谷 好通コラム

2005年07月09日(土曜日)

1208.目標を達すること

今日は全体会議。
この会社は六月が決算なので、七月は会社のお正月に当たる。
平成十七年六月までが十七年度であり、
七月からは十八年度になる。
七月はまだ十七年なのに、十八年度とは変な感じだが、そういうものらしい。

 

十七年度は、三カ年計画の二年目に当たり、
新しい三カ年計画を、この年からもう三年分として作る年でもある。
三カ年計画を二年実行した段階で、
新しい三カ年計画を作る。
ならば、最初から二カ年計画としておいて、
それが終わってまた二ヵ年を作っても同じような気もするが、
そういうものではないらしい。

 

二年前に作った三カ年計画では、
毎年30%ずつのアップで、
一昨年実績の×130%×130%=169%が、計画二年目の目標であったが、
結果は去年が127%up、今期が124%upで、
127%×124%=157.5%で、
169%の目標に対して約93%の達成率、“未達成”である。
二年間で実績が157.5%になったことを、
正直、すごいことだとは思う。
スタッフ全員に対する感謝の気持ちは充分に持っているつもりだ。
しかし、未達成は未達成。

 

目標が高すぎたのか、
いいや、そうではあるまい。
それぞれに根拠があって立てた目標であるはずだ。
考えられるとするならば、
目標に対して、
それぞれが目標を達成する為の自分の能力にまで高められなかったか、
目標への道程を見誤ったか、
経営者の先を見る先見性と経営手腕が足りなかったか。
あるいは、立てた目標に対して達成意欲を持ちきれなかったか。
そのいずれかであろう。

 

なぜ目標が達成できなかったのか、その原因を客観的にはっきりさせることが
経営者として責任であり、能力である。
そして、その原因は、経営者の内に求めるしかないこともはっきりとさせること。

 

言えば簡単だが、なかなか難しいことだ。

 

今日の会議の冒頭で、
今年の八月二十日、創業会社の設立から数えてから20年目を迎えることを伝えた。
最初二人でガソリンスタンドとして始めたこの会社が、
一年経ったところで弟(現・谷専務)が入ってきてくれて三人となり、
それから何人かが入ってきて辞めていった。
この三人以外で一番古いのが鶴見部長、
入社して十年目であるという。
まだガソリンスタンドをやっていた頃の時代である。

 

その後に入ってきたのが、森部長とPCのサメチャン、今度壽退社する林さん。
この頃から、事業を洗車に大きくシフトしていた。
この頃の社員が十名くらい。

 

話の途中、思いつきで
「この会社に入ってからまだ三年経っていない人、手を上げて!」
と言った。
今日の営業の全体会議への参加者は、三十数人。
その八割以上が手を上げたのだ。

 

びっくりした。
ほとんどと言っていい人が、ここ三年以内に入社した人たちであったのだ。

 

考えてみれば、
H.オサムこと畠中修が、
女房子供を連れて下関からやってきたのが約四年前(?)。
彼を代表取締役として?快洗隊を作ったのが約2年半以上前。
その快洗隊が今は6店舗になって、
アルバイトさんまで含めたスタッフ全員では四十名を越しているという。
彼が愛知にやって来てくれた頃、
多分、グループ全体の社員は20数名であったような記憶がある。

 

ここ3年4年で、
グループ会社すべての社員さんとアルバイトさん、パートさんまで含めると、
100名を越す大所帯になっている。
この会社、創業二十年を直前にしているが、
急に伸びたのはここ四年ぐらいのこと。

 

それ以前の十五年以上と、最近の四年余りとの境目に何があったか。

 

一つ言えることは、
経営にキチンと目的と目標を持つようになったことだ。

 

