谷 好通コラム

2007年09月23日(日曜日)

1737.人間力を信じるか

昨日は久留米から熊本に来た。
私も馬場社長に相談したいことがあったし、
アイビー石油の馬場社長もどうしても話があるとのことで、
珍しく熊本に泊まる。
話はお互いに確かにあったのだが、
結局やっぱり飲むことになる。
午後7時半から飲みはじめて、
珍しくハシゴをして、結局3軒目を出てホテルに戻ったのは午前2時半である。
ハシゴをして飲むことも珍しければ、
飲んで午前様になるのはもっと珍しい。
その上、今朝は二日酔いで、胸がムカムカする。
こんなのは多分、五年ぶりぐらいではないだろうか。

 

馬場さんの話は面白いので、つい時間を忘れて飲んでしまうのだ。
話題は豊富で多岐にわたって話が広がるが、
今回は特にCSとESの話で盛り上がった。

 

従業員満足と顧客満足は、
どちらが欠けても事業の繁栄はありえないし、
従業員満足のないところには顧客満足は実現できず、
顧客満足なくしては、従業員満足もあり得ない。
また顧客満足を理解できず実現できない従業員は、従業員満足を得ることも出来ない。
どちらが先でもない。
両立しかあり得ないものだ。
だからといって
顧客満足と従業員満足が両立できれば会社は必ず繁栄するのかといえば、
必ずしもそうでもなく、それはそれであって、
しかし、会社が繁栄するには顧客満足は必須であり、
顧客満足は従業員満足に起因しているし、結果として従業員満足を生み出す面もある。

 

そして、
顧客満足と、従業員満足は、
その持っている性格が非常に似ている。
いずれの満足も、それを実現すればしばらくは満足を与えられるが、
直に“慣れて”、
その満足があることが当たり前となり、
その満足では、満足できなくなる。
その上、その満足がなくなった時には、
その満足があった以前よりも大きな不満が生まれるという始末の悪い面を持っている。

 

いずれにしても満足は、物や金だけで実現しようとすれば、
その満足は、どこまでもエスカレートさせることは出来ないので、
いずれは行き詰る。

 

良かれと考えて作り上げた満足も、
その満足を憶えてしまったばかりに、それが無いと不足感に苛まれ、
かえって不幸にしてしまう場合もある。
特に従業員満足についてはそういう面があって、辛いことがある。

 

きれいごとに聞こえるかもしれないが、
顧客満足も従業員満足も、“心”の部分に終局するのではないだろうか。
顧客満足を実現する商品も、
接客も、店舗づくりも、
お客様のことを思う心がないと、お客様の心をつかむことは出来ないし、
従業員満足を実現するのも、同じことだろう。
もっと言うならば、
自分の顧客を心から好きであるし、従業員を心から好きであれば、
その両方ともをきっと実現できるのだろう。

 

しかし、その人間を思うばかりにしたことが、
かえって罪作りになってしまったことも何度も経験している。

 

むずかしい。と思う。
顧客満足も従業員満足も、相手の心、人間の心の問題だ。
人の心は、千変万化、決して一つの方法では実現できないのだろう。
その人その人に対して思う心を持つことだろうが、なかなかむずかしい。
ひょっとしたら、いつまで経っても結論が出せないのかもしれない。

 

二日酔いのボーっとした頭でそんなことを考えた。

 

快洗隊・那珂川店。
彼らは何故あそこまで、お客様のことを思えるのであろうか。
不思議であるのと同時に感動する。
彼らを見ていると、
商売を仕組みで解決できるのではという常に付きまとう誘惑から、
人間力を信じてもいいという気にさせてくれる。

 

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2007年09月23日(日曜日)

1736.脚が出ればいいが

福岡に飛ぶ飛行機の中で書きはじめる。

 

