2003年05月25日(日曜日)

718話 スローな生き方

午前中、ちょっと会社に行く用事があったので
そのついでに、「トンボ」を見てきた

 

お天気があまり良くなく風もあったので、トンボは小屋の中にいた
近所のおばあちゃんが話しかけてきたので
しばらく話をしていたら
ノソーッと動き出してきた
手渡しで少しだけ小松菜とイチゴを食べて
外をお散歩

 

ゆったりゆったり動く

 

そんなトンボを見ていて
こんな生き方もあるよなぁ～と思った

 

ボォ～っと見ていると、時間の流れがゆっくりになったような気がして
幸せな気持ちになれる
だから、知らぬ間に時間が経って
気がついたら、30分以上もそこにボォ～っとしていた

 

その時間が、幸せであった

 

 

ビックバンによって宇宙か出来てから、約140億年
地球が出来たのが四十数億年前
人間が地球上に現れたのが100万年ぐらい前か?

 

私の人生は、多分、七十数年

 

宇宙の歴史の10億分の5
地球の歴史の10億分の1.75
人類の歴史の10万分の1

 

長い時間の流れの中での、ほんの一瞬の時間の人生

 

70歳
70年
25,550日
613,200時間
3,679,200分
2,207,520,000秒
22億7百5十2万秒

 

これは長いのか?
それとも一瞬なのか?

 

おそらく両方であり
あるいは、その両方でもないのだろう

 

人生とは、その人の生きる時間であり、その人の思いであり
その積算でもある

 

健康に恵まれず、あるいは運命として
短い人生で終わる人も数多くいるが
充実しきった人生を送る人もいる

 

長い人生を得た人でも
そのほとんどを憎しみと恨みと後悔で終わってしまう人もいる

 

ただ単に、その時間が長いか短いかだけでは、人生を語ることは出来ない

 

どんな人生を送りたいか
みんな幸せになりたい、幸せでいたいと思う
私も思う
じゃあ、幸せって何だろう

 

私は、充実した仕事や、全力での遊びを通じて
自分が望んだことを仲間と共に達成していくことが
自分の幸せなのだろう
と思っている
仕事も遊びも、充実しきりたいと願っている
自分なりに持っている理想を、多くの人と力を合わせて実現したいと、願っている

 

 

では、そういう幸せが最高のものであって
それ以外のものが堕落していて、価値の無いものとかというと
全くそうは思っていない

 

静かな、淡々とした生活の中で
自然の中に自分を溶け込ませ
おだやかな空気の中に、自分という“存在”を無として受け入れる
そんな幸福感を
いつかは実現したいという強い欲求も持っている

 

人は、それぞれに違う価値観を持っていて
違うタイプの生活感を持っている

 

それは持って生まれた違いもあるだろうし、経験歴の中で育まれたものの違いもある

 

“違う”ものが千差万別にあって
何が正しくて、間違っているか
何が優れていて、劣っているか
決してそんな問題ではなくて
それはただ単に“違うもの”である。
ということを
あらゆる面において受け入れないと
自分と違うものをすべて否定することにつながる
否定する発想の上に立った幸せはありえないとも思う

 

私は、自分がいつも全力でありたいと思う
そのことは、自分の生活のスタイルであって、自分の価値観であるだけで
それ以外のタイプ・価値観を決して否定するものではない

 

今の私は
どうしても、全力である以外には発想できない
毎日を一生懸命やって生きたいと願っている
しかし、静かさを愛せる自分でもありたいとも思う

 

そんな生活を実現している人を尊敬するし
うらやましいとも思う

 

でも、今の自分には出来ないし
やれるだけの事をやったあとの静かさの方が
より、静かさの価値が分かるような気もする

 

スローな生活は、私の一つの憧れであり
夢でもある

 

トンボを30分、ボォ～と見ていて
その静かな時間が幸せだと感じた自分に、ホッとした

 

 

トンボの広場の脇にある
使っていない焼却器の煙突に、スズメが巣を作っていた

 

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