谷 好通コラム

2009年09月04日(金曜日)

2296. まるでコルトレーンを吹いていた人

今日も飲んでしまった。
と言っても東京駅で待ち合わせた人と、
駅前地下の喫茶店で生ビールの小を二杯だけ。

 

人には縁と言うものがあるのか、
この人とは不思議な縁がある。
何年か前、私達が新しくやって行こうと思った仕事のスペシャリストを探すために、
インターネットで調べて、この人と出会った。
だからまったくの偶然であった。

 

私と同じ歳で、同じ学年である。
イニシャルが同じ「T」。
しかも私と同じように片足に少し不自由があり、身体障害者手帳を持っている。
酒好きでヘビースモーカーである。
汗っかきであり、どちらかと言うとメタボ。

 

そして今日、飲みながら話していて驚いたことがある。
この人は、昔、ジャズをやっていて、しかもアルトサックスをやっていたと言う。
やっていたと言っても、趣味でやっていたなんてものではなく、
プロとして、日本ジャズの最高峰、神聖なる「ピットイン」で演奏をしていたそうだ。
しかも「和製コルトレーンJr.」と呼ばれたこともあったそうだ。
ジョン・コルトレーン。
私の青春はある時期、ジョン・コルトレーンと共にあったと言ってもいい。
いつも、コルトレーンを聞いて、泣き、喜び、しびれていた。
この人は、それどころか、
本格的にブロとして、コルトレーンを愛し、
アルトサックスを奏でていたのだから、
シビレテいただけの私などとは、桁が3つも4つも違うが、
コルトレーンを愛していたことには違いない。

 

縁とは不思議なもので損得勘定なんかで作り上げられるものではない。
何らかの偶然と、
何かしらの心の波長が合って縁が深くなっていく。
仕事で得た縁であっても、その縁が深くなっていくのは心の波長にあるのかもしれない。

 

東京駅の下の地下街に全席喫煙の喫茶店がある。
生ビールと枝豆とソーセージ、ミックスナッツとガーリックトースト。
これで十分。思い出しただけでも心が躍る楽しい時間であった。
今回の東京、飲んだ二回ともが喫茶店であった。

 

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    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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