谷 好通コラム

2005年05月31日(火曜日)

1182.頑丈なり古い機体

昨日、中部国際空港から千歳空港に飛んだ。
JAL3111便。
機体は元JASの「MD-81」
たぶん日本の定期便で飛んでいるジェットの機体の中では一番古い機体だ。

 

製作はダグラス社。
作られた頃は「DC9-40」と呼ばれていた機体だが、
ダグラス社がマクドネル社と合併して、
マクドネルダグラス社となって、
それ以来、この機体は「MD-81」と呼ばれるようなった。

 

そのマグドネルダグラス社も、
今はもうボーイング社に吸収合併されており、
もうその名前はない。
今飛んでいるこの機体の呼び名は「MD-81」のままだが、
この機体の発展形で、
最新のエンジンと電子機器を搭載した製造続行中の「MD-90」は、
「ボーイング717」となった。

 

今乗っている「MD-81」とは、
航空機業界の大合併劇を2度も経験した会社の古~い機体なのである。

 

古い機体に乗るのは、怖いのではないかと思われるかもしれないが、
別にそんなことはない。
昔の機体はとりあえず頑丈に出来ているのだ。

 

昔は、安全に対して厳密に計算できなかったので、
とりあえず、機体をオーバースペックにしておき
安全に対して十分と思われる数値に120%を掛けた機体にしておけば、
どこか多少計算違いが有っても、
とりあえず大丈夫であろうという大雑把な設計で、
機体が持っている許容量よりも、かなり重くなってしまっている。
つまり、効率の低い機体となっている。

 

オーバーな言い方をすれば、
今の最新式飛行機は、
安全に対して十分に計算されつくしたプラスチックスの飛行機。
それに対して、
古い飛行機は過剰に安全に造られた鋼鉄の飛行機。

 

こう言うと、新しい飛行機が危うい構造のように聞こえるが、
スーパーコンピューターを駆使して緻密な構造計算をやりつくした上で、
軽く造ってある飛行機の方が、
今に比べればはるかに大雑把な計算で、
それを過剰構造で補っている古い機体より、一桁以上安全であることは間違いない。

 

しかし、それでも、
頑丈な構造の古い機体の方が、何となく、頼りになるような気がするのだ。

 

多分、これでも何十年か前に新しい装備になったであろうCA用の操作盤。
ダイヤル一つとっても、古き良き時代を感じさせてくれる。

 

 

ハイジャックが現実の問題となった時、
操縦室との扉は、普通の鋼板木目化粧の扉から、
ピストルの弾丸さえ通さないステンレスの無機質な扉に変わった。

 

 

ほぼ満員の札幌便。
シートの柄がJASのそのものである。
このCAさんは、阿部千代(知っているかな?)によく似た素敵な人であった。

 

 

まだ、JAS塗装のままのMD-81、希少な存在である。

 

 

千歳空港に降りるちょっと前、
眼下に下北半島。

 

 

もう少し先に行くと、函館の半島が見える。

 

 

札幌では、最新のコーティング技術の集中研修が行なわれた。
なんと参加希望者が13名と、予想をはるかに上回り、にぎやかなものとなった。

 

 

そのあと、いくつかの仕事を終えてホテルに向かう時、
北海道らしい素晴らしい夕日が、疲れを癒してくれた。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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