谷 好通コラム

2005年10月16日(日曜日)

1266.願いが叶うならば

いつまでも闘いを続けることが出来るわけではない。
いつかは静かな暮らしが欲しいと思うこともある。
しかし考えてみると、
10年前よりも5年前の方が、
5年前よりも今の方が、ずっと激しい生活になっている。

 

 

昔、私は、物事が自分の思い通りに行かないと、
すぐに冷静さを失って、あたり構わず大声を出していたような気がする。
短気であることが強さのひとつの表現であるような錯覚を持っていた。
しかし大声を出して叱責は一種の暴力であって、
人は、それを受ける事によって動機付けを持つものではなく、
その時だけ屈服としての服従を示し、
それ以後、むしろ根深い不信を抱き、そして、いずれは去る事になる。

 

その仕組みに気が着いたのは、
もう、かなり前のことであったが、
少しは自分をコントロールできるようになったのは、そんなに前のことではない。

 

何があっても、
どんなに自分の意に反するようなことがあっても、
それをキチンと言葉にして相手に伝え、
何故なのか、どうしてなのかを、
相手に理解してもらった上で物事を進めた方が、
面倒ではあるが、結果的に早く物事が進んで、かえって効率がいい。
これはかなりの確率でその方が効率が良く、早い。

 

何でこんなことまで、
またキチンと話さねばならないのかと、
気が滅入ってしまいそうになることもある。
しかし、物事とは、そのものを見る角度と、見る側の経験暦の違いによって、
見え方がまったく違うので、
自分から見ると当たり前のことでも、
相手にとってはまったく違った見方になっていることも多い。
だから、「何でこんなことまで」と思えるようなことでも、
キチンと話をすれば、
何故相手が解ってくれなかったのかが解るものであり、
場合によっては、こちらが間違っていることが判明することもある。
もちろんそんな時は、
躊躇することなく自説を撤回し自分の非を認める。

 

怒鳴る前に、
何故なのか、どうしてなのかをキチンと話す。
そんな当たり前のことがある程度出来るようになると、
一つの仕事に対して、
みんなが一つの共通した認識の下に考え、行動する事になり、
つまらない行き違いが減ってくる。
そうすると、自然、仕事をみんなに任せることが出来るようになるから不思議だ。

 

これは、最初は面倒でも、
結果的には大変楽ちんになることであり、仕事の効率もすばらしく上がる。

 

仕事の効率が上がると、
結果も良くなり、仕事の量も種類も、自然、増えてくる事になる。
仕事が増えると、会社の実績も良くなる事にはなり、
会社の仕事が増え、動きが広く活発になってくると、
競合も多くなってくる。
闘いの相手も自然に増えてくるというものだ。

 

しかし、“闘う”と言っても、競合と喧嘩をする訳ではない。
それまで以上に、
新しい商品の開発もペースを上げ、
洗車事業を成功させるためのノウハウの研鑽もより必要となってくる。
やらなければならない事が多くなり、よりスピードアップしなければならない。
そういう意味の“闘い”だ。
言ってみれば内なる闘いが激しくなるという意味だ。

 

そういう意味で、
10年前よりも5年前の方が、
5年前よりも、今の方が、ずっと激しい闘いになっている。

 

これは結構大変だ。
今ある製品を如何に販売していくかということなら、
あの手この手と、手を打っていくことが出来るが、
洗車事業を成功させるためのノウハウは、実際に自らが実行して、
実際に成功して、初めて活きたノウハウとなる訳だから、
常に実践と、進化が必要となってくるのだ。

 

これは一つの闘いとも言える。
常に前に向かって全力で進み続けるのは、
向上心というより、むしろ闘争心といえるものが必要となる。

 

そういう意味では、
闘うことは楽しいし、やりがいがある。
しかし、闘い続けて、スピードを緩めず、むしろ加速し続けるのは、
大変な気力が必要であり、苦痛に感じることもたびたびある。

 

願いが叶うならば、
いつかは闘いを終えて、スピードを緩め、
自然の摂理の中に身を委ねるような、そんな体験をしたい。
会社をいくら大きくしても、世の中に自分の理想をいかに実現したとしても、
いつまで経っても、どこまで行っても、まだ先があって、
自分自身の中が決して満たされることはないだろうことを予感すると、
きっと、満たされた気持ちとは、
自然の中に自分を委ねることが、きっと、そうなのであろうと夢想する。

 

 

 

ロスのコンドミニアムの街並み
3階建て、5階建てと色々あるが、
信じられない事に、これがすべて、木造であることを知った。

 

 

三日前、東京で一仕事したあと、
みんなで晩御飯を食べた。
久しぶりに蓮ちゃんが来てくれて、楽しかった。

 

 

もう、帰って来たかな?

 

次の日、
午後まで横浜で仕事をして、
酒部部長、大野君と一緒に、自動車で東名高速を走って名古屋まで帰った。
空は抜けるように青い。
これは富士山が見えるかもしれない。

 

期待通り、大井松田を過ぎたころ、
あざやかに富士山が姿を現す。
今まで見たことがないような薄いピンクの空にグレーの富士。
車を運転しているので、写真が撮れない。
しかし、どんどん日が暮れていくので、えいやっと片手運転でカメラのメクラ撮り。
かろうじて撮れたのが、御殿場付近での何枚かの富士山。
実際に目で見たのとは、かなり迫力が違う。

 

 

その辺のパーキングに入って、
撮ればいいのに、欲張って“富士川S.A”まで走ったら、
雲がかかって、しかも、ほとんど暗くなって、
富士山の頭がかろうじて撮れただけだった。
欲張ってはイカンのです。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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