロアーの持ち主の業者はイギリスの会社で、
ヨーロッパ人はよくこんな感じのよく分からないような値引きの仕方をするのだ。
12ヶ月のうち9ヶ月を半額の31万円にするので、
要するに月39.2万円ということ。
プラス共益費とインターネット回線使用料が月5万円。
それでもまだまだ高すぎるので、
もっと小さい部屋をと聞いたら、
その2軒隣の3.5坪の部屋が”定価“47万円、キャンペーン価格で29.3万円。
それにプラス共益費とインターネット回線使用料が月に5万円かかるという。
要するに34.3万円だ。
それにプラス駐車場代が1台分で月4.3万円かかる。
この部屋も、先ほどの部屋ほどではないが、見事な景色を見ることは出来る。
いい部屋だ。
いずれにしても高いことは高いが、
入る時と出る時の費用が軽いので、
仮の事務所としては意外と安いかもしれない。
「ホテル感覚で使っていただければ。」と言っていたスタッフさんの言葉が印象に残る。

 

次は、今の東京トレセンと営業所がある新小岩の駅前の不動産屋さん。
この不動産屋さんは営業所の物件を出してくれた人でもあり、
営業所のスタッフも自分たちの住むアパートでお世話になっている。
「貸事務所を探しているんですが。」
久しぶりにお会いした不動産屋さんの社長は、喜んで探してくれた。
営業所から歩いて5分ほどの所に物件はあった。
営業所に近ければ駐車場の心配もない。
19坪で19.95万円、管理費が1.05万円で合計21万円だ。
しかし礼金が3ヶ月分、保証金が8ヶ月分、仲介料が1ヶ月分で
合計12ヶ月分が初期費用。保証金は返ってくるが退去時に2ヶ月分が償却されるので、
最終的に合計6か月分が費用として使われることになる。
10年使っても、6年使っても、半年でも基本的にその金額は同じだ。
それにしても広い!
19坪とは室内で見るとこんなに広いものか。しかも、けっこうキレイなのだ。
周りの環境も決して悪くない。

 

では、この二つの異なる形態の物件は、
仮の事務所として6ヶ月で出るとなったら、
それぞれ合計でいくらの費用になるのか。

 

※錦糸町で見たものすごくカッコいい事務所3.5坪。
(家賃/共益費・インターネット/駐車場×6か月分)
366,000*6=2,196,000
(退出時のいすクリーニング代)
15,000*3=45.000
合計で、
☆2,241,000円

 

※新小岩の広くてなかなかの事務所。
(家賃/管理費×6か月分)
210,000*6=1,260,000
(礼金3ヶ月/保証金償却2ヶ月/仲介料1ヶ月)
199,500*6=1,197,000
合計で、
☆2,457,000円

 

六ヶ月で出ると分かっているのなら、
礼金とか、何とかで入るためだけの費用が多く発生する貸事務所の方が、
狭いが抜群の景色でホテル感覚のレンタルオフィスの方が安くなるのだ。

 

「ホテル感覚で使ってください。」と言ったスタッフの言葉が思い出される。
何ヶ月単位の短期だけ事務所を使いたいというニッチなニーズに応えた見事なビジネスモデルである。

 

 

ほとんど気持ちが錦糸町のレンタルオフィスに傾いた時、
あることを思い出した。
このレンタルオフィスのあるフロアー全部“禁煙“なのである。
「う~~~~~~ん、たばこが吸えんか! う~~~~ん」

 

夕方、東京営業所に帰って、1時間ほど費用の計算をしたりして
一緒に相談をしていた鈴置部長とうなってしまった。
新しい事務所を使うはずなのは、私と鈴置部長、賀来課長、この三人は喫煙派だ。
そして田中次長、大貫さん、谷課長はタバコは吸わない。
一つ下のフロアーに行けば喫煙コーナーがあることはあるが、それにしてもつらい。

 

そこでひらめいた。
今の東京営業所を改造して、ロッカールームと物置を事務所に改造すれば、
新しく東京事務所に入るスタッフの分まで事務所を広くすることが出来る。
多分、70万円ぐらいの改造費でいけるはずだ。
6ヵ月後、新しい東京事務所のあるべき場所が決まったら、
改造した事務所は、小教室にすれば使い勝手が良くなるはずで無駄にはならない。
もちろん「タバコも吸える。」「これはいい、これで行こう。」と
鈴置部長と一緒に手をたたいた。

 

「灯台下暗しとはこのことだなあ。」と納得して別れたことはいいが、
ちょっと、うしろめたい。
自分がタバコを吸いたいばかりに、
心機一転のいい機会になるはずの新事務所開設を、
今までの営業所の改造でお茶を濁すのは、ちょっと違うかな。と、うしろめたい。

 

どうしようか。
悩みが深くなるばかりのわが喫煙の心。
東京三日目であった。

 

(上野はどうなったのかって?・・忘れていました。)

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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