谷 好通コラム

2010年02月06日(土曜日)

2418.グルタミン酸ソーダの結晶を大きくする

本当のことかどうか分からないが、
「味の素のビンの“穴”を大きくしたら、売上げが増えた」という話がある。
これは有名な話だが、
何かを考えていてふと気が付いたことがある。
これは“穴”を大きくしたところがポイントではなく、
味の素=グルタミン酸ソーダの結晶を大きくしていることにポイントがあるのだと。
(味の素があまりにも有名なため、こんな駄話に名指しされるだけで
決して実際の「味の素」がそんなことをやっているということではない。)

 

物理の法則として「物体は大きければ大きいほど体積に対する表面積の比が減る。」
結晶を大きくすると表面積の比率が低くなって、
体積の割には溶けにくくなるのだ。
だから、漬物などに掛けた場合、(親父がよくやっていた)
結晶を大きくして体積を増やすと溶けにくく、
ちょっと多めに掛けないと旨みを感じない。
だから、穴をちょっと大きくしておくと、ちょうどいいくらい出ることになる。

 

ただ単に穴を大きくしただけでは出過ぎになるだけで、
漬物などに直接掛けるタイプの調味料としては、味も余分になってしまう。
穴を大きくしただけでは、消費者は掛け過ぎに注意するようになって、
結果として、使用量は穴を大きくする前と変わらないのではないか。

 

ポイントは結晶の大きさを大きくしたことで、
大きくした穴から今までよりもたくさんの量の調味料が出ても、
表面積の比が減って溶けづらくなっているので、
少なくとも直接掛けて使う場合には、味が濃くなりすぎない。
肝心な部分は、ここにあるのではないかと思ったのだ。

 

賢いなぁ~。

 

こういうのは私が最も苦手とするところで、
そういうアイデアは、何も浮かんでこない。
グルタミン酸ソーダの結晶や穴を大きくしても
消費者のメリットには何もなっていないと思うからだ。

 

ビジネスとは相手のことをとことん考えることが成功の早道であると考えているが、
これは実は、一番難しい手法であることも事実だ。
どこまで目先の損得を超越したビジネス戦略を組み立てられるか。
それが出来ないと、
こんなきれい事のような経営を突き通すことは出来ない。
徹底できれば間違いなくもっとも強力な経営であるが、
我々のような我欲の塊のような凡人には、強烈な意思の力が必要となる。

 

それよりも、グルタミン酸ソーダの結晶を大きくしたり、
容器の穴を大きくするほうが簡単でリスクがなく、賢い方法のように思える。

 

どっちが得なのか、
誰にとって得なのか。
得すると何かいいことがあるのか。
そう考えていくと、
つい、グルタミン酸ソーダの結晶をすりつぶしてパウダーにし、
容器の穴をうんと小さくして、
少ない量で旨みがうんと出るようにしたほうがいいかもしれない。
とも思ってしまう。

 

まあ、味の素が容器の穴を大きくしたという話自体が、
そもそもいい加減であり根拠のない話なので、
グルタミン酸ソーダの結晶を大きくしたのではという話なんて、ろくでもない話で、
この話全体が意味のないバカ話である。

 

今日は、ちょっと酒を飲みすぎた。

 

今日の会議で、ちょっとみんなを挑発しすぎて、
後味が悪くて深酒をしたくなってしまったのだ。

 

バカ話その1

 

 

その2

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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