第一に“予算”という名前で、はっきりとした数字で目標を持つようになった。
それまでもたしかに売上目標などを作っていたことは作っていたのだが、
それが何のための目標であって、
その目標を達成すると、何がどうなって、誰がどうなる、
そしてそれは“何のため”なのかという“目的”が見えていなかった。
だから「がんばる」とか「全力でやろう」とか、
結果的に抽象的な掛け声ばかりになっていたような気がする。

 

私自身と社員全員が目的を一緒に持つようになったのが、
ちょうどその頃であったような気がする。

 

それから、現状の維持に未練がなくなった。
つまり、その頃に存在していた色々なしがらみとか、軋轢とか、
現状を現状として縛り付けていたものに対して、
現状を超したところにはっきりとした目標を持った事によって、
未練がなくなったということ。
なかなか具体的に書くことが出来ないので抽象的な言い回ししか出来ないが、

 

現状を維持するための要素とは、現状に縛り付けている要素でもある。
現状を超越したところに目的と目標をはっきりと置いたので、
現状に未練がなくなり、
現状を維持するための軋轢の存在を無視することが出来るようになった。
ということ。

 

それで、もう何も怖くなくなった。
現状を維持するためのいろいろな要素を失う事に対する恐怖感もなくなった。
誰が辞めて行ってもいいと思ったし、
すでに持っているものが無くなってもいいと思った。
もっと高いところにある大きなものを目指すと決めたのだから、
何を失っても構わないと思った。

 

一挙に増員するという危険なことも出来た。
経営にとって、人件費というものは物凄い重荷であって、
日本のサラリーマンの平均年収400万円の社員ならば、
会社にかかる経費全体ではおそらく年間800~1,000万円の負担増になる。
十人増やせば8,000~1億もの負担が増えるわけだ。
ましてや、人というものは雇用してすぐに戦力になるわけではない。
少なくとも一年は戦力どころか、教えなくてはならない負担でしかない。
先行投資の最たるものだ。
それも、「仕事が合いませんから辞めます。」の一言で、ぜんぶパーになる。

 

売上げが増えてもいない時点での増員は、
経営としては冒険でしかない。
しかし、高いところに目標を明確に持ったのだから、その目標を達する為の増員は、
むしろ自然であり、必然でもある。

 

増員したのに、実績がその分以上に上がらなければ、
会社として大きな損失を生む事になるが、
それは、経営者としての運営能力の問題である。
自らの能力を信じて、企業の成長を目指して大きな先行投資を始めるか、
それは社員全体の合意の元になされなければならない決断だ。

 

その決断がなされたのが実質的に四年前という事になるのだろう。

 

その決断のきっかけはいろいろある。
畠中君が下関から、
この事業に夢を持って出てきてくれた事もきっかけの一つであった。
あるいは、事業の継承を本気で考えはじめ、
この会社をパブリックな会社にすることが一番の方法だと決意したこともそうだ。
自分よりうんと若いある経営者が、
自分の会社を上場させることを目指していることを目の当たりにしたことも、
その決意を前に進める大きな要因になった。

 

いずれにしても、私と私の会社の仲間たちは、
安定よりも飛躍することを選択し、
大きな先行投資を始めて、大きく前に進み始めた。

 

大きな目的を持って、それをみんなのものとして共有して持ち、
その道程における明確な目標を設定して、みんなで行動したら、
それまでにはない成長が始まったということなのだろう。

 

目標は達成するために存在する。
達成する事によって、みんなで持っている大きな目的に達することが出来る。
全員が、それぞれに設定した目標を確実に達成する事によって、
それぞれが持つ目的を得ることが出来る。

 

大きな目標を持った分、大きな成果を得られるものだ。
目標に対する達成意欲を強く持つことが出来れば、の話だが。

 

まだ三分の一ぐらいまでしか来ていない。
しかし、ここまで来れたのだから、あと三分の二を行けばいいのだから、
あと三分の二をみんなで確実に進んで行きたい。

 

平成十七年七月、アイ・タック技研グループ十八年度正月の会議において思う。

 

会議前、ボツボツみんな集まってきた。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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