2011年05月08日(日曜日)
2781.「それでも大丈夫だった」の積み重ね
今まで良かったから、これからも良いだろうと思うのは、
人間の情けとして仕方ないことだろう。
しかし、そこに大きな落とし穴がある。
私はユッケやレバ刺しが大好きで、焼肉を食べに行けば必ず食べた。
牛肉に「生食用」という規定があっても、
実質的には存在していないという事実には驚いたが、
たとえば、野菜や魚には「生食用」と指定して無くても、
販売店や食堂、家庭の各々が判断して、
生で食べられるものと、
火を通さなくてはならないものを分けていたことは普通のことだ。
騒ぎが収まって、また焼肉屋でユッケが出されるようになったら、
私は喜んでユッケもレバ刺しも食べるかもしれない。
魚の場合、「生食用」とわざわざ書いてある魚を私は見たことがない。
それまでの経験で、魚の色とか匂いなど魚の状態を見て、
生で食べてもいい鮮度と自分で判断し、
みんな、魚の刺身を食べる。
その魚が加熱しなければならないかどうか、
数値的なバロメーターがあったわけではない。
それとも保健衛生の法律として魚にも「生食用」という規定があるのか。
だから、牛肉の場合でも生食用と指定されていなかった肉を、
経験的に大丈夫と判断して生で食べることにそれほど違和感を持つものではない。
肉でも魚でも生で身を食べる危険性には変わりないと思うから、
むしろ魚には「ふぐ毒」や「寄生虫」の危険性があるので、生食の危険は大きい。
と言っても、
O-111食中毒で多数の死者と病人を出した焼肉やチェーンを擁護するわけではない。
食を預かり、人の健康、生死に直接的に結びつく仕事をしているのに
何人もの人を結果として殺してしまったことは、
あきらかに衛生管理を怠っていたと考えるべきで、
文句なしに断罪されるべきであろう。
人を何人も殺すまでに濃厚にO-111病原菌が着いたままの肉を
お客様に出したことは、
焼き肉屋の段階で非常識な管理と調理がされたのか、
あるいは肉の納入業者が、
衛生的に考えられないような管理と加工をしていたのではないか。
安売りを売り物にしていたこの焼き肉屋チェーンと、
当然そこへ肉を安く納入していた肉加工業者と、
どちらがどちらなのか分からないが、
いずれにしても金儲けが安全よりも優先していたかもしれないことは想像に難い。
一般的な焼き肉屋さんでは、
その肉が生で食べてもいいかどうかぐらいのことは、
プロならば、当たり前のように見分けられているのではないか。
生で食べても大丈夫な魚と加熱しなければならない魚の区別が、
そんなに難しいことではないのと同じように。
だから、
出された肉が「生食用」の規定ではなかったことは、
むしろ関係ないのではないか。
加工や保存の衛生管理の面においては、
「いままで大丈夫だった」「良かった」が続くと、
徐々にやるべきことを省略し、
手を抜いた安易な方法に緩んでいき、
それでもなお「大丈夫だった」「良かった」が続けば、それでも良いことになって、
ある一線を越した所まで徐々に手を抜いてしまったのではないか。
プロとして、安全の一線は分かっていても、
焼き肉屋チェーン店の熾烈な安売り合戦の中で、
安く販売することが売り上げを上げる早道であったがために、
コスト削減の追及が、
安全のための一線を越しても、
それでも「大丈夫だった」「良かった」が続いて、
その一線すら見えなくなってしまっていたのではないか。
こういうことはよくある。
長くやっていると、
少々手を抜いても、少々省いても、
たまたま「大丈夫だった」「良かった」ので、徐々にやるべきことをせずに、
いい加減なサービスを提供するようになり、
それでも「大丈夫だった」「良かった」があると、
知らぬまに、お客様の期待を裏切るような一線を越してしまうことがあるのではないか。
私達のビジネスにおいては「マニュアル」がある。
これは最低限やらなくてはならない技術が設定されているのであり、
これを省いたり、手を抜いたのでは話にならない。
私達のビジネスにおいては、
人の命を預かるものではないので、
そのような危機感までを持つことは無いだろうが、
安易な手抜きは、自分たちのビジネスにおいても、
自ら店舗の命取りになることを自らに言い聞かせておかねばならない。
もちろん、車の形も汚れ方も千差万別であり、
マニュアル通りに作業すれば良いと言うものではない。
しかし、自らの仕事を乱すのは、ほとんどの場合が手抜きであり、
「それでも大丈夫だった」の積み重ねなのではないだろうか。
今日は長かったゴールデンウィークの最終日。
結局、昨日の仕事の結論を出せずに残してしまった営業幹部たちは、
あと1時間だけで絶対に決めようとの決意をして、
朝8時半から9時半までの会議の後、やっと休みに入った。
私も、お休みに緑をたっぷりながめて、
頭と眼をリフレッシュした。
昨日、土曜日に鈴鹿店に行った。
牛田チーフにおいしい塩ラーメンを教えてもらった。
ほんとにおいしかった。
みんな明るく元気であったのが、ほんとに良かった。
東海店にちょっと寄ったら、小島君。笑顔。
佐々木店長は、子供さんが熱を出したそうで、午後からの出勤であった。
それでもみんな成長していて、きちんと回る店になっている。
ベテラン木林君と、新人鈴木君。
鈴木君は早く一級ツナギが着たいと言っていた。
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