谷 好通コラム

2009年09月05日(土曜日)

2297.長い平和な世界がやってくるといい

出来るだけ書かないと決めている政治がらみの話をひとつだけ。

 

自民党が大敗して民主党が政権を取った。

 

民主党が勝って自民党が政権を失った。でなく、
自民党が負けたことによって、民主党が政権を得たというのが今回の選挙の結果だろう。

 

なぜ自民党は負けたのであろうか。
自民党を含めた官僚など権力機構を構成しているそれぞれが利己主義的であると、
一票を持つ人々が色々な形で思い、
自分たちが払った税金が自分たちのために使われていないと感じたからではないだろうか。

 

権力機構の基本骨格は、税金という形の集金機能であり、
それを社会全体に再配分する機能であると単純に割り切ることが出来るのではないか。
再配分は社会保障であり、福祉であり、教育であり、
生活基盤を維持するインフラの構築と維持であり、
治安の維持であり、外国からの防衛などである。

 

使われ方はそれぞれであるが、
それを配分する人、
使うことを決定する人、政治家であったり官僚であったり、
つまり国を運営する権力を持った人たちが、
国を構成している自分たちの幸せを目的にした配分と使い方を決定しているかどうかを、
それぞれの立場で直感的に判断して、投票の基準にする場合が多い。

 

たとえば、地方の人は「国の金を地元にどれだけ引っ張ってくるか。」
つまり、自分たちが払った以上の金を、
自分たちの元に配分する力をその政治家が持っているかどうかで
票を投じるのが、昔流であった。
都会の人たちは、それぞれが置かれている立場に有利な配分をする政治家を選んだ。
立場とは階級であり、仕事の内容であり、宗教であり、あるいは心情である。

 

それぞれの地域の人の、それぞれの立場においての損得勘定が、
投票の動機であったことは、大きな側面であろう。

 

自民党は長い政権の中で国民に大きな損を与えてしまった。
年金の記録消失問題は、
国民1人1人の貯金である年金が自分に返って来なくなる不安を与えた。
銀行が預金者の記録を失ったようなもので、
銀行がいくら「絶対に損はさせない。」と力んでも、
何十パーセントもの人の預金記録を失った銀行に、預金者は二度とお金を預けないだろう。

 

国民は政権交代という行為で、自分の預金の銀行を変えたのではないだろうか。

 

それに加えて、違う立場の権力者である官僚が、
あまり必要もない下部団体を数え切れないほど作り、
自分の退職後の所得と退職金の確保のために、その何十倍、何百倍もの税金を
下部団体に垂れ流しにしている実体を、国民は損をさせられていると思った。

 

公共事業という名の業者にとって非常に利益率のいい仕事を、
票の取りまとめと、献金の見返りに、関連の業者に流している実体を、
そのお金を出している国民は損をさせられていると思ったのではないか。
また、そんな損をさせられるだけでなく、
異常なまでに膨らんだ借金、
その額約860兆円、国民一人あたり約670万円もの借金を国民はさせられていて、
(一家四人ならば2,680万円、家を持っていない人まで家一軒分の借金をしている)
こんな膨大な借金の金利まで否応なしに払わされている事に、
理不尽なまでの損をさせられていると思ったのではないか。
(日本の借金時計: http://www.geocities.jp/mkqdj167/japan.htm )

 

国民のそれぞれの損得勘定で、
時の権力者に自分の得を求めていたら、
取り返しの付かないような損をさせられている事に、
「こりゃ、変えなきゃイカンかな。」と、国民は思ったのではないか。

 

しかし、その源が自分も持っている損得勘定の累積であり、
国民の損得勘定におもねり、
もっと大きな得を自分たちだけ得ようと仕組みを作った権力者たちも、
世界金融危機でいよいよ収支勘定が行き詰って、
あせって馬脚をさらしてしまった結果であって、
その権力者たちを自分たちの損得勘定で選び続けた国民が
その根源である事を忘れるわけにはいかない。

 

自民党は、自らを包括する権力機構の中で、自滅した。
その政権交代の好機を逃すまいと
民主党は刹那的かつ瑣末な国民サービスを振りかざして、国民に得をさせる約束をしたが、
そんな事をせずともとっくに自民党は自滅していたのに、
要らぬサービスを約束したばかりに、
自民党と同じように行き詰まり、自滅するのではないか。

 

もう何週間かあとには新インフルエンザの大流行が迫り、
それがいつ強毒性のインフルエンザに変わるとも知れない恐怖を感じる。
頻繁に伝えられる地震情報に、いつ来てもおかしくない巨大地震の恐怖を感じる。
この二つの大きな恐怖が過ぎ去った後、
人々が自分たちだけの損得勘定で権力構造を選ばず、
みんなのためを考えて権力構造が作られるような選択がされれば、
きっと長い平和がやってきて、
人々がお互いの幸せを作りあうような平和な世界がやってくる気がする。

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    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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