乗っている飛行機は、
脚が出なかったり、
着陸時に脚が折れてしまったりと、
今話題になっているボンバルディアDHC8-400だ。
この機体は日本国内では運行中止になっていると思っていた。
客室乗務員さんに聞いたら、
「点検が終わったので運行を再開しています。ご心配をおかけしました。」との事。
なるほどである。
「ご心配をおかけしました。」とは、
私は、乗っている自分や乗客が心配なのであって
別に飛行会社を心配したのではないのだが、
そう言われると、何か妙な感じがする。

 

この機体はカナダで製造の最新鋭機で、
軽くキャパシティの大きい機体を、力の強いターボプロップエンジンで飛ばし、
プロペラ機でありながらジェット旅客機に引けをとらないスピードを誇っている。
非常に経済性に優れた機体で、
今や近距離旅客機としてベストセラーになろうとしている。
軽量化をするあまり脚の設計に問題があったのか、
脚にかかわるトラブルが原因の事故が相次いで起きている。
連続して起きたということは、
構造的なところに根本的な問題があるのだろうが、
幸いにも、事故では死者が一名も出ていないので、
点検だけで運行が再開されたのであろう。
そのうち、みんなが知らないうちに、
問題を解決するための部品がメーカーから供給されて、
今回の事故のことは、それで終わりになるのかもしれない。

 

ふと気が付くのだが、
最近、最新鋭機にトラブルが頻発しているようだ。
世界一のベストセラー機であるボーイング737の最新シリーズ737-800が、
先日、沖縄の那覇空港で炎上したのは記憶に新しい。
台湾の中華航空は大きな航空事故を何度も起こしている問題航空会社ではあるが、
そのB737-800が、
今度はどこかの飛行場に着陸した後の点検で、
機体の一部に何十センチかのヒビが入っているのを発見された。
そしてまたもや中華航空である。

 

B737の基本設計はもう40年以上の前にされているものだ。
というよりも、ボーイング社が50年も前に初めてジェット旅客機を作ったのがB707。
そのB707のボディを短くし、エンジンを4発から2発に減らして、
B707よりも小型で近中距離用の姉妹ジェット機として作ったのがB737である。
だから、今でも現役のジェット機としてどんどん生産されているB737は、
実は、約50年前に人類が初めて作ったジェット旅客機の派生機なのである。

 

だから機体の断面積の形はB707とB737はまったく同じ。
しかしエンジンはまったく変わった。
力が強くて、騒音が低く、燃費のいい高パイバス比のターボファンジェットになっている。
機体に使われている材料も、うんと軽い複合材料などがふんだんに使われて、
軽い機体になっている。
軽い機体に燃費のいいエンジンをとりつけて、
昔に比べてうんと経済性の高い機体になっている。
操縦系もコンピュター化し操縦もほとんど自動化されて、
レーダーも進歩し安全な運行を保証している。

 

基本設計が素晴らしかったのかもしれないが、
最先端技術の塊のようなジェット旅客機が、
人類最初に作られた時代の機体と基本的に同じ形をしていることには意外なことだが、
装備的には最新鋭で、現代機の一つと言える。
そのB737-800型が相次いでトラブルを起こしているのは、
やはり軽量化とコストダウンの結果なのか、
あるいは、中華航空の問題なのか。

 

最新鋭機はそれだけで安全であるという先入観は、持たないほうがいいと思っている。
複合材であれ、構造設計であれ、操縦システムであれ、
すべてコンピューターが作り出したものだ。
コンピューターのプログラムは発達につれていよいよ複雑、かつ巨大になってきていて、
プログラム上に欠陥があっても、そう簡単に見つかるものではない。
何せ人間が作ったものだ。
どこかに整合性のない部分があっても、
プログラムの中は眼で見ても簡単に分かるものではない。

 

今乗っているボンバルディアDHC8-400にも最新鋭のプログラムが動いているはずだ、
その甲斐あって、ちゃんと脚が出てくれればいいのだが。

 

 

出たっ!
ちゃんと脚が出た。

 

 

ちゃんと、無事に、福岡空港に着きました。

 

 

いや~~~~、ホッとしました。
別に怖かったわけではありませんが、脚が出たのはホッとしました。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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