谷 好通コラム

2011年07月02日(土曜日)

2818.有ると気付かず、無いとやっと気が付く

昨日、北海道・網走での葬儀に出席した。
網走は、港と、広大な畑と牧場と湖が広がり
まるでスウェーデンを思い出せるような素晴らしい風景が続く町である。
もっとも北海道らしい町のひとつだ。

 

しかし網走は、その市の名前でずいぶん損をしている。
北海道には美幌町、美唄とか、大空町、神威、納沙布、知床、留萌、滝川、屈斜路、
などなどいかにも北海道らしい美しい名前の町が、観光客の旅情を誘うが、
網走は、何十年か前の映画、高倉健主演の「網走番外地」で、
網走監獄が余りにも有名になってしまい、
網走というと刑務所を真っ先にイメージしてしまう。
刑務所のイメージが強い町とは日本国中で網走だけだろう。

 

だからなのか、網走はその地域一帯で一番大きな「市」なので
空港も「網走空港」とした方がいいはずなのだが、
その空港の所在地の町の名前「女満別空港」となっている。
(ちょっと考えすぎか)

 

そんな損なイメージの名前とは裏腹に
素晴らしい風景と環境の網走だが、
私が「こんな素晴らしい環境に住んでみたいな」と、
地元出身の仲間に言うと、
「そうですか? 何にも無いところですよ。」と言う。

 

地元の人、あるいは地元出身の人には、
すべての風景が当たり前に有るものであり、
それを素晴らしいと思うことはあまり無く、
あらゆる物や店がある都会に比べれば、不便で何も無い所でしかないかもしれない。
しかし、その風景と環境を見たことが無い者、
あるいはたまにしか見ない者にとっては、
ため息の出るほど素晴らしい風景であり、
心底からこんなところに住んでみたいと思えるような素晴らしさなのだ。

 

 

昨日の夕方、女満別空港から中部空港に飛んで帰ってきて、
網走にいた時には“涼しさ”に体が慣れてしまいあまり気が付かなかったが、
名古屋のあまりの暑さは強烈で、あの涼しさがいかに快適であったのかに気が付いた。

 

 

また、
何ヶ月前からキーパーラボ所属の営業として、
店舗から離れて、
街の車屋さんやカーディーラーさんを営業に回っている三浦課長が、
「ラボにいる時は当たり前と思っていたけど、
ラボを出て、色々な店を見ると、
ラボがいかに恵まれた作業環境であったのか気が付きました。」
そんなことを言っていた。

 

 

人間、すでにその物を持っていて有る者には、
それがどんなに素晴らしい物であっても、
その素晴らしさに気づくことは少なく、
それを失うと、初めてその素晴らしさ、良さを気付くものなのだろうか。
しかし、それを持っていてすでに有る者に、
その素晴らしさをいくら説いても、失うまで分からないもののようだ。

 

今日は47名の営業スタッフと役員が全員集まっての会議。
7月はアイ・タック技研㈱にとってのお正月なので、
北海道から九州まで、すべての営業が一同に集まることにしたのだ。
すでにみんなが持っている圧倒的な商品力の話を力説したが、
どこまで分かったのか。失うまで気が付かないままなのだろうか。
焦りと不安、無力感に襲われそうになりながら、負けないぞと歯を食いしばる。

 

 

網走の海岸沿いに「小清水原生花園」とう素晴らしいところが有る。
シーズンのピークは終わりかけのようだが、
まだまだ可憐な花がいっぱいであった。

 

 

駐車場のアスファルトとの境目に咲くタンポポまでが、可憐に見える。

 

 

「とうふつ湖」はとても難しい漢字であった。
この風景はスウェーデンの湖そのもののようだった。

 

 

海沿いから陸地に入っていく道路の両側は原生林。

 

 

見渡す限りの畑、畑、畑。

 

 

・・・・・
・・・・
そして今日、
いつもの同窓会のような飲み会で、
名古屋駅のビルのホテルのバイキングレストランで、
どうしても梅雨が明けたとしか思えないような夕焼け。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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